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レイワのパラレルワールドでの架空六法
…なんだけど実際に有り得そうでこわい。後味の悪いものもあり。政治家の皆さん、ちゃんと国民のことしっかり把握して法案作ってくださいよと心から願う。
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これは楽しい!鋭角に切り込む社会風刺が最高 #令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法
■きっと読みたくなるレビュー
おもろい!
新川先生のユーモラスなセンスと破天荒な発想力が爆発した作品。
昨今、社会問題になった事案への皮肉がたっぷり仕込まれていて、読んでいてニヤニヤが止まりません。さすがは弁護士先生だけあって、法律や裁判についても書き込みが深く、リアルな表現が最高。
どの短編もそのまま「世にも奇妙な物語」あたりでドラマ化されてもおかしくないほど完成度が高い。
最後まで★4か5のどちらにするか悩んだんですが、若干ごちゃついている感もあったので、少し厳しめにさせてもらいました。しかし作品全体のアイデアやエンタメ要素としては★5満点です。
○動物裁判【おすすめ!】
動物が文字でコミュニケーションがとれる世界で行われる動物裁判。
多様性や差別の問題を切り口に、トンデモな舞台設定が面白すぎる。
こんなに馬鹿馬鹿しくも真剣に社会問題に切り込む社会派小説はないですね。そういえば『ゴリラ裁判の日』を読まなきゃ。
○自家醸造の女
かつて禁酒法時代があった世界における、自家製日本酒にまつわる物語。
姻族との人間関係を風刺しつつも、自分都合でしか考えない主人公の愚痴や不満が共感できる。
○シレーナの大冒険
南極大陸の条約にまつわる物語。
あまりにも斬新な発想力で禿げそう。たぶん長編にしたらもっと面白くなったと思うんだけどな~
○健康なまま死んでくれ 【おすすめ!】
労働環境について過剰に管理しなければならない労働法が制定された世界での物語。
社会問題性や登場キャラの設定や関係性が素晴らしく完成度が高い。
数年後あたりに、こんな社会が現実化するんじゃね?と思えるほどリアルで怖い。ぜひ映像化で見たくなる作品ですね。
○最後のYUKICHI
電子決済が主流になり、現金の使用が禁じられた世界での物語。
筒井康隆先生の『最後の喫煙者』のオマージュですね。世にも奇妙な物語でもドラマ化されてました。
本作の魅力は、圧倒的な滅茶苦茶ぶりですね。最後までやりすぎ感が最高でした。
○接待麻雀士 【おすすめ!】
賭け麻雀が合法化された世界で、接待麻雀が繰り広げられる物語。
新川先生は元プロ雀士でもありますよね。
作家、東大卒、弁護士、海外生まれで海外在住、元プロ雀士って、人間何回目でしょうか。まだ30代前半でしかも美人ですよ。はー凄すぎて、なんも言えねぇ
本作は例の政治家賭け麻雀問題をフックに、こんな鋭角な角度で物語をしたためるなんざ、やり過ぎで最高です。
アイデア一発と思いきや、展開もミステリーとしても凝っていて出来もよく、主人公が生き抜いていく上での葛藤も良く描けていて素晴らしい作品です。
■ぜっさん推しポイント
読んでいて楽しい!これに尽きる。
ミステリーは大好きなんですが、重厚感たっぷりの本格や社会派を読み続��ていると疲れちゃうこともあるんです。しかしながら、この作品は突飛な発想力と強烈なエンタメ力で、私のもやもやを吹き飛ばしてくれました。
先生のこれからの作品にも期待しちゃいます!
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やたらと長い題名に何の話とも分からずに読んでみたが、現実の地球でない謂わば今流行りのマルチバースで起こるストーリーであった、まるで一昔前の星新一によるショートショートのような六編の短編で、この著者に期待しているものではなかった、出来ればこれまで登場させたキャラクター達の続編が欲しいものだ、それともこの著者は飽きやすく同じ物を書くのが嫌なのだろうか。
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新しい法律ができるとそれが基準となり徐々に解釈が変化しそれが当たり前になる。描かれてる法律が成立したらどうなるんだろう?
