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渡部甚之介は将棋好きの剣客。ある日、秋山小兵衛の家で将棋を指し続けて、果し合いの約定を失念してしまう「鷲鼻の武士」
佐々木三冬は根岸の寮に帰るさなか、一人の女性を助ける。女性は絶命するが、抜荷の証拠を託した「品川お匙屋敷」
秋山大次郎は佐々木三冬と無事結婚。小兵衛と三冬は親子となる。そんな中、小兵衛はかつて道場に来ていた美男子を町中で見かける「川越中納言」
大阪へ、修行時代の恩師の墓参りに行った大次郎は帰途に同姓同名の人物に出会い、その苦境を救う為に尽力する「新妻」
小兵衛が料理屋•元長で見かけたのは品の良い老人。老人は行方不明になった娘の行方を探していた「金貸し幸右衛門」
植村友之助は、病を得るまでは小兵衛の高弟だった。そんな彼が、偶然拾った畳針で人助けをする「いのちの畳針」
金杉新田に住む鷲巣見平助は道場破り。日本橋の間宮道場に訪れると、その日、道場に来ていた大次郎と戦う。大次郎と真剣で立会いたいと望む平助だったが「道場破り」
ついに結ばれた大次郎と三冬。大次郎の道場で修行していた飯田粂太郎も元服し、小兵衛は63歳•おはるも23歳になった。(「金貸し幸右衛門」冒頭に記述あり)
「解説」によると、著者は67歳で亡くなったそうだが、著作は驚くほど多い。本作は著者が50代の作品だそうだが、脂がのりきっている感じがする。
つい先日見に行った映画館では、「鬼平犯科帳」の新シリーズ予告をやっていた。私が子どもの頃、父が、松本幸四郎主演のテレビシリーズを熱心に見ていたが、ついに孫が同じ役を演じる時代になったのだ。池波正太郎の作品は、ある意味で時代を超えて残るのかもしれない。