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自殺の起こる構造的な要因や個人的な要因などをWHOのレポートやジョイナーの対人関係理論等を用いて整理しつつ、自殺の相談をされたらどう対応すればいいか、自殺をしたいと思ったらどう考えればいいか、自殺に対する社会の受け止め方やあり方などについて、やさしく解説しています。年間で約2万人が自殺で亡くなり、それによって年間10万人以上の人が少なからぬ影響を受けるということであれば、自殺は社会全体の一つの大きなテーマであり、ひいては我々1人1人が今後きちんと向き合っていくべき課題なのだと思います。
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自殺対策に携わる支援者が知っておきたいリスク要因の話などが簡潔にまとまっていた。新書なので一般の人にも読みやすく、誰もがこうした事態に遭遇したときに、まず何をするのか・何をしないのかがよくわかる。
似たような書籍は他にもあるが、本書の特徴は「自殺が悪いことなのか」について議論している点ではないかと思う。ここでは、ヒト以外の動物の自殺行為を例に挙げて説明しており、種の存続のためのメカニズムとして自殺が選択肢にあることが知れて興味深い。一方で、人間の自殺に種の存続としての機能があるのかと言われると、それは違う気もする。自殺の対人関係論の中では「負担感の知覚」がリスク要因として挙げられているが、本人が周りの負担を減らしたいと思って自殺に至るなら、それは多少なりとも種の存続に寄与しているのだろうか。それでもやはり、ネガティブな影響が上回りそうな気がする。
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自殺する人間の心理を科学する。
なぜそう思うのか、なぜその行動に走るのか?
自殺する人に合理的な思考は働かない訳で、それを科学的に捉えようとする試みは興味深い。
自殺は悪いことなのか? 実はキリスト教以前は、生物学的には意味のある行為だったらしい。進化のためらしい。
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自殺は「いけないこと」なのかと問いかけ、安楽死との関連づけて述べられていたことで、自殺のリスクをより理解することができた。実際に自殺を試みた人は、何か物凄い決意してやったのかと思えば、状況的に「やれたからやった」、亡くなった人は「成功してしまった」というのが納得した。「あの時、死なずによかった」と思える時までやりすごす。シンプルにも、時間の経過が解決することがあると述べられていたことも印象的であった。
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現在日本では毎年約2万人が自分で命を絶っているようだ。
構成は、
1. 自殺はなぜ起こるのか
2. 「死にたい」と言われたら
3. 「死にたい」と思ったら
4. 自殺は悪いことか
5. 幸福で死にたくなりづらい世界の作り方
自殺の危険性は、①身についた自殺潜在能力(自殺企画歴、手段へのアクセス容易性、メディアの影響、アルコール依存、虐待等) ②所属感の減弱(災害、差別、孤立、人間関係の不和喪失等) ③負担感の知覚(経済的損失、偏見等) の3つが合わさったときに最も高くなる。
従って対応方法は、これらを番号の順でひとつずつ取り除いていくこと。
リストカット等の自傷行為は、それにより脳内麻薬が分泌され短期的に気分が良くなるために行われ、本当に死ぬ気ではない。しかし、徐々に傷を大きく深くしないと満足がいかなくなり、自殺潜在能力は上がっていく。
対話を通じて心の絆を作り、孤独を癒すこと。
実際の自殺行為に入っている場面に遭遇した時は、119番に連絡。そこまでは行っていないが、今にもしそうな場合は110番に連絡 だそうだ。
自殺をする人の多さに暗澹たる気持ちになるが、著者が最後の章で述べているように、国や自治体がもう少し本気で取り組まなければならないことだと感じた。
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著者も祖父を自殺で亡くされているという事で科学的というか理論的に対応を書いてある本でも上手く書けないが奥に深い感情の様なものを感じた。
死にきる力というのも言われてみれば納得できる。
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自分の体をマストに縛る計画を立てる(セイレーンの声を聞かない為に)。ストレスへの対処方法のストックを探す。思考記録をつける。
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死にたいと思う人が2〜3割。自殺する人はそのうちの1割。
死にたいと思わない人が7〜8割の方が驚きですね。
