投稿元:
レビューを見る
著者は「作家という見栄えのする衣をまとってはいるがアイデンティティの8割が主婦である暮らしをしている」ソウルの外れに住み、二児の母親である40代の女性。
一日中家事をしていても「家で遊んでいる」と言われるのは何故か。肩の荷は充分重たいのに肩身は狭い身分、それが主婦。あー上等上等。
子どものいない夫婦やお一人様でちゃんとやってる人の解釈はどうなるのって疑問がないでもないが、現代韓国の事情が少し見えた。
個人的には韓国の賃貸事情にビックリ〜。
投稿元:
レビューを見る
"ときどき、こんなことを考える。女性が年を取るというのは、世の中のすべてが「男性」を基本値として想定していることに気づく過程なのではないかと。人間の歴史だと学んできたものが実は男性の歴史であり、人間の習わしだと学んできたものが実は男性の習わしだったという事実を体感する瞬間の連続ではないかと。その事実を痛みをもって体感しながら、女性である自分の視線で世の中をひとつひとつ再定義すること、それが、女性が年を取ることの本質ではないかと。"(p.108)
これか。わたし今まさに(40過ぎてからは特に顕著に)この過程にあって、だからいろいろしんどくもあるのか。
読みながら自分のモヤモヤがひとつずつ言語化されてクリアになっていく感じがして興奮した。具体的に何かを変えられるわけじゃないけど、新しい視野を得て、慰めと勇気をもらった気分。
原題は『당신이 집에서 논다는 거짓말』(あなたが家で遊んでいるというウソ)。こっちも直球でいいな。
投稿元:
レビューを見る
「毎日新聞」20230506書評
https://mainichi.jp/articles/20230506/ddm/015/070/014000c
投稿元:
レビューを見る
読み始めて、今のわたしにはちょっと難しい本かな?と思ったけれど、いちばんしっくりくる部分がエピローグにあったので、最後まで読んでよかったと思った。わたしもありがたく専業主婦でいさせてもらっているので、女の方がラッキーと思うけど、もし夫が逆になりたいと言ったらその時は周りの誰が反対しても代わってあげたいと思っている。
へえ〜なるほど、と思う部分がたくさんあって面白かったのだけど、特に唯一読んだことのあった「女2人暮らしています」のところは、チョン・アウンさんからみるとそんな話だったのか!と、なんだかペア読書したみたいな気分になって楽しかった。
投稿元:
レビューを見る
女性を現在の位置に連れてきたのは女性運動と、資本主義とお金であるというのは驚きだった。それは私が働き続ける動機でもあったからだ。苦手な育児を保育園に預けることで回避することができたのは働いていたからだ。義理の実家に行かなくて良かったのも働いていたからだ。
家事育児という非賃金労働は経済学の指標にも、マルクスの資本論にも入っていなかった視点という。それは驚きだったし、私もある意味見下していたのかもしれない。
非賃金労働が社会の中に位置付いていたら、私も働かないでいたかもしれない。そういう社会であったら。
投稿元:
レビューを見る
大変良かった。
序章のところを読んでいて涙が出そうになりました。専業主婦が「遊んでいる」と言われる理不尽さ。そこまで言われたことはなくても、似たような経験はみんなあると思います。
結局、専業主婦になっても大変、働いても大変。
韓国の主婦のほうが大変な面はさらに多そうな印象を受けました。親族が集まった際に料理を作ったり、子どもの教育にかける労力も。
何を目指して子育てをするのか、働くのか、考えながら読める本です。
紹介されていた本で、読んでみたいものもいくつかありました。
投稿元:
レビューを見る
とてもおもしろかった。翻訳ものであるが、ケア関連の書籍としては非常に読みやすい。日本より強く家父長制が残る韓国で、ケア労働はどう捉えられ消化されるのか。その点でも興味の尽きない本だった。タイトルが印象的で、『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か』を思わせるが、原著のタイトルは全く違うらしい。
著者のチョン・アウンさんは韓国人。主婦にして作家だが、家事や育児のために勤め先を辞めた経験を持つ。家族を大切にする暮らしは充実しつつも、時折投げかけられる夫や親類縁者、友人たちの言葉にどこかモヤモヤしたものを抱えていたチョンさんは、ある日、講演の席で主婦の稼ぎがないことをどう思うかという質問を受ける。
やることはやっているのに、なぜ主婦は「遊んでいる」と言われなければならないのか。そこでチョンさんは、はたと思い当たるのである。すべては「お金」の問題なんだ。そこから、15冊の書籍を手がかりにした彼女の思索の旅が始まる。
私は日本人で、男性で、結婚もしていなければ子どももいない(電車の中でカバーもせずに読んでいたら、初老の女性に本の表紙と私の顔を何度も見直された笑)。作者とは重なる部分がまるでないが、読んでいて共感を覚えた。紹介される書籍は日本未刊行のものも多いが、そこもあまり気にならなかった。本書は書籍レビューの形をとっているが、本筋はそこにはないからだ。女性はもちろん、男性にもおすすめの本。
投稿元:
レビューを見る
自分なりに勉強しているはずで、意識も割と高い方だと思っていたけれど、無意識のうちに自分が妻に発する言葉の中に「女性が家事をするもの」という認識があったり、仕事から帰ってきて、洗い物するの面倒だなと思ってるとき、ついつい「僕は外で仕事してるから、やらなくていいよね」なんて考えてしまったりすることがおかしいことだと引っかかるようになった。
家事労働者に休みはないし、給料だって出ない。
投稿元:
レビューを見る
国立女性教育会館 女性教育情報センターOPACへ→
https://winet2.nwec.go.jp/bunken/opac_link/bibid/BB11544740