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ボクシングの話ではあるのですが、元ボクサーたちのその後のような、
少しネタバレになりますが、あるボクシングジムで昔、四天王と呼ばれていた4人のボクサー、誰も世界チャンピョンのタイトルを取ることなく引退して、月日は流れ、それぞれ老齢となった4人が、昔ジムの寮で暮らしたようにシェアハウスで暮らし始めます。
それぞれいろいろな事情は抱えているものの、気心の知れた者同士同じ屋根の下での生活、役割分担や、取り決めや、必要なものをそろえたり・・・・
それだけでこちらまでワクワクしてしまいます。
そんな4人の前に現れたのが、若きボクサー。もう読めてしまうのですが、4人はこのボクサーを育てて、自分たちが果たせなかった夢を託そうとします。
ここから少しボクシングの内容が出てきますが、とても分かりやすくだいたい想像できます。
まあすべて順調に事が運びすぎるきらいはありますが、ぐいぐい引き込まれて一気に読んでしまいました。
ただ途中でタイトルの意味に気が付いてしまうのが残念です。
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次の話やフレーズが予想しやすく作者が誘導していて読み易いが、よくできた話というか、個人的にはこの評価。
最後の離れたくない場所ができたということが幸せという、その結論までが長過ぎたような印象。
翔吾や佳菜子に夢を馳せたり、今を生きていることで、その結論には納得したのでメッセージは伝わった。
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沢木耕太郎のボクシング小説。上下2巻。
40年前、小さなボクシングジムで共に世界を目指した階級違いの4人のボクサー。夢に破れ、それぞれ孤独な生活をしていた4人が再び一軒の家で共同生活を送りながら、知り合った若いボクサーを育て、世界チャンピオンに挑戦するお話。
とても面白い。上下二巻が気にならないくらいサクサク読めます。
でもね、マンガの面白さなのです。一試合毎に4人ぞれぞれの必殺パンチを若いボクサーに伝授し、それを使って見事なダウンを奪って行く。そんなストーリー立ても登場人物の設定も、なんか絵に描いたような稚拙さです。でも、流石に文章は上手いし、マンガなんだと割り切ってしまえば面白い話なのです。
でもね、どうしても『一瞬の夏』や『王の闇』などのボクシングを題材にしたノンフィクションの名作を描いた沢木さんが・・・という不満は残ってしまいます。
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「生きる意味が見つからない」という人が本書には出現します。この雰囲気が、懐かしいというか、昭和というか、過去に執着しすぎ=男のクセに女々しいというか、つまりどちらかというとネガティヴな印象が第一印象なのですけれど、どこかカッコよくもあるんですよね。
。。これってひとことで言うと、「不器用だけど真面目でまっすぐでちょっと色気のある男」のことだ! と気づいて、本作はフィクションなのだけれど、やっぱり沢木耕太郎さん作品だな、と勝手に納得したのでした。
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【春に散る】
2020年2月に文庫本で発売された著書を、ある知り合いからお薦めいただき読み始めました。
人生を豊かに生きるための心構えのようなものを教えていただいた感覚が残る小説でした。
かつてはボクシングの頂点を目指した4人の仲間が、それぞれの人生を歩みながら40年ぶりにまた共同生活を送ることになるのですが、そこにはそれぞれの役割だったり、お互いを思い遣る言葉遣いや振舞いがとても心温まるものです。
『俺は今、生きているか?』
『果たせなかった夢をふたたび手に』
単なる人生の終盤を迎えた男たちの物語ではなく、今をどう生きることに意味があるのかを問いかけられた気持ちになる著書でした。
主人公の広岡仁のような男になって、一人の男として意味のある生き方を考えたいです。
#春に散る #沢木耕太郎
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沢木耕太郎さんは「深夜特急」以来(好きな国だけ読んでいた)でしたが、正統派というか、奇をてらわない文章は読みやすく重みを感じました。
やはりアメリカや日本の街の描き方は上手いなぁと。
映像のようでした。
淡々と物語は進み、結末も予想できるけれど、私の中には深く入り込んできました。
上巻は汗と砂埃の中、少し陰鬱な雰囲気が続く内容でしたが、下巻に入り翔吾が登場すると生きたボクシングが動き出し、仲間達と共に太陽の陽射しと月明かりに照らされたような雰囲気に変わって、あっという間に読了。
ボクシングは全く詳しくないが、その描写はわかりやすく、またそこで生きていくという事は、なかなかに厳しい世界だという事も理解できた。どのスポーツもそうだろうが最近言われている「セカンドキャリア」を最初から意識してプロを目指すというのは気の毒にも思ってしまう。
