投稿元:
レビューを見る
汎神論的な日本人にとってのキリスト教とは、という作者のテーマを汲み取ることができた。「白い人」「黄色い人」どちらかだけでも短時間で読めます。前者の方は、正義と悪という概念を用いて人物の対立などの構図がわかりやすい。後者は、フランス人(元)牧師は「無感動」な日本人の「幸せ」に気付く。どちらも戦争のさなかが舞台であり、性(セックス)がキリスト教的規範と対立する概念として存在する。
僕はキリスト教という世界観と日本人という世界観を知りたく、この本を読み始めたのだが、それについて感じたことが半分、小説としての面白さ半分で、専門書ではないということは前提にあったので、とても満足している。
投稿元:
レビューを見る
遠藤周作の創作の原点である2作品。どちらにおいても「イエスとユダ」の関係が重要なファクターとなっているのが興味深い。これが後に『イエスの生涯』のユダ像につながっていくのだろうか。
遠藤周作のユダ像を知る上ではすごく面白かったし、そもそも遠藤周作の最初期の興味の中で「ユダ」が大きなウエイトを占めているとわかったのは収穫だった。
でも、『黄色い人』の方は、解説の山本さんが言っているように、あまりに図式的すぎると思った。ブロウはあまりにもイエスそのものすぎるし、デュランはあまりにもユダそのものすぎる。あまりにもこの2人が聖書のテンプレートにはまりすぎている。解釈の必要もないほどに。
まだ『白い人』の方が、聖書の写しそのままではない、複雑な人間の姿が描かれている気がする。
投稿元:
レビューを見る
遠藤周作が問いかける神が存在することによる
白人世界のありようと神が存在しない日本という国の
有り様を描いた作品です。
作者のいうことは分かるけど、キリスト教の悩みって
逆に人生の不幸なときに神がなぜ自分を見捨てたか?
に関する回答が不在なのでそれも寂しいですよね。
遠藤周作の本では、「イエスの誕生」や「沈黙」
「反逆」のほうがおもしろいです。
投稿元:
レビューを見る
結構きつい。
白い人、黄色い人。
白い人はフランス人の話で黄色い人は日本人の話。
変な話。
昔の人って、皆こんな感じなのかと思う。
暗い感じ・・・。
投稿元:
レビューを見る
大好きな遠藤周作先生の本。
キリスト教というテーマはかわらずですが、初期の作品と言うことでかなり荒削りな感じがした。言いたいことがたくさんあって、詰め込まれてる小説だなと思った。
「沈黙」や「海と毒薬」にも通じるところとして、日本人が神を持っていないということは何なのか?という問題が出てくる「黄色い人」の方がより印象的でした。
投稿元:
レビューを見る
いつもどおり、神の不在がテーマです。神がいるのかは私にわかることじゃないけど、いるとすれば、きっともう人間に興味がないんだと思う。
2010年06月13日 19:49
投稿元:
レビューを見る
『海と毒薬』、『沈黙』、『イエスの生涯』に続いて『白い人・黄色い人』を読んだ。遠藤周作の初期の作品ということらしい。
簡単に言えば、『白い人』はSMのSの側の話で、『黄色い人』は、『沈黙』と主題が同じ(日本人にキリスト教の神は理解できるか)作品だった。既に『海と毒薬』や『沈黙』を読んでいるので、それほど強い読後感は覚えなかった。
『白い人』はナチのフランス人拷問に加わる斜視のフランス人、という設定は面白いと思った。主人公は『沈黙』のイノウエのような感じだろうか。
『黄色い人』は、阪急とか阪神とか、宝塚とか川西とか魚崎とか、実家が尼崎のおれにはなんとなく馴染みのある地名が出てきたのが読みやすさを高めていたが、他の作品を読んでいた後では、特に深い味わいもあまり感じなかった。(11/11/23)
投稿元:
レビューを見る
「白い人」は胸が痛くなるほど残酷なストーリー。祖国を裏切ってゲシュタポに入隊した男が拷問によって神学校時代の優等生に復讐を遂げる。キリスト教信者の英雄主義・自己陶酔を突きつつも神を求める必然性にも触れている、5つ星!
「黄色い人」は唯一神を持たないが故に罪悪感に無関心な日本人を描いたもの。不倫で教会を追放された破戒僧は悔い改めでなく、そうした日本人の宗教観に身を委ねることによって罪から逃れようとする。遠藤周作は戦時中の鬱屈した空気を描くのがホントに上手い!
投稿元:
レビューを見る
読んでいるときは、真剣に背筋を伸ばすように真面目な気持ちで読んだはずなのに、今となっては何も頭に残ってない。だから成長しないんだなぁ。
投稿元:
レビューを見る
他の作品も読んでみたい。
私は、幸いにも戦争を身近に感じたことがない。だから、戦時中の辛さや過酷さは、主に映画による影響が強いんだけど、この本を読んで、その当時の鬱屈した疲労感を感じた。全編において、処女の描写、肌の色に対する偏見を。また特に、「黄色い人」では、日本人の精神風土(無神論)に対する悲惨さと醜悪さを感じた。神を信じることに対し、偏見なく考えられるという点において、面白い本だと思う。
投稿元:
レビューを見る
作中に、ほとんど同じ記述が2回出てくる。以下の2つである。
(p45) 悲しみというよりは疲労に、非常に深い疲労にちがいなかった。埋めるべき空間を埋めたあと、もはや、なにを為していいのかわからない。
(p83) かなしみというより、非常にふかい疲れに似ていた。埋めるべき空間に埋めた後、もはや、なにをしてよいのか、私にはわからなかった。
前者はマリー・テレーズを屈服させたあと、後者はジャックが舌をかんで死んだあとの主人公の心境であり、この虚しさが、サディスティックな無神論者である主人公の敗北を示している。
しかし、現代を生きる平凡な日本人である私は、ここから何を学ぶことができるのだろう? 実のところ、このような虚しさは物心ついた頃からの日常であり、それは当たり前のこと、世界とはそういうものなのだ。その救いようのないニヒリスティックな事態がどれだけ理不尽であろうと、現実の私にとって、今から基督者として生きるという解はない。では、どうすればこの虚しさから逃れられるのか? それは個々人の実存の問題であり、今後の読書人生で、それに答えてくれる運命の一冊に巡り会うこともあるのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
「白い人」:読んでしばらくしても忌わしく甘美なイメージがシーンごとにフラッシュバックするような、印象的な一節がいくつもあります。高校生の時に初めて読み、ゲシュタポという言葉を知りました。
投稿元:
レビューを見る
白い人これすごく良い!と思った、が本の評論でデビュー作でまだ未熟、テーマも多くを取り上げすぎていると書いてあった。主なテーマは神の不在か神への信仰、挑戦だと感じたが他にも考えればあるだろう。しかし100ページもなしにこれを書いた。恐ろしい才能だ。
投稿元:
レビューを見る
白色人と黄色人の考え方の違いをキリストを軸に描き分けられた作品。あまり馴染みのないテーマなので、読むことに疲れたが最後の解説で気持ちよく読み終われた。普段無意識の底にある感情を意識させられた気がします。神と信仰、罪、告解。本当の意味では分からないということが、黄色人ということか。と思い、幸せだと感じるか不幸せと感じるかは、いろんな意見が出るのではないかと思います。たくさんの意見を聞きたいなぁ。良心の呵責、悪夢、そんなものを考え直されました。
投稿元:
レビューを見る
私ごとき偉そうに語れる分際ではないが、解説の、まだ未熟な部分があるというところに納得した。
こういう未熟さは嫌いじゃない。