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THE・カズオ・イシグロ
AIが身近になった今、近い将来起こりうるようにも感じる世界
カズオ・イシグロのAIは思考するし感じる。感情がある。
そのAIに人間が求めるものはやはり自分勝手で、それでも人間として求めたくなってしまうものなのかと、人間には人間らしさがどのようにしても残るものなのだと言われているようにも感じた。
クララの献身的なやさしさこそが人間に足りないものかもしれない。
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近未来について考えさせられる、面白い本でした!
人工知能って結局どういう位置付けで考えればいいんだろうか。。。
近いうちに必ずくる人工知能と共生する時代になった時、必ずこの本を思い出して悩むだろうなと感じました。
考えたポイント
-人工知能に心はあるのか?
そもそも心ってどういうものなのか?
何があったら心があると考えていいのか?
難しいなと感じました。
人のことも人間よりも大切にしてくれるのに、
社会的立場は機械と一緒ってどうなんだろう。。。
まだ別の点では、AFからの視点で全て描かれてる物語で、淡々としていて、どんなことがあっても一定なのが怖かったです。
ちょうど笑って人類を読んだ後だったので、
同じ人工知能の世界でも人によって描き方は変わるなぁとも感じて面白かったです。
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3冊目のカズオ・イシグロ作品。
どの作品も文章がシンプルで読みやすいが、世界観が独特なため、最初は全体像をつかむために苦労する。
ただ、今回の作品は始まりからわかりやすくサクサク読むことができた。
今回はAIと共生している世界を描いている。
技術的な描写の難しさは一切なく、主人公のAI目線で人間との生活を描いてある。
読みながらAIだとこの場面はこう読み取るのか、とついつい考えながら読んでしまう。
AIだからプログマムはあるにせよ、こんなに利他的な立場に立ち続けるのは、人間には無理だなって感じた。
主人公も純粋で献身的で、蔑ろにされてすごく切ないシーンもあるが、自己の満足が高い状態で終わってくれてよかった。
よくAIが人間を支配するみたいな映画などもあるが、今回のカズオイシグロの作品を読んで気持ちがわかった。
カズオイシグロの作品をもっともっと読んでみたいと思う、今日この頃です。
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そう遠くない未来のお話のような気もするし、人間の利己的さにやはりがっかりするし、第6章のクララの情景や気持ちを考えると、そのあとの解説が頭に入ってこないくらい余韻が深くて涙がほろほろ。素直に読んで良かった。
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クララよりも、カズオイシグロのような文章を書く人工知能が現れる方が可能性が高いと思った。
クララは人工知能であるが、他の人工知能と違う性格を持たせていること、そして、それは狙って作れるものではないようなこと。そして、認識能力だけでなく、信仰能力を持ち合わせていて人間的であること。しかし、自由意志を持たせているのは危険ではないか。倫理観は人工知能に取りつけてあったのか。
しかし、人工知能が一人称的に語るということは、すべて幻という可能性もある。やっぱり人工知能が小説家になったのだ。また一人称にすることで、人工知能が途中で破壊される危険性は少ないと感じさせられた。これは読み手には安心材料である。
病弱な女の子がいて、その子が死んでしまうかともさえ思わされた。それでも、クララはお日さまを信じ、女の子は助かる。これが主旨だろう。
人工知能は人間の代わりを果たせるか、それにかかっている。成長するか、セックスするか、死に至るか、それができなければ、廃棄されるだけだ。
大便、中国の国家主席という比喩はなかなか思いつかない。さすがカズオイシグロといったところか。
大便はいずれ出されるだろう人工知能のこと。中国の国家主席は大気汚染の元凶のこと。いずれも私の類推ではあるが。
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カズオイシグロは「わたしを離さないで」しか読んだこと無いのだけど、静かで多くの背景を語らずじわじわと世界観が詳らかになっていく流れ、なんとなく切なく物悲しい雰囲気が良い
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読み終わりたい気持ちは山々なんだけど、なんか読み進められないーーー。でも結末だけ知りたい、、、笑
なんでだろう単純に相性があんまり良くないのかも
結局結末だけ知った、、、
なんだか凄く色々な解釈ができる物語なのね
