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江戸の街中、飾職人の後妻に入って間がない八重が亭主を失くすところから話が始まる。
前妻の末娘と暮らし、小間物屋でやりくりする八重に、義理の長男夫婦からの無心、迷惑な隣人との諍い、と次から次へと揉め事が起きる。
裏店で自分の始末をきちんとして、誰にも迷惑をかけずに亡くなっていった老女にも、出ていった育ての娘が遺産目当てにやってくる。
江戸時代が終わってから200年という月日が流れても人の生活周りはなんら変わってない。
そして…小さな幸せが訪れそうな気配の先に、取り返しのつかない不幸が待っている。
宇江佐真理の本は手放しで幸せにはしてくれない。
それでも人は前を向いてどうにか生きていくのだと、諭される。決して冷たくは無いけど、甘やかしてもくれない…この加減が絶妙。
花嵐浮世困話。こんな副題が付いてる。
よのなかこんなもの。
その通りです。
二度と新しい本も読めない。
今まで紡いでくださった本を大事に読んでいきます。