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アンデルセン童話のちょこちょことした言葉と共に、いわさきちひろさんの挿絵が載せてあるお得文庫です。
淡い水彩が、ぽいです。
白黒絵も素敵で。特に「絵のない絵本」の第三夜が好み。
ちっちゃい子のぽてぽて感もたまりません。
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私が子供のころ読んだアンデルセンの童話集にはすべてここにある作品が使われていました。今でも実家にありますが、今回初めてカラーで見ることができて本当に幸せ。紀行も楽しいけど、やっぱりこれは見て癒されるものかな~と思います。素敵です。
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この本は一応「講談社文庫」のラインナップなんだけど、文庫と言いつつもこれはカテゴリーとしては絵本の部類に入る本なんじゃないかと思います。 何せ、活字部分がほとんどなくて、8割がたが彼女の絵なんですから!(笑)
KiKi が子供時代に手にしていた「アンデルセン童話」はいわさきちひろさんの挿絵ではなかったんだけど、大人になってからあちこちの本屋さんで彼女の筆による挿絵のついた「アンデルセン童話」をいくつも目にしました。 ただ残念なことにどの一冊もちゃんと読んでみた(と言うより眺めてみた と言うべきかしら?)ことがありませんでした。 と言うのも、彼女の絵には独特の温かみと憂いがあってアンデルセンの世界観と大きな差こそ感じないものの、それでもやっぱりどことな~く違うっていうのが KiKi の素直な感覚なんですよね~。
彼女の絵がしっくりくるのはやっぱりアンデルセンよりは童心社発刊の「万葉のうた」の方じゃないかと思っちゃったりもするわけで・・・・・。
(全文はブログにて)
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画家である、いわさきちひろさんが、作家アンデルセンの童話を絵本としたものに、描いた挿絵を、一冊の画集として集めたものです。
独特の、パステルのようなタッチの淡い水彩画、和紙の切り紙で出来た、はり絵を思わせる柔らかい人物造形など、アンデルセンの童話のファンタジックな世界観を、美しく、柔らかく表現されています。
「人魚姫」、「親指姫」、「みにくいあひるの子」、「マッチ売りの少女」、等々、有名な作品の、素晴らしい挿画が展開される中で、Qが付箋を付けていたページをめくると、なぜか「砂丘の物語」でした。
本作の、「ちいさなおいのり」という、淡く透明感のある水彩画をバックに、いわさきちひろさんの言葉が引用されています。
「百年もの年代の差をこえて
わたしの心に
かわらないうつくしさを
なげかけてくれる
アンデルセン――――
むかしふうの文章なのだけれど
その中にいまの社会につうじる
同じ庶民の悲しさをうたいあげている
この作家に
わたしはずいぶん学ぶことが多い
アンデルセンの童話のもっている夢が
たいへんリアルだということが
現代のわたしたちの心にも
つうじるのであろう」 (ちひろ・一九六四年)
(冒頭より引用)
また、このアンデルセンの童話に絵画作品を描くにあたって、
「『マッチ売りの少女』とか、いろいろなおひめさま、また魔女たちに、わたしは、それぞれのイメージをつくり、それをすこしずつ発展させながら、なんかいかいたことだろう。なんかいかいても、なお工夫するたのしさを、私は、いまだに失わないでいる」(ちひろ・一九六四年) (「アンデルセンいろいろ」より引用)
と、述べており、アンデルセンの童話世界が、いわさきちひろさんのイメージをどこまでも豊かにふくらませ、とても共感のもてる、汲めど尽きせぬアイデアと、なにより「たのしさ」のもとであったことがうかがえます。
色彩豊かでファンタジック、しかし、どこか物悲しく、不思議な絵の世界が広がっています。
いわさきちひろさんの絵に、様々なタッチで描かれた人物のまなざしは、そのまま、いわさきちひろさん、ご自身のなげかける、世界へのまなざしであったようにも思えます。
おぼろな輪郭にいろどられた、淡い童話たちのなげかける夢。
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例えて言うなら「デパートの中のフリースペースで催された絵画展」のような本。
文庫本という気軽に手にできるサイズでありながら、ちひろさんの魅力がたくさん詰まっている。
アンデルセンの童話にちひろさんが画をつけた絵本からピックアップしたイラストの数々のうつくしいこと!
他にも、ちひろさんのエッセイやプチ旅行記、いわさきちひろ絵本美術館の長嶋香矢さんによる作品解説と贅沢なラインナップ。
アンデルセンに深く共鳴していたというちひろさん。
そういえば、アンデルセンって哀しいおはなしが多い。
ちひろさんの描く人物たちの、あの瞳に通じるような気がする。
ちひろさんがアンデルセンの故郷であるデンマークのオーデンセにあるアンデルセン美術館に行ったとき、家族に宛てて書いたハガキの文面の最後の言葉が正直かつ強気でキュート。
「ならんでいる各国のどの絵本もあんまり感動しませんでした。私の本の方が美しいような気がします。うぬぼれかしら。」