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新時代の新しい法律と、それに振り回される人々の、ナンセンスストーリー。
とりあえずこれらの法律が現実にならないことを切に願う。
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ひとつの法律が成立するだけで、いつのまにか社会は「健全に」いっぺんする。90年代の終わりに派遣法が成立して格差拡大が「当たり前」になった。10年代に秘密保護法・共謀法が成立して、社会の奥で何が行われているか見えなくなった(例えば宇宙軍拡)。本書とは関係ないけど、私はそう思っている。
閑話休題
礼和四年「動物福祉法」及び「動物虐待の防止等に関する法律」成立
麗和六年「酒税法及び酒類行政関係法令等解釈(通称どぶろく通達)」成立
冷和二十五年「南極条約の取り扱いに関する議定書(通称・南極議定書)」成立
隷和五年「労働者保護法」あるいは「アンバーシップ・コード」成立
零和十年「通貨の単位及び電子決済等に関する法律(通称・電子通貨法)」成立
例和三年「健全な麻雀賭博に関する法律(通称・健雀法)」成立
という法律が成立したパラレルワールドの日本を描いた短編集である。
作者は元弁護士なので、1話目での猫の山本ココアを「原告」とする訴状なんてリアルそのもの。仮定の世界なので、どちらかというとSF的なお話が多いし、それがとても面白いのだから、作者のフィールドはミステリだけではないことを示したという意味では大きな曲がり角の作品になったのかもしれない。(ただ、最後のプロ雀士が出てくる話だけは、作者が元雀士だった経歴を活かしているのだろうけど、専門用語が多すぎてついていけなかった)
その中で殺人事件も起きて1番ミステリな話になっているのは、4話目の「健康なままで死んでくれ」。労働法をテーマにした話は、ほとんど聞かないので珍しかった。私はボランティアで労働相談をしている。なんか聞いたような話がたくさん出てきて、(嫌になった)興味深かった。
はっきり言って、この隷和五年「労働者保護法」は労働者保護に全然なっていない。そういえば、現状の平成27年改正労働者派遣法も、派遣労働者は3年以上働いたら正社員待遇にする事になったはず。これによって派遣社員に正社員の道が開かれたわけではなく、3年ごとに契約を打ち切る方向に企業は舵を切った。法改正にはたいてい建前の裏に本音が隠されている。隷和の過労死を防止するための法律は、労働者にリストバンドを強要し、日常の全てを管理させる。結果、労働者は以前よりも疲れるようになるけど、「会社の外で」「突然死」するのならば会社に責任はないからスルーされる。あ、そうそう某国でも「働き方改革」というやり方で残業削減したけど「成果」は同等のものが求められるから、社員は「工夫して」成果を出している人たちがたくさんいるということも聞いた。どの国とは言いませんが。
あ、読み直すと、現実と本書の感想をごちゃ混ぜにして書いてますよね。ごめんなさい。
でも、それこそが、この本の感想なのです。
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七冊目の新川帆立さん。
今回は完全な短編集。でも・・・・なんだ!
なんという、長い題名の本だ!
まったく・・・・
架空六法なので、六話ある。
先ずは“動物裁判” 原告の猫と、被告の
チンパンジー。でも、動物愛護法は
その他のレイワ時代では、動物福祉法に変わる。
とにかく酒税法も変わり、家庭では
主婦もお酒を作ることができるのを
良しとするなんて。・・・・私は作りません!!と宣言したい。
麻雀賭博が健全な法に改正されること
もまったく・・・・・だ。
架空六法、とは帆立さんも変わった
題材を思いついたと思う。
今までの帆立さんの本の中で、私は
「競争の番人」が一番いいと思う。
続編があり、二冊とも楽しく読めた。
あの本は三冊目を期待したい。
2023、4、21 読了
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帆立という名前を覚えている。新聞の書評欄のインタビュー?に出てた。
でも、読めねー。入ってこない。オムニバスなので2話ほど読みかけたが、どちらも続かんかった。
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Kindleで読んだ。
家庭醸造が奨励される麗和6年。求められるがまま造酒に励む女たちが、苦悩の末、男たちに隠れて編み出した「秘策」とは…。架空の法律をめぐる、仕掛けだらけのリーガルSF短編集。
初読みの作家さん。
初っ端から動物が動物を訴えるという…現代とは異なる常識の世界。
SF好きだわー!