主人公の広岡があまりにも冷静で穏やかで、仲間想い。経済的にも余裕があるのに質素で、読書を好んだりして。イメージするボクサーとは直結しなくて(私の勝手なイメージですみません)、本心みたいなものはどこにあるんだろう…と思いながら読んでいた。
人が変わったように翔吾を熱く指導したりするんだろうか?と転換する場面も想像したがそんな事はなかった。
けれど、終盤に「感情の…」という部分が出てきた時は妙に納得した。男親と兄だけと暮らしてきたからだとは思いたくないが、感情の起伏が乏しかったり相手から寄せられる気持ちに鈍感だったりするのに、自分以外の人には家族でも仲間でも、気持ちも金銭的にも優しい。自分がわからず会長を模倣していたのか。多少なりとも生い立ちも影響しているのかもしれないな…と思い少し淋しさを感じました。最期も誰かにそばに居てもらいたかった。
登場人物の中で不思議な存在が、佳菜子と猫のチャンプ。
沢木耕太郎さんがこういう霊感みたいな描き方をするのかと少し意外でした。里見八犬伝のエピソードもあったから不思議ではないのかな。
落ち着いた静かな良い物語でした。
こういう感じは久しぶりで懐かしく、本を読むという時間が自分には大切だと思わせてくれました。
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命の尊さを身を持って知る。
夢のように過ぎ去った日々を慈しみ
これからの貴重な時間に、思いを馳せる。
挫折や苦悩を味わった、元プロボクサー同士が
互いに尊重し合う姿に胸が熱くなった。
マイアミからキーウェストを走るルート1。
主人公とタクシー運転手との会話が印象に残った。
映画の公開が楽しみ。
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かつて世界チャンピオンを目指した仲間たちと、『チャンプの家』で暮らし始めた、広岡仁一。
才能あふれたプロボクサー・黒木翔吾が4人に教えを求めてくる。
翔吾とともに、世界を目指すことを決めた、広岡、藤原、佐瀬、星の4人。
佳菜子の過去も明らかに…
翔吾も世界タイトルマッチへと進むが…
広岡も自らの病気を隠し、翔吾のタイトルマッチへと向かう…
広岡、いい人すぎる…
まさに名前の通り、人につくしている。
何が彼をそこまでさせるのか…
もう少し、この先が見たかった…
春に散る…
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色々な世代の登場人物がクロスして面白い作品になっていたと思います。大人の友情物語といった感じでした?
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初めての沢木作品。
印象としては、とても読みやすく、丁寧で親切。
ストーリーは何となく想像がついてしまうが、仁一と出会う事で登場人物全員の歯車が良い方向に動き出して行く。救いがある話で良かった。
でも、佳菜子の過去が突拍子がなく少しシラけてしまった。
全体としては、良い読み物だった。
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潔くそして結末を想像させるタイトルに惹かれ、そして映画化されるとのことでワクワクしながら読了。
ボクシングという熾烈なスポーツを絡めて、いかに生ききるのか、全ての登場人物の視点や背景が魅力的に描かれていました。
【2023.06】
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60代男性たちが若者に夢を託す♪
自分にはまだ共感できない部分もあるかなぁと
おもったけど〜
途中ハラハラドキドキ…
最後まで読むと気分爽快〜
どんな人生でもいいから、最後まで夢を持ちたい!
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ストーリーとしては素晴らしいんだけど、何しろ長い・・・。「一瞬の夏」のスピード感がほしかった。超能力者、佳菜子は要らなかったかな。
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上巻での広岡仁一と黒木翔吾とのボクシングの師弟関係と熱い仲間達とのチャンピオンを目指す共同生活と支え合い。
みずみずしい文体、情景を思い浮かばせる表現、登場人物のキャラクターが素晴らしい!
後書きの作者の広岡の生き方、在り方についての描写にも愛を感じた。
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NHKFMドラマと若干違った、ラジオの方は余りにもドラマチック過ぎた。あのドキュメンタリーの旗手である著者が最近創作物を書くことが増えている様に感じるが、あのキレキレのドキュメンタリーの方がやはり好きだ、本作も決して悪くはないんだけれども、若干予定調和感を感じるしラノベ感もあり文学ではなく読み物って感じてしまう、だが映像化するにはちょうどいいのかも知れない。ついこの間読んだ「天路の旅人」も素晴らしかったので是非ドキュメンタリー作家を貫いて欲しい。