紙の本
不自由な現代社会を生き抜くため
2023/04/20 20:02
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
内田樹氏の言葉は、世の中の見方を変えてくれる。現代社会は、不自由な世界だと思うし、日本の未来は、明るく想像することは困難だ。未来の人類すなわち今の子供たちに、不自由さを押し付けず、なんとか自由さを選択させてやりたい。日本の子供は、学校教育の中で、マジョリティの中に紛れ込み、「みんなと同じ表情」をすることで、身の安全を図ろうとしている。さらに教育を受ける側が自ら考えることが大事であるにもかかわらず、考える余地が与えられていないことが問題だ。生き抜く手助けをしたいものだ、高齢者としては。
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#君たちのための自由論
#ゲリラ的な学びのすすめ
#内田樹
#ウスビ・サコ
23/2/8出版
最近の日本、頑張れ頑張れ!、とは反対の意識が「じわっ」としだしている感じがする
本書の「だらだらのススメ」大事なのかも
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き
#読みたい本
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内田樹先生の本の読み方にはコツがある。
真面目に論を追わない
信じすぎない
楽しむ
である。
私が内田先生の本を数十年手に取っているのは、
いつも同じことを言っている
からである。
日本や世界でさまざまな出来事が起こっても新しいテクノロジーがでてきても
いつも同じことを言っている
のである。
さまざまな出来事に揺さぶられ、新しいテクノロジーを持て余してしまう自分には、変わらぬ内田先生を確認することで、自分の頭をマッサージしているのである。
もっと自由に考えて行動していいんだよ
本書のメッセージはまさにいつも内田先生が繰り返していること。
今回の内田節はウスビ•サコ先生ともうまくマッチ(時々困らせて)していて、それもよかった。
読書術とかは駆使せず、メモも取らず、ゴロゴロだらだら読んでください。
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「将来が不安」な君に贈る、自由すぎる生き方のヒント。2人の個性派教育者が、コロナ禍で考えたこと。「大化け」する秘訣とは?
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内田樹と京都精華大元学長のウスビ・サコさんの対談集。サコさんの話は初めて聞いたけれど、マリから中国を経て日本に来て大学の学長にまでなられている日本では異色のキャリア。でもこういう外の視点を持った方が日本の中枢にもっと入ってこないと日本はいまの旧態依然とした価値観の中での椅子取りゲームに興じて、全体の椅子は減り続けるということになってしまうだろう。
内田さんもサコさんも極めて真っ当なことしか言っているとは思えないんだけれど、悲しいかなそれができないのがいまの日本で狭い価値観のなかで汲々としているという感じ。
いよいよ日本に働きに来てくれるような外国人がいなくなり、外国に出稼ぎに行かなきゃいけない日本人が増えてきたとき、ついに日本人も絶望して変わり始めるのかもしれないと思った。
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P171自分の居場所の見つけ方という部分が非常に良かった。内田老師のよく言っていることではあるが、ポワンカレを引いて「知性の働きは違うところにあるものを同じものだと気づくことにある」というメッセージは自分自身の好みにも合致する。「これってあれだよね?」という直感はなんとも表現しがたい恍惚感と快感がある。常に抽象と具体を高速で行き来し、一見全く別のものに見える概念の共通点やフラクタル性に気づくことは何にも代えがたい感覚だ。さらに、内田老師のようにレヴィナスと合気道という一見全く異なる分野になんらかの共通点を直感し、その両者を極めることで、唯一無二の存在になることができるという点も含蓄がある。1つの分野を極めることも素晴らしいが、その中でトップで存在し続けることは難しい。しかし、2つ目、3つ目の線を立てていった場合、その交差点を極める人々が急激に少なくなる。自分自身、福利厚生保険という領域は、人事領域と保険領域の結節点であり、さらにはそこに西洋中世史で学んだコミュニティ論やギルド論の時間軸の掛け合わせや中高で学んだ仏教の考え方も参考になる。さらには人事領域も結局のところ、「人間がいかに能力を最大化できるか」という部分ととらえれば、深い人間理解という意味で哲学が重要になってくる。哲学で言えば、内田老師もそうであるが、私はサルトルも好きなので、近年のエンゲージメントという言葉について考えるとき、サルトルの重要な哲学概念であるアンガージュマン(英仏での発音が違うだけ)を想起してしまう。近年注目されつつあるが、人類学的な分野で贈与論は、ビジネス領域でも示唆があると考えられ、本も出ている。無数の「これってあれのことだよね?」という結節点が浮かぶ中で、非常に今満足しているし、その分、「あれ」を増やすための物語や概念を渇望し、貪るように本を読んでいるということもある。
また、最後にP184 で内田老師の以下の発言がある。
