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ここ1、2年、虫の魅力に開眼した。
前から嫌いではなかったが、最近はその体のフォルムと存在に、親近感と神秘を覚えるようになってきた。
集めたい、とか、写真に撮りたい、とか、ではなく、ただ、日常に出会う虫たちに対して敬意を感じる。
わたしもあなた(虫)もおんなじ命、だと思うと、相手の存在も自分の存在も、尊重できる。
そういえば、昔読んだ小説の中で、主人公の少女が殺した蚊を「責任持って食べる」シーンが印象的だった。(私は食べないけれどね)
夏に庭に来ていたオスのハグロトンボのうつくしさに参り、それからトンボを見るとアイドルの推しを見るような視線で見てしまってる。
本書は日本のトンボの中で最大の大きさを誇るオニヤンマの生態を4Kみたいなくっきりはっきりとした写真と丁寧な解説で綴った写真絵本。
トンボが肉食(アブやキイロスズメバチを食べる)だと初めて知った。
幼虫(ヤゴ)時代から肉食で、小魚などを唯一無二の手法で狩る。
また、交尾の時はオスがお尻をメスの頭に連結させ、他のオスにメスが横取りされないように、木の高いところに飛んでいくらしい。交尾時間は1時間くらい。
樹上がオニヤンマたちのラブホ街だったなんて!と衝撃。
メスは多くのオスと交尾して、数千個の卵を産み落とす。
もう今年の世代のオニヤンマたちは10月にはいなくなっているが、川や池のよどみの中には次の世代の卵たちが孵化するのを待っている。
想像すると、ときめく。
トンボは二億年前には今の形で空を飛んでいたのだそうだ。
もう、既に進化の必要のない生物として完成されていたってことなのだろうか。
そういえば今年、『オニヤンマ君』という実物大の蚊よけのブローチを見かけた。
あれ、効くのかな。
今更だが、欲しい。