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死にたいと思う人は、国民の2、3割。そしてそののうち2%弱自殺が占めている。と言う事は、実際に死ぬ人はかなり少ないと言うことだ。
死にたいと言われたら、まず自殺潜在能力への介入をする。具体的には、自殺の準備状況の確認であり、準備がなされている場合には、それを物理的に使えないようにすると言うこと。第二にやるべき事は、所属感の減弱への介入であり、それは、関係性を強化することで、所属感を作り、孤独な状態を解消すると言うものです。そのためには、絆または関係性を作るために話を聞くことが重要でした。
自殺を予防しようと思うのであれば、このような不確実性に耐えるために、チームで助け合いながら、人との関わりを続けていくしかありません。
自分自身の自殺を予防するには、周りの人に小さな贈り物をするというのがある。贈り物もらうとお返しをしたくなるので、贈り物すればするだけお返しが来る確率は高くなる。対人関係を充実させ、我々を幸せにしてくれる簡単の習慣としては、他者に感謝をし、その感謝を伝えること。また親切にすることなどが挙げられます。心身の健康のために軽いスポーツや運動の習慣をつけ、きちんと睡眠をとること。
自殺は予防すべきか?自殺対策基本法と言う法律の中に第五條国民は、生きることの包括的な支援としての自殺体対策の重要性に関する理解と関心を深めるよう努めるものとする。あるので、日本国民として自殺予防の対策に励む必要がある。
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ちくまプリマー新書なので、10代向けに書かれているが、要点がよくまとまっていてわかりやすく読みやすい。
「はじめに」にも書いてあるが、本の題名を見て、「読むタイミングが今ではない」と思ったら無理して読むことはないと思う。
しかし、知識として勉強になることが多かった。
特に第4章は興味深く、死をいろいろな角度から検証して、というのが勉強になった。
第1章自殺はなぜ起こるのか
・自殺はわからないことも多い
・自殺の大人関係理論
自殺ほ危険性は
「自殺潜在能力」「所属間の減弱」「負担感の知覚」の3つの要因が合わさったときに最も高くなる
第2章「死にたい」と言われたら
・死にたい、自殺したいと言う人は、今すぐ自殺を試みて実際になくなる可能性は低いが、自殺の危険因子はかなり保有している。
・死にたいと言う気持ちを打ち明けるのは、重大な秘密である証拠。その人だからこそ打ち明けたもので、特別なつながりを感じている可能性が高い。
・自殺の対人関係理論の優先順位
①自殺潜在能力への対応
自殺する手段を使えないようにする
(首を吊るために用意した紐を預かるなど)
「死ぬための具体的な手段は考えているのか?
それはどれくらいちゃんと用意しているのか?」
→聞いても大丈夫
「死にたい」という自己開示を重く受け止めてくれたからこそ出てくる質問
②所属感の減弱への対応
関係性を密にする、孤独を癒す
×話題を逸らす
励ます、激励、助言
(がんばれと言われてもこれ以上頑張れない)
◯話をじっくり聞く
感情を理解する
理解したことを伝える(表情、トーン、相槌も◯)
「死にたい」には波がある
③負担感の知覚への介入
周囲の人の負担になっている、
役立たずだと自分で思う(自尊心が低くなっている)
◯感情的に納得できること
その人が周囲の役に立つことをしたときに
しっかり指摘し、感謝する
×論破
・「死にたい」への対応は大変なので、
チームで対応したり対応する人も専門家に相談したりした方が◯
・「死にたい」という衝動を乗り切るポイントは他者との関係性
第3章死にたいと思ったら
・相談する事は難しいことではない。
・各種相談窓口はあるが、ミスマッチを避けるために誰が何をしてくれるのか可能性が高いか知っておく必要がある。
・死にたい気持ちになってる時は、ただでさえ、心理的視野狭窄(心の視野が狭くなっている)
他の人から見れば、何らかの手段で解決から見えることも本人はそれが見えなくなってることが起きやすい。
だから、自分の気持ちが落ち込んだとき、何をすべきなのか、あらかじめ決めておき、可能であれば、その計画を信頼できる���と共有しておけばベスト
・死にたい気持ちに圧倒される時、最も重要なのは、誰かとつながり、自分1人しないこと。
・ストレス対処方法をたくさん持とう
・薬物使用、自傷行為は、短期的に見ると、ストレスを軽減する方法ではあるものの、
長期的に見ると、自殺のリスクを増やす時限爆弾の側面を持っている
・幸せに生きる事は、自殺をしたくなることの裏返し
政情が不安定になり、経済的にやっていけなくなり、健康が害され、自分はお荷物で迷惑をかけるだけで役立たずと感じ、他者と切り離されて孤独に陥ると死にたくなる。
・対人関係を充実させ、幸せになる簡単な習慣としては、他者に感謝し、その感謝を伝えること、親切にすること
・自分のことはわかっているようで、わかっていないことが多い。
だからいつどんな時に辛い気持ちになるのか、どんなふうに対処したら、記録として残して自分の行動パターンを見る。
・ネガティブな感情にどんな意味はあるのか?
