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中年男性が陥りそうな普遍的な苦悩。
女性である私にも何かを突きつけられているように感じてとても辛かった。
男性的な衝動と暴力性は誰の中にも眠っているのかもしれない。元気をもらっているだけ、仕方がなかった。そうやって自己欺瞞の末、行動に移すか移さないかには天と地の差があるけれども。
女性著者が描いたというところもすごいと思った。
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日常生活ですら社会的弱者のおっさんは蔑まされているのに本の中でも気持ち悪い存在として描かれるのを読んでいたどんどん苦しくなり虚しくなった…。
ここまでしんどい本とは思っていなかった。
時系列が時々わからなくなった、
回想の中でまたさらに過去に?ってどうなの
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高瀬隼子さんの帯文を見て買いました。
新潮新人賞を受賞された作家さんで、本作の
「尾を喰う蛇」が受賞作で、感想としては、
読んでて苦しかったです。介護の現場が多く
出るので、過酷な労働を考えてしまい、目を背けたくなりました。老人「89」との出会いが、興毅の新たな人格を形成していく。
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ごめんなさい。自分が求めていたものと違っていました。不快感が強く(私にとっては)、早々に断念。最後まで読み通すことができれば、また違った印象を持てたのかもしれませんが、ほかにも読みたい本が余多ある中で辛抱してそこまで辿り着く余裕がありませんでした。
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中篇が2つ。読後感は両方とも悪い。やるせない気持ちになる。
一つ目は保険営業の中年男性。日頃のモヤモヤを電車内での女子高生の匂いを嗅ぐことで解消している。
いつしか、同じ女子高生に執着する同類者とも交流するようになり。。
いつも至近距離で後ろにおじさんに立たれたら気持ち悪い。。
2つ目は高齢者向けリハビリ施設で働く介護士。
正社員は2連休もとれないのか!扱いづらいおじいさんに対しては、兵隊経験をあえて呼び起こして痴呆を加速させてしまう。忙しさとストレスとたぶん狭い世界に落ち込んでしまった環境のため、だんだん精神を病んでいく。
だれしもに共通しうるテーマだけに、読後感は悪い。
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キモくて金のないオッさん問題。
もう一歩進めると、「能力」もないオッさん問題。
生まれ落ちたら、そこにしか辿りつかない人を、人はどんな罪で磔るのか。
「被害者」はどんな道理と筋で、それを告発、断罪できるのか。
「キモい」。それはイヤな気分だろう。
しかしそこに刃を向けることを許したら、後はグラデーション。どこまで許すかを本当に線引きできるものは存在しない。
男性の生きづらさ、女性の卑怯さ、というような、今の時代、politicalに日の光を当ててはいけないことになっていることがらに向き合う佳作。
この問題を女性筆者が作品にしたことに、相互理解や協力の萌芽を感じた。
しかし。
男女、と大きく捉えると、政治的な、politicalな話として、追い詰められているものに寄り添う必要を感じたりもするが、追い詰められているそれぞれ個々を見ると、嫌悪感が先に立って、いずれに対しても距離を取りたいとしか思えないというものかもしれない。
究極は、全ての人々がほんの僅かの人の間、もしかしたら個人個人の単位でしか、相互扶助の前提となる同一性を感じられない。
それが世界が実態なのかもしれない。
と思った。
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痴漢文学。とても面白く読めた。通勤電車内の女子高生のニオイをかいで、『元気をもらう』中年男性が主人公。その電車内で痴漢仲間?との出会いもあり。気の毒な状況の主人公で同情してしまう感じもしたが、最後は・・・。痴漢はあかん。
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仕事と家庭のストレスから痴漢行為に走る男性を描いた表題作と、病院で介護職に就いていてストレスから次第にある患者を虐待するようになる男性を描いた『尾を喰う蛇』の2作品を収録している。
いやー辛い話だった。どちらの作品も、Twitterとかで女性蔑視思想を垂れ流してそうな有害な男性性を持つ男が主人公で、やってることは本人には自覚が乏しいけど完全なる悪なんだけど、仕事の過酷さ(休めない、ノルマ、介護職の苦労の半端なさ)があって、そういう状況では冷静さや思いやりを持って周囲に対応するのはそりゃ無理だよね…と思ってしまう。半端ないストレスがかかりいっぱいいっぱいになったとき、人は心と身体のどちらかが壊れてしまうものだろう。読む側の心は容赦なく削られていくが、夢中で読んでしまった。
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「狭間の者たちへ」
共感はできない。
ただ、想像はできる。
「尾を喰う蛇」
社会の問題が積み重なっている。
負のループが続いていくと朽ちていってしまう怖さを感じた。
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2作収録。『狭間の者たちへ』→チカン・アカン!!痴漢が主役の小説なんて共感できるわけないやん。主人公の中年男は通勤電車で女子高生の匂いを嗅いで勃起する。「触っていない」から自分は痴漢ではないという自覚。彼女から元気を貰っているだけ。キモすぎる。ただこの男の人生のどん詰まり感が凄まじい。仕事は無能、家庭は地獄。ただそれも「全部お前のせいなんやで」と言いたい。一生この男は気づかないだろう。『尾を喰う蛇』→前作よりもさらに上を行くキモさ。介護現場にて凶暴性を秘めた介護士。個人的にはこちらの方が気味が悪かった。
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初読みの作家さん。初の単行本で、3作目となる「狭間の者たちへ」及び新潮新人賞を受賞した1作目の「尾を喰う蛇」の2篇を収録している。
表題作は通勤電車で女子校生の“匂い”を嗅ぐ男が主人公。来店型保険会社で店長を務め、妻も子もある四十男がなぜ……という問いに明確な答えはない。家庭でも社会でも一定の責任を負わされたことが耐えられず、安易な逃げに走ってしまったのか。
「尾を喰う蛇」は、総合病院に介護福祉士として勤める男が、越えてはいけない一線でもがく姿を描く。タイトルが象徴する意味は“悪循環”だろうか。
どちらも閉塞感に満ちた作品で心がひりついた。それでも読み応えはあった。今後も追いかけたい。
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どちらの作品も自己正当化と他人のせいにする主人公で、ぎりぎりのところからアウトへ踏み込んでしまって終わるのではなく、その境目が曖昧で最初から最後までずっと危うい感覚でハラハラしました。