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「限界国家」:未来を見据える日本の現状と課題
日本の現状とその将来への影響を描く「限界国家」は、楡周平の洞察に満ちた作品です。高齢化、少子化、出生率の減少、労働生産人口と購買人口の減少といった課題が、内需依存の高い日本にどのような影響を及ぼすのかを探求します。
物語は、70代の経営者が事業承継を機に、日本の30年後の将来像についてコンサル大手企業に相談するところから始まります。3年先すら見通すことが困難な現代社会で、見通すことに意義があるのか、そして見通せた場合、どんな未来が待っているのかを問います。
この問いに対する答えを探すため、コンサル企業は70代の依頼者・経営者を20代のベンチャー経営者と面会させます。20代の経営者は、出生率や生産人口の問題を「手遅れ」と見なし、政府の現在の利権構造の保持を批判します。彼は、国に期待せず、自立した経営を目指すと語ります。
ITの目的は、労働からの解放であり、生産人口が減る日本にとっては良い機会となると、20代の経営者は主張します。この視点から、「限界国家」は、新聞やメディアから得られる情報をどのように認識するか、そしてその環境を「機会」と捉えて何をすることが社会やそこに暮らす人々の豊かさにつながるのかを考えさせてくれます。
また、この作品には、大学生の親が子供の就職に対して自分の考えを封印するシーンが描かれています。子供自身が考える、見える世界があることを示しています。親が子供に任せる意思決定とその背景も一読の価値があると考えます。
「限界国家」は、現状の課題と未来への展望を巧みに描き出し、読者に洞察と考察の機会を提供します。この作品を手に取ることで、あなた自身と日本という関係に対して視点が広がるかもしれません。
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再読。最初に読んだ時より悲観的ではなく感じた。サバイバルできるように刃を磨いていたい
日本の将来を悲観しているわけではないが、考えさせられる。
外国でも暮らせるスキルは必要かな
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全ての政治家、自治体の首長、官僚に、ぜひこの小説を読んでもらいたい!
人口の急激な減少に対する提言を求めた大手企業の幹部に、若者の目線でこれからの企業はどうなっていくかを語る。
腹落ちする説明。小説の形をとっているが、作者の日本の政治・官僚に対する痛烈な批判である。この小説を新聞などのマスコミで大きく取り上げてもらうことを望む。そうでなければ、このまま日本は沈没する。
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コンサルタントに20年30年後の日本はどうなってるのかレポートして欲しいとの依頼が来た。社内の元キャリア官僚や、メタバースやNFTに詳しい経営者に話を聴くと、見えてきた未来とは。
とても面白かった。医者が今後生き残りの厳しい社会になるとか、人口減少社会が何をもたらすかとか、現実的な未来予想が鋭い。
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老人の老人による老人のための政治とは言い得て妙。人口減少問題と働き手不足、AIによる職の淘汰は表裏一体で、先進国はいずれその道を辿るのだろうし、悲観し過ぎるものでもないと思う。
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2023.8.6
久しぶりに楡氏の本を読みました。
小説とはいえ、読み終えて暗澹たる気分になりました。
特に印象に残ったのは2点。
①少子化の(将来的な)弊害についてはそれなりに理解していたつもりでしたが、ここまで広範囲にわたる可能性があるのかと。。
②若者の国家に対する価値観。
「国の将来を案ずる気持ちは分かるんですが、ではこんな状況を作ったのは誰なんだと考えると、今まで政治や経済、国の舵取りを担ってきた指導者、つまり高齢者だと思うんですよ」のくだりは激しく同意。
皆、仲良く沈没していくのでしょうかね。。
最高の社会派小説です!