難しいーーー。私の知能が及ばないのかね、あと文章の書き方が合っていなかったのかも。大きな鳥にさらわれないようにみたいな感じだった
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ノーベル文学賞受賞後第一作。
AF(Artificial Friend)と呼ばれる、子供の相手をする人工知能を持った機械が存在する世界。
「向上処置」と呼ばれる技術が存在し、自分の知能をアップさせる処置を施すことができ、世界はその向上処置によって置き換わろうとしているディストピア的な世界。
その世界で向上処置を受けたジェシーとよばれる女の子と、その家に買われていったクララの物語。
クララによって語られるモノローグ形式の小説。
よくある、知能を持ったロボットと人間の友情モノで終わらせない。
特殊なSF的舞台設定を十二分に活かして、心とは何か、自我とは何かを浮き彫りにしていく。さらにこの小説がすごいのは、この人工知能を通して、人間の信仰とは何かということを見事に描き出しているところである。
しかもこの深いテーマを、とてもわかりやすい言葉で完璧に語り尽くすカズオイシグロの筆致。
恐れ入った。
「クララとお日さま」なんて絵本みたいなタイトルついているんだけど、読んで納得。いや、本当に恐れ入った。
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なんか、んーー人には、おすすめしない。
個人的には、そうでない人間とそうである人間の明確な表記がほしかった。
でもよくよく考えるとこれは、クララ語るべくした小説であるならば人間の未来永劫の繁栄の意味を完璧に理解することが目標ではなく、クララ自身が今自分はどうあるべきなのか。を問うた本なのかな。他者の決められた幸福に乗っかるのではなく、太陽や自然の今あるべきものに感謝し
大切な人と会話し、笑顔で過ごすべきことが未来永劫続くことがどんなに大切かを書いている気がする。結局たくさんの優秀な科学者を持ってしてもサポートされるべきことは、身近なひとを大切にし思いやりを持ち生きていくことだとおもうと、人はなんで脆いのだろうと感じた。
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本屋の一番目立つ場所に置いてあったので深く考えずに購入しました。カズオ・イシグロ作品はこれまで読んだことがなく、他のイシグロ作品との比較という視点は持ち合わせていませんが、AIロボットが登場するというオビ情報に惹かれ購入しました。
本書のユニークな点は、AIロボットの第一人称視点でずっと物語が進行する点です。主人公であるAF(アーティフィシャル・フレンド)ロボットのクララが外の世界をどう捉えどう考えているか、彼女(性別があるかはわかりません)を中心に語られるわけです。
ネタバレになりますのでストーリーについては書きませんが、私自身は全編通してなにか水墨画もしくは雅楽のような静謐なイメージの中で、感動が生み出されていくような不思議な感覚を持ちました。ある意味予想通りですが「スノウ・クラッシュ」のようなパンク的な要素とは真逆の本なわけです。本書を読んで、スピルバーグ監督の「AI」という映画を思い出しました。子供のAIロボットが開発され、プログラミングによって特定の人物を愛することができるわけですが、今後AIが進化していくとおそらく、スピルバーグやイシグロが描いたようなAIロボットが高い確率で登場するのだと思います。その時に人間はどう接していくのか、AIロボットを「モノ」として扱ってしまうのか、いろいろ考えさせられる作品でした。
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これはよかった。カズオ・イシグロをきちんと読んだのははじめて。本作は、ジャンルとしてはSFになるが、SFらしい部分はそれほど多くない。主人公のクララは「AF」と呼ばれる人工頭脳を搭載したロボットだ。エネルギー源は太陽で、光合成のように太陽の光を浴びることでエネルギーをたくわえることができる。なかなか買い手がつかず、店の中で売れ残りのようになっていたクララを購入したのはジョジーという少女だった。ジョジーは体が弱い。クララはジョジーを見守るうちに、太陽の力を借りればジョジーは元気になるのではないかと考え、そのための計画を実行に移していく。本作では、AFというロボットを通じて、人間とはなにか、感情があればロボットと人間は同じなのか、ということを問う。おもしろいのは、ロボットであるクララがジョジーを回復させるために太陽の力を頼るところだ。これはクララのエネルギー源が太陽だから、ジョジーにも同じ原理を応用しようとしているだけなのかもしれないが、人間の古代の宗教で太陽崇拝というものはよく出てくる。こういった原初的な宗教心というものをロボットが持つという設定がうまくできている。そしてエンディングが非常にうまい。ただし、解釈が分かれると思う。個人的には状況を組み合わせると、ひとつの結論しか出てこなかったが。本作はクララの一人称で語られる。だから、クララが知らないことは読者に伝えられないし、クララがあえて語らない部分もある。読者は想像力をフルに働かせることによって、物語に深く入り込んでいくことができる。そういう世界を構築できるのがカズオ・イシグロのうまさなのかもしれない。
