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次へ次へとぐいぐい読ませる筆力のある作者。
登場人物たちの心情を描き出すのがとても上手くて気持ちが揺さぶられたからこそ仕掛けとかそういう小細工無しで勝負してほしかったなとも思う。
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横浜の市立中学で中三の穂村マリアがクラスメイトの遠野美月に刺されて死亡するという事件が起きます。
美月は事件の動機として、シルバーフィッシュ文学賞に落選したからと言います。
シルバーフィッシュ文学賞を受賞したのは23歳の青村信吾の『プラスチックスカイ』という作品でした。
青村信吾はその優しい性格から内定取り消しを望みます。
そして信吾には「コネで受賞したのは本当か」などの嫌がらせを受けるようになり、付き合っていた彼女ともうまくいかなくなり、自殺してしまいます。
信吾の担当編集者だった文高社の小谷莉子26歳はショックを受けます。
篤志面接委員の白石結実子は妊娠中ですが、千葉の新緑女子学院に送致された遠野美月のところへ行って小説の書き方を教えて欲しいと言われます。
結実子は教育実習生だったとき、青村信吾を教えたことがあり、その仕事を引き受けます。
遠野美月に面会すると「なぜ、ボランティアをするのか」と言われ結実子は『更生』というテーマで60枚の作品を書くように言います。
美月は「私の本当の犯行動機を見つけてください」と言い「養育者がダメな人間だからです」とも言います。
結実子は美月の犯行動機を両親や弁護士に当たり探そうとしますが…。
最後のトリックは全然気がつきませんでした。
青村信吾が一番好きな作家だと答えた美月の心は本心だったのだと思いました。
美月の本当の犯行動機は二転三転しますが、どんな動機であれ加害者であったことには変わりがないのだと思いました。
そして、青村信吾の作品はやはり受賞すべき作品だったと思いました。
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とても繊細で難しい内容でしたが、この本が誰かの心に響いて、生きていく希望になると確信しています。
誰しも間違いを起こしたり、後悔があって過去に戻りたいと思うことがあると思う。
しかしそれは叶わないこと。
けれど、そこから変えられる未来もある。
『誰かを理解したい、理解しようとする姿勢こそが愛情』
『関係ないのに、苦しんでしまう優しさが彼にはあった』
結果はどうであれ、優しさを胸に生き、誰かに寄り添い支えていけるような、強い人になれるように、私自身も頑張ろうと思います。
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初読みの作家様。前情報なし、書店で帯を読んで、立ち読みして購入した一冊。
とにかく先が気になって面白くて一気読み!
帯から社会派っぽく感じて勝手に気負って入ったのと15歳だけど面会時の加害者の雰囲気からすると「犯行動機」がちょっと軽く感じたかな。あとは一気読みしすぎて違和感にさほど気付けずに終盤の展開には唖然でした。
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Amazonの紹介より
15歳の少女が同級生に刺殺された。加害者の少女は、ある新人文学賞の最終選考で落選し、哀しくなったので殺したと供述。
さらに、その新人文学賞を受賞した作家が自殺。遺書には、新人賞を受賞して申し訳ないと書かれていた。
その後、加害少女は犯行の動機を二転三転させ、少年院にやってきた篤志面接委員(少年院などの矯正施設に収容されている者の更生と社会復帰を手助けする民間ボランティア)に「本当の犯行動機を見つけてください」と告げる。
『ジャッジメント』で鮮烈なデビューを果たした著者が描く、赦しと再生のミステリー。
それぞれの人物の心理状況が、深く抉るかのように、読んでいて心苦しかったです。
一つの殺人から始まる悲劇の連鎖。SNSで蔓延る情報によって嘘にしろ本当にしろ、発信された言葉の数々が、時に刃となって刺さることを自覚しなければいけないと感じました。
今も問題になっていますが、安易に読まない方が良いのかなと思ってしまいました。
言葉について考えさせられただけでなく、小説ならではの仕掛けもあり、ミステリーとしての面白さもありました。
構成としては、ある作家の担当者と篤志面接委員の2つの視点で展開していきます。最初の段階では、交互に話を切り替えていくのですが、途中から、一方の視点しか話が進みません。もう一人はどうなったの?と思いながら読み進めると、そこにはある仕掛けが。
2人の視点が融合したとき、驚きの真実があったので、これは小説でしか味わえないなと思いました。
衝撃的な驚きというわけではありませんが、なるほどそういうことかといった感想でした。わかったことによって生じるそれぞれの過去と贖罪に、感動とは違った、じんわりとくるものがありました。
なぜこのような事件が起きてしまったのか?
なぜ誹謗中傷が生まれてしまうのか?
