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90年代、夢枕獏の『陰陽師』や岡野玲子のマンガ版『陰陽師』により晴明ブームが起こった。そこでは晴明は美形で、強大な敵を相手にダイナミックな呪法合戦を繰り広げる。しかし実際は…。
ただ本書では、史実と虚構の違いを云々するということではなく、今に至る「晴明現象」を分析することを目標としているとのこと。
晴明が着目された一度目は、晴明没後1世紀の院政期に、『今昔物語集』や『宇治拾遺物語』に登場したとき。末法の世、人心が不安定なとき、人々が都の危機を救うスーパースターを求めたのではないかと著者は推察する。
二度目は、17世紀、晴明は狐の子とする、いわゆる葛の葉伝説が現れたときとされる。
これらのほか、陰陽師の実際の役割や、清少納言、紫式部の書いたものにどのように陰陽師が取り上げられているかなど、また近代・現代文学における晴明イメージの変転などが説明される。
部分、部分としては面白いのだが、残念ながら安倍晴明についてあまり興味がないので、最後はフーンという感じで終わってしまった。