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【きっかけ・目的】
また、椎名さんの本を読みたいなぁと、やはり盟友目黒考二さんが亡くなった前後の動向を知りたかったのが一番の動機だ。
【感想】
帯にもあるが、「よろよろと生還す」ということなんだろう。まさしく文章もそう。「よろよろ」とという表現が加齢による見えないものへの抗いも相まっておもしろかなしずむ的になっている。
作家シーナのコロナ禍の日常が描かれている。緊急事態宣言下でも不眠症でもやはり飲む。そして書く。さらに仲間とつるむ。そういう日常だ。失踪願望が主眼になっているが、アウトドアのように外で遊びたい欲望の裏返しかとも思う。
当時自分がどう生活していたという振り返りもかねて見たがただひたすら目の前のことに一生懸命で、、単に働いていただけのような気がする。
失踪願望の日記部分は(残念ながら)さておき、3人の兄と闘病記はさすがはコロナ禍における考察も交え、私小説風に仕上がっている。
【終わりに】
新宿赤マントシリーズとはまた違う日々の諸々のことがらが書いてある。さらにこの連載は集英社文芸の森で行われているのが今らしい。紙上ではこの内容では難しいか元思った。なんだろうか往年の椎名誠ファンならではの連載ではないだろうか。
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もう30年以上、椎名誠氏に憧れている。
・自由
・明るい
・アクティブ
・おもしろい
なのに
・知的
実際に自分の生き方に大きく影響を与えた人だ。
だが、ここ10年くらいの著作は暗い内容が多くて、
読んでいるこちらまで「歳を取ったなぁ」と暗くなっていた。
本作は比較的明るい。
老いを表現する部分もあるのだが、
全盛期を振り返ったり、
友人たちに本心から感謝を伝えている記述も多い。
特に印象に残ったのが、「奥さんへの感謝・尊敬」と「野田知佑氏との想い出」。
自分とは正反対の性格の奥さんに対して素直な気持ちを綴っている。
そして、個人的に椎名氏と同様に憧れ、昨年亡くなってしまった野田氏の今だから書けるような裏話も、「こんなにたくさん!」と思えるほど披露している。
あれだけ仲が良かった二人なのに、亡くなったときにコメントを出さないので違和感があった。だから余計にうれしい。おそらく決裂の原因となったであろう出来事もくわしく知れてよかった。
そんな感じで、久しぶりに読後感の爽やかな本でした。
ただし、コロナ感染部分は結構壮絶です。
あと、酒の飲み方が未だに尋常じゃない。
昔は「豪快」と思えたが、お爺ちゃんとなった今は危険なだけ。
ファンとしては酒量を減らして、バカ話の執筆量を増やしてほしい。
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30代に探検記や岳物語を読んでました。
何十年ぶりかの椎名さん作品で、幕張少年マサイ族からのつながりで読みました。
人生初めてのお酒がこんなジイジと飲めるお孫さんが羨ましいのと椎名さんがうらやましいです。
奥様も素敵です。
読んで良かったです。
追記
沢野さんのジジイの台所も参考に実践してます。
本当に素敵な仲間たちですね。
もちろん野田さんも。
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エッセイストとしては散々愉しませていただくも、いただいていた、と過去形になっちまったなぁ。政治家にお役人に様々な日本の社会システムに向けた毒舌も、彼が世界の秘境を巡って得た世界観あってのものでしょう。じいじいとなり、コロナに罹患し、冒険心は薄れ、酒は衰えを自覚せずにバカ飲みして禁酒令を食らう。もともと厭世的なとこあって限られた仲間だけを偏愛する人だったが、それがますます顕著となった。妻の一枝さんがやたら登場して感謝を繰り返し、子供に孫が可愛やか。余生は世間に晒さずとも、世間から失踪してご家族と団欒なさい。
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精神的不調、アルコール依存症、加齢の影響で、冒険心や行動力も衰えて来ているシーナ。お孫さんや奥さんの一枝さん、旧友の話がやたらと出て来て微笑ましいが、世界が狭くなって来ているようで昔からのファンとしては寂しい気もする。偏狭さが増しているように感じるのは自分だけだろうか...。
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あの元気な椎名さんがコロナでこれほど苦しんでたとは驚き。とおりゃんせ、の話が妙に怖い。また元気な椎名さんの見事な復活を期待してます。