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まだ幼い王太子の目の前で毒殺された魔法学者のナターリエ。
何故か魔法が使えない血筋の公爵令嬢のアマーリエとして転生していた。
何故転生したのか。
そして何故彼女は毒殺されなくてはいけなかったのか。
その謎を探っていく……という筋書きは大変面白かったのだが、キャラたちが話の内容に対して軽いというか、はっちゃけていたので、そのギャップに驚いた。
アマーリエ、公爵令嬢の割には内面の口調が俗っぽい。
セルフツッコミの数々に(笑)(泣)などの文字も見受けられるので、ええ……っとなる。
一方、目の前で最愛の人を亡くした王太子。
今は身分を隠してオズワルドとしてナターリエの死の真相を未だに追いかけている、彼女に対して未練ありまくりなキャラ。
にも拘わらず、初対面から惹かれ合うアマーリエとオズワルド(に扮する王太子)
特にオズワルド、きみあれだけナターリエのこと愛していて、未だに引きずっているのにアマーリエに夢中になるのはおかしいじゃないかという。
ナターリエへの愛はどうした。
命がけの例の魔法のことは忘れたのかというほど、アマーリエに夢中になりすぎである。
読者側には、アマーリエの正体もオズワルドの正体も分かっているので、かつて年齢差もあるなか結ばれなかった二人が感動的に再会して愛し合ってるんだなと思えるのは思える。
けど事情を知らない第三者からアマーリエとオズワルドの様子を見ると、オズワルドがナターリエに対して裏切っているようにしか見えない。
事実、オズワルドがアマーリエ=ナターリエと気付くのは、この上巻の終盤になってからだ。
ストーリーの表面上は、事情を知らない第三者から見た視点と変わらない。
つまり彼にとって、それまではアマーリエは愛しのナターリエとは別人キャラということだ。
それなのに、正体を知るまでに散々愛しのナターリエではないキャラ=アマーリエに甘い言葉を囁き、キスもたくさんして、独占欲丸だしな言動を見せる。
いや、だからナターリエのことはいいのか。
確かに死んじゃってるから結ばれないのは分かっているだろうが、にしてもだ。
誤解して泣くアマーリエに対して「ならかつての思い人のことはすっぱり諦める」とか言い出す始末なので。
いや、だからナターリエのことはいいのか!
アマーリエの前ではナターリエのことを軽く扱いすぎなのだ彼。
キャラぶれてないか。
結局アマーリエ=ナターリエなので、結ばれてバカップルと化すのは結果オーライでいいのだが、どうにもオズワルドが不誠実なキャラに見えてしんどかった。
そのあたりも下巻でフォローがあるのだろうか。
ナターリエのことを引きずっていてもアマーリエに惹かれてしまったことに対するフォローが。
……中身がナターリエだったからで済んでしまいそうだな、この様子だと。