「日本はたしかにもう泥船です。それは事実です。もう沈みかけている。でも、その時に泥船を捨てて逃げろというスマートでエゴイスティックな解とは別に、なんとかもたせて沈むまでの時間を先送りに資、その間にできるだけ多くのモノを救い出すという泥臭い仕事も誰かが担うべきだと思うんです。それこそが市民の役割であり、責任だと思う。船底に空いた穴をふさいだり、いらない荷物を海に捨てたりして浮力を稼いで、この国を少しでも長く生き永らえさせようとすること。それも大切な市民の仕事だと思います。」
非常に共感するし、内田老師を左翼と批判する面々も世の中にいるが、(そもそも右翼とか左翼という物言いにも辟易しているが)やっぱり内田老師の日本という国への愛と感じるのである。いや、日本という国への愛というより、結局は想像の共同体であるというクールな国家観をベースとした中で、その中で日本と言う国にいる集団の能力を最大化するには、そして一人でも多くの人を幸福な暮らしのうちで生きてもらうにはどのような物語が必要であるか、そこに彼自身の興味と、やはり日本と言う国への矜持があるのではないかと思う。私は、今外資系企業に勤め��いるが、内田老師と同じように、仮に泥船だとしても、日本と言う国を活かし続けるために何ができるかという課題意識はずっとあるし、私自身は社会保障が先細りする中で企業がセーフティネットの一部を代替するをいうカルチャーの醸成を民間サイドで担うとともに、一市民として、それではあぶれてしまう子供の貧困やそれに基づく教育格差について政治的な是正の必要性を訴える政党に投票したいと考えている。そして、日本を活かしていきたいと思うからこそ、海外に行きたいと思うし、国籍の違う人々の考え方を吸収するために、外資系の多国籍企業に在籍している。
また、ゲゼルシャフト、ゲマインシャフトの中間のような形で、アメリカのアソシエーションのような非常に親密でありながら個人の意思で自由に参加できるゲノッセンシャフトというものがあることを知った。そして、そうした共同体を立ち上げ、維持するためには、明確な組織のミッションとそれを先人から贈与されたものであると言う物語が必要であると記載がある。企業におけるパーパスという部分にもつながる話ではないだろうか。私自身、福利厚生保険をやる中で企業と言うものが、もちろんゲマインシャフトではないが、完全なるゲゼルシャフトでもないように思えていた。そのため、ゲノッセンシャフトというある種の2つのコミュニティの形のアウフハーベンした形のこの概念には惹かれるものがあった。
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「君たちのための自由論 内田樹 ウスビ·サコ著」読了。面白かった。力が沸いてくる本だ。本屋のずらりと並ぶ新書コーナーで、どれにするか迷った。その時気分が落ち込んでいたので、前向きにしてくれそうな本を買った。正解であった。
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日本人もハイコンテクストだけでなくローコンテンクストで伝えることも重要。
相手を思うとはここまで考えないと。
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相変わらず学びがあり、相変わらず溜飲が下がり、相変わらず少しだけ希望が湧いた。日本や世界の、現状が現状だけに少しだけだが(笑)
【親切】
帚木蓬生の「ネガティヴケイパビリティ」で、「親切」ということがこれからのキーワードだと思ったが、内田樹もまた、親切という美徳をアカデミアの世界でも重んじるべきだと言う。「正直」「親切」「愉快」!
「学校教育で1番大事なことは『歓待する』ということだと思います。教室に入ってきた人たちに対して『ようこそ、あなたの席はここにあります。あなたの存在は固有名において承認されています。あなたはここに座って学ぶ権利があります。私はあなたがここで学ぶことを望んでいます。』そう告げることだと思います。歓待すること、承認すること、祝福すること。教育の本務はそれに尽くされると思います。」p97
強く同意。
【人口減】
人口減は全世界的な現象だが、キャリング・キャパシティ(環境収容力)を考えたらこれ以上人口が無限に増え続けることは無理。この自然の摂理をどう受け入れるか。
中国政府が親たち教師たちに「宿題を出すな、塾に行かせるな、家庭教師を雇うな、予備校のオンライン講義を受けさせるな」という圧力は、受験戦争の「勝ち組」にリソースを集中させて、階層が固定化される社会では危機の時代に対応できないと指導部が気づいているせいだと言う。本当に中国政府が気づいているかどうかは別として、この内田の指摘は、なるほどと思った。
それに反して日本の人口減対策は都市一極集中シナリオと地方の過疎化・無住地化政策をりだらだらと続けている。内田樹はこの選択は必ず失敗すると言う。
【ホスピタリティ】
この人口減から今後、日本、韓国、中国で生産年齢人口の移民労働者の争奪戦が起きるだろう。
「賃金が安い日本へアジアの若い人たちに来てもらうとしたら、日本にはもうホスピタリティしか売り物がないと思うんです。ご飯が美味しくて、治安がよくて、気候が温和で、風景の美しい国であることは世界中が知ってますから、あとは人心が穏やかで、海外からの人を常に歓迎しますというオープンマインドな気持ちさせ示せれば、それてわ十分に日本より高い賃金が出せる韓国や中国とも渡り合えると思うんです。けれども、それをしようとしない。それどころか、レイシストがネットで暴言を吐き散らし、外国人技能実習生が差別され、入管では非人道的な暴力がふるわれている。」p202
