投稿元:
レビューを見る
クライミングの歴史書とも言える当作、復刻したので読んでみました。トポ以外の菊地さんの本は初めてかも。
タイトルそのまま、クライミングの誕生から、どうクライミング業界が醸成されてきたのか、を数々の記録や著作、(主に)著者の体験から解説した本。文字通り石にかじりつくようなクライマー人生が赤裸々に綴られています。
クライマーというのはほんとに特殊な人種で、専門用語が悠久にまかり通ること。久しぶりに会った仲間に「今何やってるの?」「赤矢印」とか、クライマー以外が聞いたらなんのこっちゃだよな。
さすがに2年半もクライミングやってると少なくとも国内のクライミングエリアは大体わかるし、それがどういう歴史的背景を持って開拓され、どんなドラマがあったのか、を知るのは純粋に楽しく、次これ触りたいと言う課題がいくつも見つかりました。
スポーツはアート。自己表現の1種。
山に登ること、壁を登ること、それは自然との対話であり、そこにはその人の美学が存在する。
中でも「クライミングの追求というのは態度の追求」
という一文が刺さりました。
極限の状況下で、あと1歩踏み出せるか出せないかという時。そこに必要なのは技術や力以上に、踏み出そうとする''態度''であるに違いない。
クライミングに対する考え方はたくさんあるけれど、
グレード至上主義とか、スポーツとしてとか、登山の一種としてとか、なんか色々あるけれど、
1個人のクライミングにおいて考えれば、クライミングの追求というのは、そのルートとの対話であり、そのルートに挑まんとする態度、それに尽きるのでしょうね。
クライミングに安全を求めすぎる傾向は個人的にはあまり受け入れたくないけど(だって本質がなくなっちゃうから)、それによって広がっていく部分もあるし、それで意見が割れることもあるし、広がりすぎたクライミングが今後どうなっていくのか、というのはこれまでの流れを知ってから見ると、気づけることが増えて面白いのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
2004年に発売された本の復刻版。
当時の文章はそのままに、補足という形で追加記入がありました。
読みたくてもなかなか手に入らない本だったので、復刻されたことに感謝です。
博識(?)でユーモアのある文章、いかにもクライマーらしい感じが読んでて心地よかったです。
発売から20年経っているため、少しギャップを感じますが(昔の人がそのまた昔の話をしている感じ)、今楽しんでいるクライミングがこうして繋がってきたのかと思うと感慨深いです。
クライミングの姿勢や考え方を改めて見直す良い機会を得られました。
私もワンゲルの先輩に背格好が同じという理由でいきなりリードのビレイをやらされ、登れる所までとリードもさせられましたが、今思えばその時が一番"フリー"だったように感じます。
この本を読んで忘れていた(つらい?)記憶を思い出すことが出来ました。感謝してます。
投稿元:
レビューを見る
クライミングをやる側として読んでみたかった一冊。
今の日本のクライミングシーンとはだいぶ違う、登攀黎明期が書かれており興味深い。
海外のクライミングの移り変わりも同時に書かれていて日本との比較もまた面白い。
平たく言ってしまうとクライミングの歴史を主観を交えて語られており、「だからなんやねん」ではあるが知っていて取り付くのと、知識なく取り付くのでは岩に対する面白みが違うのではないか、と感じた。
生きていく上で役には立たないけれど、とてもとても良い一冊。
投稿元:
レビューを見る
全クライマーは読むべき一冊だと思う。
自分が今取り組んでいるクライミングがどのような歴史を経て現在の形になったのか。それが全て書かれているように思われる。
それらを学ぶことで、壁を登るというただ単純な行為が更に面白くなる、深みを増す。
書き方が話し口調で読みづらいところもあり、また内輪ネタというか知らない人からすると全く訳のわからない話も多かったのでそこだけは残念だった。