生きていく上に必要な感情
人生を豊かにするために役立つサインとなるかも。
ひとりで考え込むのではなく、
誰かと共有すること。
第4章自殺は悪いことか
・人は老いて死ぬからこそ美しいのかもしれない
・生物にとって死は進化の過程で獲得された多様性の確保と環境適応のための優れた手段でもある
★例えば何らかの理由で瀕死の重傷を負った人がいて、その時代の医療技術では、回復が見込めないにもかかわらず、
親族が自らの生存や繁殖の機会を犠牲にしてまで献身的な対応をすれば、それは一族の共有する遺伝子において自殺のような行動が適応的なものになったのだろう。
自殺のような行動を単なる異常や病気だと決めつけるのは、それはそれで生き物に広く備えているこうした傾向を無視した近視眼的な発想でもある。
★死は良さと悪さを兼ね備えた両義的なもの。
死は退屈からの退出、対人関係の充実、人生の意味を創出と言ったよきものを生み出す可能性もある。
★自殺以外の形で死ぬということは、外的な要因で、突如として死が訪れるのだから、自殺以外の死は死ななければ得られたであろう良きことを喪失せる可能性を常にはらんでいる
・予防すべきではない自殺をするためのハードル
①他者に迷惑をかける行為
(鉄道、事故物件など)
②他者により多大な悪影響与える可能性
(経済面にも、さらには心理的にも)
③理想的な自殺をする際には、自殺したとしてもしなければ得られたであろう良きことが失われる事は無いことを合理的に判断する必要性
★われわれは、適当に意思決定する癖がある。
それが自殺と言う重大事でも。
自殺するときは、心理的視野狭窄の状態にあるため、苦痛を感じる意識を何らかの形で紛らわせることをしようとする。その究極的な形が苦痛を感じる意識を停止する選択、つまり自殺をするということ
第5章幸福で死にたくなりづらい世界の作り方
・費用対効果を測定するのが難しい
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著者は祖父を自殺で亡くしたことから、自殺について深く考えるようになったのだとか。長年の研究で得た統計や肌感覚から、自殺に向き合う方法を丁寧に説いてくれます。アリストテレスの『ニコマコス倫理学』を読みたくなりました。→ 100分de名著を観よう。
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p.63
「死にたい」と打ち明けた人間が最も恐れるのは、意を決して行った重大な自己開示が軽く扱われることだからです。
p.64
「死にたい」という気持ちに向き合うということは、向き合う(向き合わされる)側にとってもとてもしんどくて恐いことであり、できれば避けたいものだからです。
p.68
共感することと、肯定することを混同しているかもしれません。
p.73
考えを変えていくためには、頭の中で論理的に考えることだけではなく、「ああそうだったんだ、自分の考えは違ったのかもしれない」という変化に対して感情的に納得できる体験が必要です。
p.78〜79
「死にたい」という訴えが強烈で、そこに目を奪われる分だけ、背景にある問題が見えなくなります。
p.79
あまり期待をしすぎずに、さまざまな人をとりあえず1回あてにしてみて、あてにならない時はサッと乗り換える、くらいの感じがいいと思います。
p.153〜154
仮にこの先も経済と科学技術が発展し続けていけば、今以上に不老長寿に近い状況が達成されるでしょう。その時には、我々は自分自身の人生を満足の上で終わらせ、幸せな死を達成するために、自殺することを目指すようになるはずです。
面白く分かりやすかったですが、新刊だったので、新しい情報やコロナ前後での比較などがもっとあればいいなと思いました。
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「死にたい」と言われる人の気持ちを知っている。
知っている人は、自分の「死にたい」は言いづらくなる。
知っているから。
相談できるところ?
死にたいを相談できるところはそうそうないし、死にたいという言葉だけど、相談したいことは死にたいではなかったりすることもまた多いから、本当に難しい。
その上、適当な相談場所を事前に調べておくなんてことを求められたら本当に相談するところなんてない。
そんなことは全てわかった上で書かれた本だと思う。
難しいのはわかっているけれど、わかった上でこう書くのが必要だと考えているから書かれた本なのだろう。
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自殺リスクが高まる条件、いろいろな状況への対応方法の例示、自殺の現状と現在の取り組み、何が課題でどうしていくべきかなど、網羅的にわかりやすかった。
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若年層向けに書かれた本で、構成は割とわかりやすい。
1学術的なもの
2二人称(死にたいと言われたら)
3一人称(死にたいと思ったら)
4哲学的考察
5インフラをどう整備するのか
中年の自分がこの本を手に取ったのは、少なからず自殺の現場に遭遇しているからでもあり、自分自身、生に興味がなくなってきているからでもある。
たいていそうだと思うが、中年になると、あらゆることに興味が薄れてくるし、何かをする気もなくなってくる。気力がないから、死のうとも思わない。
本を読み、よくよく考えてみると、家族がいるからかもしれない。最大のゲートキーパーになりうるのは、家族なのかなと思う。