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テレビというエンターテイメントを少しでも面白くしようという熱情が過剰になりヤラセ演出を生み出すが、でもそれはあくまでも「演出」であり「欺瞞」ではないわけで、そこの線引きはそもそも視聴者側が自らしなくちゃいけなかったことだったのに、いつの間にか「リテラシー」「コンプライアンス」というお題目が横行してテレビ側に責任を押し付けるようになってしまったのが、結局、テレビを殺すことになったということなんだと思う。
プチ鹿島氏の語り口は相変わらず声出して笑っちゃうくらいに面白い。
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川口浩探検隊〜アフタヌーンショーやらせ事件〜ロス疑惑〜徳川埋蔵金〜旧石器捏造事件が一本の線で繋がっていく展開に戦慄。1984年のテレビ朝日。
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子どもの頃、怖くて、あんまり直視出来なかったけど、翌日の学校は番組の話題で持ちきりだった。
テレビ制作に携わっている全ての人に読んでもらいたい。
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70年代生まれにとって、忘れられない体験である「川口浩探検隊」。前半の裏話を面白おかしく読み進めていくうちに、「テレビ」とは、「バラエティ」とは、どんどん深みにハマり、最後は圧巻の語りで締められる。大人が真剣勝負で遊んでいたというのだろうか・・・視聴者はバカではないと信じてどこまでも作り込んでしまう。本物なのかヤラセなのか、グラデーションから混ざり合ってしまう感覚。
ひとつ言えることは、あの頃のテレビは無茶苦茶で、でも、面白かった。
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テレビ朝日の水曜スペシャル
「川口浩探検隊」の制作スタッフへの取材。
これは相当面白いです。
圧巻です。
ただの暴露本ではなく、テレビ愛に満ちた
教科書です。
テレビが最も面白く、最もバカらしく、
ハチャメチャでありながら、
テレビ愛に満ちたテレビマンたちの悪戦苦闘ぶり。
クリエイターの方々にはぜひ読んで頂きたい、
傑作です。
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思えば、ルポルタージュの題材としては格好の象徴でありながら、意外やこれまで"川口浩探検隊"について著された書物や記事、リポートは多くない。
毎月購読していた雑誌「ムー」を隅まで読み尽くし、五島勉氏の「ノストラダムスの大予言」や中岡俊哉氏の「恐怖の心霊写真」の世界に没入していた当時の私は無論、「水曜スペシャル」の当シリーズの放送を、もはや信じるとか信じないとかの次元でなく、ありのままの真実として捉えて文字通り一心不乱に視聴していたわけで、まず以てその時点で本書に対するスタンスには高い下駄が履かされた。
もちろん、双頭の蛇ゴーグは作り物であり、類人猿バーゴンも人が中に入った着ぐるみであり、ジャングルも洞窟もすべてスタッフが事前にロケハンと仕込みを済ませた舞台であるということが、当事者たちへの丹念な取材と共に改めて丁寧に解説されている。
ここまでは極論すれば中身を読まずとも内容はある程度推測可能だが、実際に読んでみると、エンタメに徹しきった当時の関係者たちの仕事ぶりたるや、少なくとも私の想像など遥かに超越してぶっ飛んでいたことが分かり、心底たまげた。
映像には映らないところ、オンエアには乗らないところで、スタッフは毒蛇を捕まえ、断崖絶壁を下降し、現地の部族に身柄を拘束され生命の危機に瀕している。。
著者のプチ鹿島氏は辺境作家の高野秀行氏にも取材しているが、高野氏が「一番ヤバい時っていうのはカメラが回せないときなんですよ」と、見事に本質を言い当てている。
そのカメラが回っていないところのプロセスも含め、旅程を余すところなく綴って読み物に昇華しているのが例えば高野氏の著書であったりするが、番組はそのリアルな裏側を潔く捨て、"見つかったら謝ろう"精神で以てあくまでもエンタメとして造形していかなければならないわけで、これはなんたる業、宿命か。
「スリランカのときは、向こうでヤバいものがあまり撮れなくて。で、スリランカからの帰り道にタイに寄って、この洞窟を使ったんです」
ヤラセだ過剰演出だと、最近でもバラエティー番組や情報番組が槍玉に挙がる事例はあるが、国境を超えて移動しそれっぽい"ニセモノ"を接ぎ合わせるなどという大胆な発想はさすがに21世紀に生き残っているはずはなく、有り体に言って、スケールの桁が違う。
最終章は一転文体を変え、放送作家である鵜沢茂郎氏のインタヴューが独白スタイルで収められているが、その内容は圧巻という他ない。
コンプライアンスなどという言葉がなかった昭和のテレビ界に禍々しく満ちていた傲慢さを存分に放ちながらも、今のテレビに対する悪辣な批判はズバリと核心を貫いている。
リテラシーとは? 今更ながら考えずにはいられない。
「世の中で言う、『数字を取るためにやむなくやりました』とか、『チェック体制が甘かった』とかっていうのはほとんど嘘だと思ってる。」
最後に一つ、"ジャイアントトロピガルガー"という名称が幾度か出てくるが、正しくは"トロピカルジャイアントガー"。
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作る側と同じだけの情熱をもって書かれた一冊。結果、書き手の側にも同じだけの「ヤラセと情熱」の熱量が宿った。
