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70歳からの「貯筋」習慣 (青春新書インテリジェンス PI 672)
1章 七〇歳からはダイエットより「たん活」「菌活」でスッキリ元気
ツケはあとで清算したらいいのです。
暴飲暴食はもちろんいけませんが、あまり窮屈に考えずに、いつまでも「食べることの楽しみ」を味わえる人生を送っていきましょう。
楽しい・おいしい食事は、心と体の栄養になるのですから。
飢餓状態が一六時間続くとオートファジーが始まるといわれています。オートファジーとはギリシャ語の「オ—卜(自ら) 」と「ファジー(食べる) 」を組み合わせた造語で、古い細胞を分解処理するメカニズムのこと。
なぜ「たんぱく質」が介護予防につながるのでしょうか?
それはたんぱく質が筋肉をつくる材料となるから。
自分の足で歩ける。,身のまわりを整えるために,自分で動ける。好きなときに好きな場所に行ける。全て「筋肉」があるからこそできるのです。
貯筋が七〇歳からの人生の充実度を決めるのですから、原資となるたんぱく質を十分に摂ること。「たんぱく質いっぱいの生活北たん活」を実践しましょう。体重一キログラムあたりーグラム以上のたんぱく質を摂ることが理想とされています。
そして、たん活でせっせと摂ったたんぱく質を立派な筋肉に冇てるには「運動」という刺激が必須。
サルコペニアとは、筋肉量が減ったために身体機能が低下した状態を指します。「筋肉」と「減少」を意味するギリシャ語を組み合わせた造語で、比較的、新しい概念です。高齢者がサルコペニアの状態になると、要介護化、そして死亡のリスクが約二倍も高くなるといわれているのですから、なんとしても避けたいところです。
サルコペ二アとひと続きになっているのが「ロコモティブシンドローム」と「フレイル」です。
貯筋が減るとサルコペニアが始まり、 運動機能が低下する.口コモティブシンドロ—厶に突人すると転倒・骨折のリスクが上昇し 、フレイルに至るともはや介護一歩手前。サルコペニアからフレイル、介講までの一連の流れのトリガー(きっかけ) となるのが「貯筋不足」なのです。
塾が掲げる四つの教えがシンプルでわかりやすいのでご紹介します。
そのー、毎食一品たんぱく質を摂ること。その二、たんぱく質は一日六〇グラム以上摂ること。その三、野菜は一日三五〇グラム摂ること。ここまで食に関することですが、四つ目は、毎日ウォーキング。
よりどりみどり選べるのは、多彩な味を楽しめるメリットもありますが、なにより善玉菌を増やすために有効です。オックスフォード大学の研究発表によると、乳酸菌、納豆筋、塩麹など、さまざまな善玉菌を入れることで腸内環境がよりよくなるとのこと。
つまり、発酔食品を摂るときは同じメーカーの同じ製品だけを摂るのではなく、バリエ—ションを広げていくのがコツ。
お腹を温めるために運動する。衣服やカイロを活用する。どちらもものすごく簡単なことですが、「やる」と「やらない」とではお腹の調子が大違いです。お腹の調子が整っていると気分も安定します。
腸とつな��っているのは脳だけではありません。
「筋肉」も腸とコミュニケーションをとっていて、これを「筋腸相関」といいます。筋肉と脳も対話していると僕は思っています。「筋肉を動かすと脳も前向きになる」と僕は常々言ってきました。
僕は「腸が全身の健康の源」と考えています。免疫細咆の7割が存在する腸が弱っていると、疲れやすく、すぐに風邪をひき、感染症にかかると帀症化しやすくなります。大事な腸を守るために、生島さんが実践している「腹卷」はぜひ真似したいところ。とくに夏の就寝時。
2章 人生にいいことしか起こらない!