どれか一つくらい未来で起こりうるかもね。
ちょっと後味悪い話が多めで好みだった。
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架空の日本や世界のパラレルワールドのような世界での、トンデモ法律によって浮かび上がる、法律に基づいた正しい社会でのお話し6話。どれも、ブラックでシュール、一つ間違うと本当にありそうな物語もあって恐ろしい。
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リーガルSF?!
あいかわらず目の付け所がいいな〜
なんか楽しくなっちゃうかんね
よくある法律のなにこれ?って間の抜けた部分をめちゃくちゃに膨らましたような架空の法律がある世界での短編が六法
どれもなんか不思議な感じで話が進み
最後ちょっぴりブラックでなにか教訓めいている
まさに星新一先生を彷彿とさせ星新一先生大好きな私としては面白くないわけがない!
ってかあれ?もしかして帆立さんも星新一先生好きなのかな?
だとしたらもうこれは同志じゃん!
帆立ちゃんひまちゃんの仲じゃん!(怖い)
それにしても帆立ちゃんの成長曲線が凄い
着眼点も凄いが、文章自体もすごく洗練されてきたように感じます
どこがどうって聞かれちゃうとうまく説明できないんだが、なんていうか無駄がなくなってきたな〜なんて思うんですよね
次は何?リーガル時代小説とか書いちゃう?
帆立ちゃんの今後がますます楽しみです
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筒井康隆を彷彿させるような雰囲気に新川さんらしい法律の要素が加わった、SF、ミステリー、風刺、推理…盛り沢山な短編集でした。
「倒産続きの彼女」の時にも思いましたが、この作家さんは、何かの思いや現状に捕らわれた登場人物が、それらから解放されていく様を描くのがとても上手いです。
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1.こういう結末はちょっとな~
2.いいです
3.これもいい
4.テーマが重い
5.よくわからん
6.これが一番好き
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架空設定とはいえ、未来はひょっとしたらこの短編のような法律でどれかは実現しているかも?と思ったりしました。
特に健康のまま死んでくれと接待麻雀士はリアルさを感じてしまいました。今までのリーガルミステリとは一味違う内容でした。
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もしもこんな法律ができたら何が起こる?を形にしたブラック短編6篇。(帯によると「リーガルSF」なる新境地らしい。)
・イヤミス!と思った編
「動物裁判」
ボノボ=平和的というイメージを覆すオチ。これって完全犯罪じゃない?何でも分かった”つもり”ってのが一番怖いよねーというか、彼女に新しい恋人ができたら、奴はまた手を回して駄目にしてしまいそう。スマホに聞いたらボノボの寿命40年くらいあるらしいので、割と悪質な守護霊というか呪縛霊に憑かれた感が拭えなくてそこもイヤミス。
・切ないなぁと思った編
「健康なまま死んでくれ」。
身も蓋もない本音タイトルと、善意に押されて制定された法律がおかしな運用されちゃう悲哀が切ない。(たぶん法律作る方もわざと抜け穴開けてあるんだろうね)。ギスギスした社内ヒエラルキーも、取り繕うことしか頭にない企業も、終わりの見えない介護生活も、聞いたことある話ばっかで辛い。「そろそろきみも自由になっていいんじゃないか」って台詞の意味が明かされるラストであちゃーと思ったけど、彼に中止する選択肢はないんだろうな、と思えてそれも切ない。
<総評>
虚実織り交ぜて「こんな法律できるかもね??」なレイワ世界を描いた所が面白かった。読まないと意味の分からない装丁も読んだ後だとこれはコレだな、と分かる所が面白い。(ヤマボンなんかまんまじゃんかと心配になるくらい)。
反面、仮想世界の消失とか一番いい酒のオチとか、他所で読んだことのある話だな、と思わせる所がちょいちょいあった。もちろん誰も読んだことのない驚きを見せてくれ!とか大層なことは言わないけど、短編だしエッセンスを薄めて借りてきた感が頭によぎってちょっともったいなかった気もする。この作者は短~中編じゃなくて長編でミチミチに書きたいことを詰め込んだ方が活きるのかもしれない、と思った1作だった。