それによって、人の心を抉ってしまい、しまいには死ぬこともあり得ることを改めて考えなければいけないと思いました。
この作品を読んで、何か心に引っかかってくれればなと思いました。
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『中3女子、教室で刺され死亡』
ショッキングな幕開けだ。
殺人容疑で逮捕されたのはクラスメイトの遠野美月。
犯行の動機は二転三転。
小説の投稿サイトには「シルバーフィッシュ文学賞、最終選考で落選。哀しいので明日、人を殺します」の書き込みが。
その書き込みに端を発しSNSは炎上。
結果、新人文学賞を受賞した何の罪もない作家・青村が自死へ追い込まれる。
やるせなさは募り、美月と誹謗中傷を書き込むネット民に怒りが込み上げた。
美月が犯行に至った真の動機を知っても同情は出来ない。
想像力を鍛え罪を償って更生してくれる事を祈る読後。
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中学三年生の穂村マリアが同級生の遠野美月に刺殺されたる事件が発生したことを発端に、ストーリーが展開していく…。遠野美月は、シルバーフィッシュ文学賞に落選したことを動機としてあげ、自らの作品をネット上に公開する…。シルバーフィッシュ文学賞に選ばれたのは、青村信吾の「プラスチックスカイ」だったが、遠野美月の作品と比較され、青村信吾は思い悩む…。そんな青村信吾の担当編集者の小谷莉子と、遠野美月を担当する篤志面接委員(少年院などの矯正施設に収容されている者の更生と社会復帰を手助けする民間ボランティア)の白石結実子…2人の視点からこの事件の真相を描く…。
真犯人が明かされるなどの展開があるわけではなく、遠野美月が同級生を刺殺したことは揺るがない事実です。だけど、本当の動機が明かされるとき、えっ?そうだったの??という、展開が待っていました!家族の愛を感じさせるストーリーでしたが、このあとの登場人物がどんな生き方をしていくのかが気になってしまいます。
小林由香さんの作品は「チグリジアの雨」「救いの森」を読んでこの作品は3冊目の読了です。今まで一番良かったのは「チグリジアの雨」でしたねぇ…!他の作品も、いつか、読みたいと思ってます(*^-^*)
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小林由香作品、7冊目。ジャッジメントの衝撃から嵌っています。15歳の少女は新人文学賞の最終選考で落選し同級生を刺殺した。理由は被害者に虐められていたから。皮肉なことにその新人文学賞を受賞した作家が自殺。その理由は、殺人の加害者ではなく、自分が新人賞を受賞してしまったから、あの悲劇が起きたと考えてしまう。新人文学賞を企画する出版社の女性社員、少年院で加害者とかかわる篤志面接委員が見事にリンクした!何が起きたかわからなかったが、さすが小林作品、ただじゃ終わらない。関係者の再生の物語としては最高級だと思った。⑤
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15歳の少女が教室で同級生を刺殺する事件が起きる。
前日の小説の投稿サイトに〈第48回シルバーフィッシュ文学賞、最終選考で落選。哀しいので明日、人を殺します〉とあった。
さらにその新人賞を受賞した青村信吾が、受賞して申し訳ないと遺書を残し自殺する。
加害少女の本当の犯行動機を見つけるために篤志面接委員である白石結実子は何度も彼女と面接をする。
少女の本音が引き出されていくうちに白石のいつもと違う雰囲気に圧倒される。
すべてが明らかになったとき茫然となった。
そういえば、いつのまにか青村の担当編集者である小谷莉子の存在を感じることなく後半に突入していたことに気づく。
退職した小谷莉子へ送られてきた本と手紙には感動するものがあった。
仕事も学校も命をかける場所ではない。
最近は作家に対しても、もっと気楽に創作してほしいと思っている。けれど、うまく生きられなかった小説家、青木信吾の作品を、わたしは心から大切に思っています。
という一文が綺麗なかたちで心に残った。
少女の犯行動機云々よりもひとりの若き小説家を失ったことが私のなかでは大きかったのかもしれない。
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※
加害者は犯した罪を悔やみ反省するのか。
間接的に起こった事実を知ったとき、
身勝手な動機や嘘をどう捉え、そこから
反省は生じ更生できるのか。
人は大切な人や身近な人を失ったとき、
何かできたのではないかという後悔の念を
抱え苦しみながらも、絶望から立ち直り、
再び生きようとする瞬間までの葛藤の物語。
ーーーーー
胸に大きな後悔を抱えながら、
篤志面接委員として少女の更生に携わる
元教師の白石結実子。
担当作家の自死をきっかけに心を塞ぎ、
生きる意味を見失った元編集者の小谷莉子。
結実子は大人びた加害者との面談を重ね
翻弄されながらも、遂に不可解だった
動機の真相に辿り着く。
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序盤・中盤は有り触れた展開。終盤、美月の父親、弁護士、親友、家政婦らが登場。彼らの証言が犯行動機の解明に繋がり、莉子と結実子の関係性も明らかに…油断しすぎた。
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なめらかに、感情の機微を綴ってゆく。
だから私は小林由佳さんの文章が好きなんだなぁ、、
私もいつか、自分の見ている風景をこんな風に記してみたいな。
『僕らが変わるってことは世界を変えるということとほとんど同じなんだよ』
....彼の言葉を大切にしたい。
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現代的な話で鮮やかながら儚い雰囲気を感じる。
後半の展開は急に感じるが、綺麗にまとまっていて読みやすい。
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15歳の少女がクラスメイトを白昼昼間から教室で4回刺し、殺す事件が発生。何度も犯行理由を変える彼女を更生させるべく、主人公は篤志面接委員として本当の理由を探すこととなる。。。
思ったよりも内容というかメッセージ性は薄い気がする。責任とか???
複雑に絡み合う人間模様、軽快に進むストーリー、コロコロ変わる場面にサクッと読めた。
最後のどんでん返し的な構成、ちょっと無理に狙いすぎて、少し読みにくくしてる感がある。
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殺人を犯した中学生と、篤志面接委員の面会でのやりとりの緊迫感に惹き込まれる。
文学賞を受賞した新人作家が、殺人事件絡みで自殺し、担当編集者がぐだぐだ悩んで仕事を辞め自殺一歩手前までいくクダリに辟易したけれど、その担当者が双子の姉に代わり篤志面接委員になっていたとは…ラストで全部が繋がり、それが双子故出来たことでまとめてしまうのは、なんだか残念な気持ちになる。
でも、面白かった。