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著者が約10年前に別名義で上梓した『名人宣言』から何も変わらず、二代快楽亭ブラックへの愛や思いを当人と過ごした時間があればあるだけそのまま羅列しただけ。ある程度「他者」に読まれることを意識して著述しているのだろうが、こちらを「読者」とするのならば作為のないメモを読ませられた感想しか抱けなかった&残らなかったので、本当に新聞社で働くブンヤなのか?と疑わざるを得ない。それはエピソードの当人の台詞を記述した文末が、『~」云々。』とだけで処理しているところからして明らか、と言わせてほしい。ここから著者が文章に託したその熱意を読者に十全に伝わることとして捉えていたとすれば、到底承服出来ない。折角師匠が廃業した元弟子から訴えられた前代未聞の題材や貴重な師匠との落語稽古旅行の顛末を、どんなルポルタージュとして読ませてくれるのか楽しみにしていただけに、著者の文才に上記前作からほとんど期待していなかったとはいえ、甚だ残念である。