人種も言語も宗教も生活文化も異なる人たちと生活空間を共有するには
「隣人同士できちんとした社会契約を結び、それを守ること。『それは契約違反である』というかたちでクレームをつけることはできますけれど、『理解できない』とか『共感できない』と言うことを理由に他者を排除すべきでなはない」「もうひとつは歓待の気持ちです。人口減・高齢化で危機に瀕した日本を助けにきてくれて『ありがとう』という気持ちをもって海外から来る人に接することです」p206
これもまたキーワードは「親切」だ。
【「自由」と「平等」そ���て「親切」】
「今世界で最も裕福な8人の個人資産は、それ以外の36億人の資産と同額」であるのは、「自由の過剰」の帰結だが、どう考えても自由の方が見た目もいいし、勢いもある。「自由」と「平等」との匙加減が大事だが、民主主義はその拮抗する二つの原理を二枚看板として掲げている。なんとか折り合いをつけ続けなければならないという点で、優れている。
両立させるために必要なものは、「自由」を抑圧せずに中和させるもの。それが「友愛」=「親切」
「だから、「僕が集団に求めるのは『自由・平等・親切』なんです」
ここら辺は内田樹らしい論理展開だ。
【公共の再構築】
これからの世界に必要なのは、「ゲノッセンシャフト」(英語の「アソシエーション」)
生まれた瞬間から縛られる地縁血縁結合共同体とは違い、非常に親密でありながら個人の自由で任意に参加できる共同体のことだ。
上下関係を先に明確にして組織を作る旧来のやり方ではなく、リーダーのよくわからない公共の場を「私」の側から作っていくこと。
日本の将来に不安を抱える若者に「日本を捨てなさい」と平然と言うリアリストぶった識者を内田樹は断罪する。そんな生き方はほとんどの日本人には不可能だと。例外的な「強者」以外の99%の日本人はこの泥船に乗り続けるしかない。なのにそういう生き方自体が「敗者の生き方」だと言い放つなんて、と。
そして、この泥船が沈むまでの時間を先送りにして、できるだけ多くのものを救い出すという泥臭い仕事を誰かが担うべきだと。
その公共の再構築のために、自分にできる範囲で自分に何ができるか、若者の中からすでにそういうことのできる人は出てきているとウスビ・サコと内田樹は言う。
そうなのか、とほんの少しの希望をもらう。
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内田樹さんとウスビ・サコさんの対談本。 若い人たちに向けた啓蒙指南書。 自由について持論を紹介する。
内田さんの言葉は、読んでいる時は「なるほど」と思うことが多いのだが、読み終わると「何だっけ」と思うことがよくある。 でもこの本の中で、自由の対義語は平等だという話は印象に残った。自由は競争を生み、強者と弱者が発生する。その時点で平等という概念はない。だから対義語になる。なるほど。
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この本は、ウスビ・サコ先生と内田先生の対談をベースに構成されている。
異色の経歴を経て学長を務めるサコ先生のグローバルな視点から、自由、人生論や今の日本の教育体制への不満、ひいては日本人への熱烈なバッシング。
対談がベースとなっているため、話が長くなりすぎたり、小難しい話を有識者同士で語り合う場面もあった、しかし最終章は主張がとても分かりやすく、読者に目掛けたメッセージがとても熱かった。
日々を漫然と過ごしている僕と同じような学生諸君、必見である。
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バックグラウンドが違う学生同士で研究を進めることは、空気を読むだけではできず、良い「共感と理解」以外で付き合う練習になると思う。
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急いで図書館に返さなくてはいけなくて、マインドマップを書けなかったけれど、
次に行くときに借りてきて、もう一度読んで内容を理解したい
今の日本の大学は、昔と変わらず、ものすごく窮屈で、「学ぶ」「学び続ける」に向いていないこと
「海外で働いて暮らせ」と言われるが、そうできない日本人の方が多い、だから、、とそこが述べられていた
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日本の若者の不自由さが「間違っている」から自由を教え導くべきだ、という論調。若者は間違っているという前提を一度捨てて考えるべきだと私は思う。若者は間違っていない。むしろ時代に最適化している。若者は正しい。生存のための最も正しい道を歩んでいる。若者を作っているのは学校教育だけでない。社会全体の要請が学校をそう有らしめているし、若者にそれを選ばせている。そうさせている社会に注目せず若者を変えようとするのは無謀だと思う。
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もう少しリラックスして物事を考えませんか?そして世間の事象に問いを投げかけよう。窮屈で定型化された日本社会に生きる人には刺さる部分が多い。
新参者をニワカと揶揄したり、学力という一つのベクトルで評価したり、当たり前に行われている窮屈な物事に問いを投げかけて考え、自分なりの柔和な考え方を身につけるのは大事だ。