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カズオイシグロさんは読み終わった後にかなり心にくる余韻を起こさせる作家だと思います。
僕が知らないだけだけど、なかなかいないと思う稀有な方。
人間もきっと本気で神様を信じていた(今もそうかもしれませんが)時代があって、
よく知らないで喋りますが、それが最初はその土地の特徴的な天候とかだったんじゃないかなと思うので、人間と同じじゃないかと思ってしまった。
信仰とか奇跡とかを考えました。
生きること死ぬことも。
この世界観でジョジーが助かるとか興醒めるなって読んでる時思っていたのに、見事に受け入れてしまったし、しっかり映像が、それも美しい映画のシーンみたいなのが浮かんで、素晴らしかった。
向上措置の存在が、太陽の力で復活するみたいな奇跡を少しでもリアルにさせたんじゃないかなと思う。
ジョジーの周りの人間がいくらでもジョジーの奥の部屋を想像できる、想像できてしまうというクララの言葉がだいぶこの本のパンチライン(最近フリースタイルハマりました)だったんじゃないかと思った。
最後の店長の歩き方は世の中というものを信じない方がいいんじゃないかとも思ったし、その後に、いや、自分如き小さき存在は結局世界に生かされてるだけなんだよなとも思えるとんでもないラストだった。
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良い本。母親の企みの内容が分かった時にはぞっとした。ノーベル賞作家に言うのはおこがましいけど、その仕掛けを活かしてもう一山作って欲しかった。
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閉じられた世界の中で、生真面目に自分の役割を果たそうとする主人公の独白という構成は『日の名残り』や『わたしを離さないで』と同じスタイル。本文だけでカズオ・イシグロ(土屋氏訳)と分かると思う位、独特な落ち着いた語り口、丁寧な情景描写。やっぱり読み込んでしまうよな。
タイトルの「お日さま」は、日本で言えばお天道様。思慮深く明晰なはずのAIアンドロイドが捧げる切なる願いと祈り。このアンバランスさが、いいなあって思えてしまう。
そして、この作品の主題のひとつは母親。クリシー、ヘレン、そして店長さん。いつまでも子供として傍にいてほしい感情と、きちんと巣立ってほしい願いとが相反する親としての心と頭。ん-、ポーとかあさまを思い出す。
実写化されるらしいので、映画館でみてみたい。
<追記>
RPOビル前でのコーヒーカップのご婦人とレインコートのご老人の再会シーン。お日さまが祝福の日差しを注ぐ場面。人はそんな特別な瞬間は、幸せと同時に痛みを感じる、と店長さんは云う。いつか、しわしわのよぼよぼになっても迎えに行けたら、そんな風に感じるんだろうか。そんな瞬間が訪れるといいなと諦めきれないから、明日晴れていたらお日さまに祈ってみようか。
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ノーベル文学賞受賞 カズオ•イシグロ、初読み。
病弱な少女・ジョジーと子どもの成長を手助けするために開発されたAF(artificial friend)・クララ。
子どもには『向上処置』を受けるか、受けないかという選択があるようで…
社会もAIによって、仕事を奪われた人たちのコミュニティがあるようで…
ジョジーの家の家政婦・メラニアは、クララが家に来た時、明らかに敵対していた…
ジョジーの病状が悪化していく…
クララは…
ジョジーの母・クリシーは…
ジョジーの姉・サリーを病気で亡くしている、クリシーはクララをジョジーの代わりにしようと…
さすがに娘を2人とも病気で亡くすのは耐えられないだろう…
そんな時代がやって来るのか。
ジョジーの病気は『向上処置』によるものだろうか…何か病気が明らかにされないので??
サリーの死因もよくわからず…
一方、クララはジョジーの病気が良くなるように、おひさまに祈る。
環境破壊をする、クーティングズ・マシンを破壊するから、ジョジーを助けてください。と…
グーティングズ・マシンて??
最後を待つクララ…
何か切ない。
あれだけジョジーの家族につくしたのに。
クリシーはジョジーの代わりにしようとまでしたのに。
いくら優秀なAFでも用がなくなれば棄てられるのかと…
何か切ない。
それでもクララはまだ幸せだったのか。いい家族に買われたのだと…
『向上処置』がなんだったのか…
人間を分けていたものがなんだったのか…
最後までわからず、モヤモヤか残る…