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よい育児書でした。
著者を知ったのは実は別の本なのですが、そちらはまだ予約待ち。予約時に存在を知ったこちらの本の順番が先に回ってきました。
本書によるとペアレンテイングとは「ただの育児というニュアンスではなく、脳を育てる順番とバランスを強く意識して、親が子どもに生活の中で関わっていくということ」だそうです。
「いっしょに暮らす大人自身の『物事の捉え方』『発する言葉の内容』『子どもに見せる表情』『子どもとの遊び方』など、すべての関わりが子どもの脳の育ちに影響する」ということで、親がとにかく笑顔でポジティブな言動をすること。それを日々、子どもに見せ続けることが子どもの良い脳を育てていくというものでした。
根拠として、脳の仕組みや発達順序などの分かりやすい説明が添えてあり、なるほどそうなのかと思わせられます。
まず最初に育てるべき脳は「からだの脳」、次に「おりこうさんの脳」の育ちが始まり、最後に育つのが前頭葉を用いて人間的に論理思考を行う「こころの脳」。からだの脳で起きる喜怒哀楽の情動を前頭葉につなぎ、自分が取るべき最良の言動を選ぶのだそうです。
この発達の順番はとても大切で、始めに育つ「からだの脳」は言わば家の1階部分。ここがしっかりと育っていないと、その後に育つ2階部分が乗ったときにバランスが悪くなり、ちょっとしたトラブルに対応できなくなってしまう。なるほど、この理屈を今まで見聞きしてきた子どものトラブルに当てはめるとしっくりくる気がします。
つまり親はまず「からだの脳」をしっかり育てる必要があるわけで、そのために何が大切かということが丁寧に説明されています。
本書で繰り返し書かれているのは、親がとにかく笑顔でポジティブな思考を持つこと。子どもの脳には可塑性がある故、手遅れということはなく育て直しが可能だという心強い一文もありました。
ただしすぐに結果を求めてはダメで、どう育ったかが分かるのは脳の発達が完成する18才以降。
長いなぁ、と思ってしまったけど、子どもには「毎日の積み重ねが大事」だの「すぐ諦めるな」だの言ってるのは私たち大人です。ならば私の場合はあと15年弱、我が子と一緒に毎日を笑顔でポジティブに積み重ねていこうじゃないかと思わせてもらえました。
最後に強く心に残った文を。
「親がとにかく頑張ってしなければならないのは、最初は何もできない状態で生まれ、親からすれば『心配』の塊である子どもを、必死で『信頼』して『信頼』の分量を増やしていくことで、少しずつ手を放していき、いつしか、自分で考えて行動する力を子どもの脳に多く作っていく」
本書に書かれていることを実践し続け習慣化できれば、子どもの脳だけでなく、私自身も良い方に変われるかもしれません。
ちょっと気を付けてみよう、頑張ってみようと前向きな気持ちになれる育児書でした。