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大学1年生くらいで学ぶ力学を勉強するために購入しました。帯の印象もありシンプルで易しいタイプの教科書なのかなと思いきや、意外にアドバンストな内容や重い内容への言及も多く骨太な入門書でした。大学1年生が自力で読み進められる本の中では、比較的気合が必要なタイプではあります。
本書の良い点は、いつも考えているモデルの記述が丁寧で、議論の始点と終点が明快に示されている点です。一般に力学の教科書は1冊目の大学の教科書として選ばれるため、本感想執筆者は用語やロジックや方法論の説明が明瞭であればあるだけよいと考えています。本書はその点で全く抜かりがなく、入門書として完璧な内容を備えていて好ましいと感じました。章末問題が豊富である点もよい本です。
ただ本書にも気になる点がないわけではなく、少しだけ書いておきます。物理学に必要な数学の説明に関し、本書は必要最小限の記載になっています。特に常微分方程式の解とベクトル解析に関してはもう少し説明があってもよかろうとは感じました。また、章末問題(Practice)ほどではない練習問題(Training)がもう少し細かくあると嬉しいかなとも思いました。