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社会問題に鋭く切り込むのは流石だが、今回は難題すぎた。プラチナタウンシリーズのような実践が無く、会議室でのディベートだけで終わり、読後の爽快感が無かった。
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著者の作品ははじめて
小説…の形をとったなにかで、著者の主義主張を作中の人物に「わかるわ」やらなるほど納得できる、と語られているような気持ちになってしまい、なにかしらのパンフレットを読まされているようなくすぐったさがなかなか私には馴染まなかった。
とはいえ問題定義の内容はなるほど納得できる、なんだけれども。笑
私が働く業界もガッツリ未来がないとされていてうーん沈む船だよねぇ、わかってる…というきもちにも。
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人口減少、少子高齢化。巨額の財政赤字、温暖化…。課題山積の現実にもかかわらず、ポピュリズムに走り既得権益にしがみつく政財界の面々、大人たち。次世代に本当に申し訳ない。「今後の日本の他雨に…」「どの口がそれを言う」と若い世代に言われても返す言葉がない。国民みんなが目を向けるべき提言を記した一冊。
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日本の未来を否定しているよね。
けど、それが現実。
どうしたらいいのかと言う感じですね。
明るい未来は無いのかな。
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少子化対策の話題が最近多いけど、目先の利得ありがたくないわけではないが、誰と話してても、全く将来的な対策じゃないよな、と言ってたら全くそのとおりと太鼓判。
政治に関心を持たない若者が増えることに危惧していたが(若くない私も関心が離れて行ってる…)レベルの違う問題だと思った。これからの国、というより世界を変えていくのは、これまでに構築された政治、会社、しくみとは異なる次元で動いてあかないと不可能な気がした。それを実行しつつある改革者が少しずつ芽を出しているらしい。
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日本の危機的未来を切実に描いた物語。元経産相の新沼や元厚労省の峰岸、若手ベンチャーの根本らの専門的視点で語る近未来の日本に悲観。問題を掘り下げ、リアルであった。
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日々感じていたことを見事に言語化してあり、終始うなずきっぱなしでした。
『日本の権力者は費用対効果を考えない』っていう指摘があるけど、本当にそう思うことばかりです。今も万博のパビリオン建設が遅れてるって定期的に話題に上がってますけど…そもそも今の時代に万博って必要?って思います。
私は日本が好きだし、日本文化も伝統も好きですけど、多数の人が興味を失えばどれも廃れて行きます。
その時代に必要、もしくは魅力があると思う人が多ければ残そうとしなくても勝手に残っていくものです。
少子化にせよ、今の時代そして次世代に適応するための変化なのではとも思うのです。
本の中では、職業寿命が短くなり、必要な労働者数が減ることが挙げられています。プラス、生物学的な変化も関係しているのではと思えるのです。
しかし『限界国家』かぁ。
的を射た表現で、あっぱれ。
私は日本から出るつもりはないので、自分なりの道筋を持って、変化に対応していく術を磨いていかなければいけません。
まずは健康でいることだな。
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p77 これから先、職業寿命がどんどん短くなる
技術の進歩は、人間から職を奪い、労働の場を奪う
あってあたり前だった職業がまるごとなくなる
p89 鉄板の職業 一次産業
ベンチャー 投資家からお金を集める。銀行でない
p110 地方の開業医 患者がいなくなると、病院経営のいきずまる。人が多く住む都市部で再出発
p150 政治家の関心は、ただ一つ。議員で居続けること。いかにして、より多くの票を集めるかなんです。となれば大票田は高齢者。だから医療制度の改革なんて、必要性は理解できても、やれるわけはない。
p152 ご子息に親の世代の価値観や職業観で、将来進む道をアドバイスできる時代じゃない
p154 このままだと日本が日本じゃなくなってしまうとか、遅きに失した感はあるものの、なんとかしないと、とかって危機感に駆られるのは、功成り名遂げた高齢者でしょうからね
それだけいい人生を送ったからですよ
p177 日本に市場を絞ったんじゃ、ビジネスの広がりは期待できない
p187 会社経営において、最大のリスク
固定費、それも人件費
p216 建国以来、脈々と受け継げられてきた文化や伝統
受け継ぐ人がいなくなれば、自然消滅する
p223 Airbnb 稼働制限50%
p226 厚生年金制度回顧録
p236 2025年には全人口に占める75歳以上の割合は約2割になって、医療費の55.5%を使うと言われています。
p240 その経験ってやつが、新しいことをやろうとするときに邪魔になるってこってないですか
p246 議員定年制
p250 国家予算の使い方にしても、費用対効果って概念が決定的に欠けている
p254 韓国の合計特殊出生率はすでに07台。三世代後には、現在の人口の6%台になるという論もある
p259 議員が議員であるためには票を獲得しなければならない。結果的に年代別人口比率が多い層、つまり若年層よりも高齢者を厚遇する政策が重視される傾向がある
p263 世界情勢が不穏 権力者がレガシーを残すのが目的
p282 人が減れば、人手をかけずに済む技術や製品が開発される。それがまた人の減少に拍車をかけるって、地方の過疎化の構図そのものですよね
p283 限界集落ならぬ限界国家になる
p295 日本の文化や伝統を守りたい。そのためには、少子化に歯止めをかけなければならないと言うけど、そもそもこんな社会にしたのは、あなた方の世代、そしてその前の世代と先達が行ってきたことの結果ではないか。それを今になって、なんとかしないと大変なことにあると、解決策を若い世代に求めるのは、あまりにも虫が良すぎる
p296 つまり、新産業の出現が新たな雇用に繋がったのは過去の話で、これから生まれてくる新産業は、雇用の創出には大きく貢献しない。もう、われわれの世代の知恵や知見、経験則など役には立たない時代になりつつある。
p299 人口の回復を妨げる決定的要因 テクノロジーの進歩
p303 もはや過去の経験則も、知見も知恵も、ほとんど要をなさないほどのスピードで社会は変化してる
p304 人口の多さが国力に直結し、指導者の野心を掻き立てるような思えるからです
p305 ベンチャー企業の経営者を志す若者に、いかに快適な環境を整えることができるかに、国の将来がかかってくるというわけか
p308 現代は先を読めない者にとっては悲劇。先が読める者のっては喜劇
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少子化、いいじゃないか。没落のススメから何かが生まれる。予測が容易なイノベーションはない。そんなふうに思いながら読んだ。