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まず面白い。そして異なった立場と視点から見た事実の豊かさたるや
当時から人々になめられていた物にこそ衝撃の事実が数多く存在し、リアルだと信じられていた物に存在した数々のフェイクに、もはや笑いがこぼれる皮肉
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週刊誌的なネタから始まり実はマスコミに対する深い問題提起。80年代日本の業界、ノリとヤラセ、演出についての貴重な記録。
水曜スペシャルのスタッフがたまたまロス疑惑に直面しマスコミとして最初に三浦和義氏に取材。その胡散臭さを見抜いていたとういエピソードが面白い。
筆者の前作のテーマがプロレスだったという点も面白い。
マスコミ論を学ぶ人には是非読んでほしいと思う。
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探検隊の関係者の話が想像に難くない面白さがあるのは当然として、構成が素晴らしい。嘉門達夫を導入に、次々と話を聞く中で浮かび上がる伝説の人。そしてご本人には当たれなかったが重要な事件の関係者の書籍を発掘し、伝説の人が幻かと思いきやほぼ同じキャラの洞窟の前で昼寝していた人の託宣を受ける。著者が一番面白がっているのが伝わる筆致。
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今や歴史的な評価は「伝説のヤラセ番組」として(ともすると半笑い的に)確定している感もある『川口浩探検隊』をOBスタッフに取材しながら再検証した一冊。まさしく本書それ自体が探検隊の新作。「我々は遂に〜」のような文体にニヤニヤしていたら(ヘビは生に限るw)いつの間にかロス疑惑や旧石器捏造事件(本書を読まなければマジで一生思い出さなかったかもしれない)にまで話は及び、そこからフェイクニュースやエコーチェンバーといった現代性を帯びたイシューに一気通貫で到達する構成・筆力が面白すぎる。単にヤラセを糾弾するわけでもなければ「テレビなんだから」という開き直りでもない非常にバランス感覚のあるスタンスもプロレスに明るい著者だからこそ書けたものなのだと思う。そしてワクワクしながら読んだ先にあったのは、この情報化社会を生きる我々は『川口浩探検隊』を冷笑している場合ではないというオチだった苦さも手伝って不思議な読後感。
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テレビ番組「川口浩探検隊」についての調査
月刊誌EX大衆で連載5年追加3年かけて
80〜90年代のテレビ番組について調べたり取材したのをまとめている。
ヤラセや演出について、テレビやメディアを考える上でとても興味深い。
驚くべきエピソードや登場人物が次から次へと登場してページをめくるのをとめられなくなる。
時代の熱量とともに筆者のテレビ愛も感じられる。
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川口浩探検隊とは何だったのか?当時のスタッフにインタビューしたノンフィクション。おぼろげながら、子供の頃に観ていた記憶がある。子供だったので、割とマジで観ていた気がする。
70年代後半~80年代中盤のテレビの空気感をよく拾っていると思った。テレビが一番おもしろくて一番勢いがあった時代じゃないだろうか。その功罪が見えた気がする。おもしろい絵を撮ることに重きを置くことの功罪。もちろん、エンタメとしてそれは「功」だ。
しかしその「罪」がなぜ発生してしまうのかを描いたところがこの本の白眉だと思った。現場の撮影スタッフたちが純粋であるが故に「罪」は発生してしまう。映像にかける情熱や、工夫することの楽しさ、おもしろさ故に。わかる気がする。川口浩探検隊で罪の部分がスルーされていたのは視聴者共々、幸福なことだった。
この本の中でインタビューしているかつてのスタッフ達が、当時のことをどこまで話そうか、どう話そうか逡巡している様子が印象的。自分にとっては大切な、しかし今の価値観からすると人に話し辛い思い出なのだろう。テレビに映らない裏側ではいろいろあったであろうことは想像がつくが、その通りの話が読めて楽しかった。加藤氏の話が聞けないのは残念だったけど、鵜沢氏のお言葉はそれを補って余りあるものだった。
探検隊のネタバレ放送が当時のテレビで実現していたら、子供だった私はどんな気持ちでそれを観ただろうか。それにしても「フィリピン 第一回首狩り族対抗山岳耐久レース 古館伊知郎過激実況シリーズ」には笑った。
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川口浩探検隊の世代ではないので少し割引かも
ヤラセというと、視聴率のためという印象だが、むしろ現場の制作する人のクリエイターの創作意欲がそうさせている印象
少なくともそこには熱いものがある
終盤、話が広がってくるとなんかなあという印象を受けた
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懐かしの水曜スペシャル川口浩探検隊。
現存するスタッフに当時のことを思い返して語ってもらう内容。
どんな風に番組が始まり、何で打ち切りになったのかよく分かった。
高野秀行や嘉門達夫へのアプローチを試みて、彼らがコメントを述べている場面が印象的。