心と体を整える「貯筋」習慣
僕もよく生放送や収録の前、仕事の合間、出張先のホテルで、気がついたときにトントントーンと五分足らずでやっちゃいます。
数分ではありますが、使う筋肉を意識して」华に動かすので効果はしっかりあります。体がじんわり温かくなって気持ちも切り枠わる。物足りなければ繰り返せばいいだけです。
僕は布団の中でおこなうのですから、正確には「モーニング(一歩手前) ルーティン」といったところです。
なにをやっているかというと、あお向けの状態で両手足を垂直に伸ばしてブルブルと震わせる「毛管運動」です。
寝起きは元々いいのですが、布団から出る而に丘管運動をすると全身に血液がサーッと巡り出し、体の中が目覚めていく感じがわかります。
毛管運動は時間にして三〇秒ほど。まさに「スキマ」と呼ぶにふさわしい短い時間で、頭はシャッキリ、気分もスッキリ、体はポカポカ。ご機嫌な1日が始まります。・
四〇歳を過ぎると筋肉は毎年1から2パーセントずつ減っていきます。放っておくと七〇歳になる顷には、全身の筋肉量が落ちるサルコペニアになり、いずれ生活に支障が出て介護が必要なフレイルになってしまいます。
疲れは「精神的疲労」「病気が原因の疲労(倦怠感) 」「生理的疲労」に分けられるそうです。
「精神的疲労」とは、過度なストレスが原因で「眠れない、食べられない、そして疲れが取れない」状態です。
「病気が原因の疲労(倦怠感) 」の場合は、心身に負担をかけることを避け、原因となっている病気の治療に専念する必.妥があります。
三番目の「生理的な疲労」は、食事、休息(睡眠) 、活動(運動) のバランスが崩れたことで生じます。
血液の通り道となる血管。そのトータルの長さ、知ってますか?答えはー〇万キロメートル。なんと地球二周半。体の中にこんなにも長い「管」が入っているなんて驚きのひと言。血管が人体最大の臓器と称されるのも納得です。
毛細血管が老化すると血液が流れなくなってしまう、この状態を「ゴースト血管」といいます。ゴースト血管になると血液が酸素や栄養素を届けてくれず、老廃物も冋収してくれないので細胞は弱っていくばかりです。
毛細血管をゴースト化させないために必要なのが「一酸化窒素」で、この一酸化窒素を作ってくれるのが「運動」です。
一酸化窒素を作るために特別に難しい運動をする必要はありません。ウォーキングやスクワットなど、シンプルな運動で十分です。
実践してほしい呼吸法もあります。「腹式呼吸」と「方鼻呼吸」で��こちらは自律神経を刺激することで一酸化窒素を増やします。
3章 お金と認知症の心配も「貯筋」があれば乗り切れる!
アメリカで僕は「自助努力、 自主判断、自己負任、自己防衛」が生きるための武器だと叩き込まれました。「若さ」という勢いはなくても、何十年と培ってきた「経験」と「知恵」で、「自助努力、自主判断、自己責任、自己防衛」という「武器」を磨いていきましょう。
認知症に要する費用には「医療費」「介護費用」「インフォーマルケアコスト」があります。
インフォーマルケアコストは聞き慣れない単語ではないでしょうか。これは家族などが無償でおこなうケア(介護) を現金換算したものです。
国の一般会計予算が114兆円。14.5兆円がどれほど大きな額かがよくわかると思います。まさに僕たち「団塊の世代」が当事者となる「2025年問題」が、すぐそこまで来てしまいました。
二〇二五年、団塊の世代800万人が75歳以上の後期高齢者となり、日本は超高齢化社会に突入します。雇用、医療、福祉など社会の広い範囲に彩物が出る、これが「2025年問題」です。
2025年間題のトピックのひとつとして挙げられるのが「認知症」です。介護施設や介護人材の不足は必至。さらに、認知症にかかる費用は二〇兆円の大台に乗ると予測されています。
超加工食品は「サイレントキラー」を調子づかせる存在として知られていました。「サイレントキラー・沈黙の殺人者」とはなんとも物騒な名前ですが、その名の通り、静かに忍び寄って気がついたときには致命傷をうえる痛のことです。
アメリカのタフツ大学とハーバード大学の研究によると、超加工食品を大依に食べている男性は、ほとんど食べない男性に比べて大腸がんになるリスクが29パーセントも高いことがわかりました。
超加工食品がこれほど悪影響をおよぼすのは、腸内環境を悪化させてしまうからです。
腸内環境が悪化すると、体のあちこちに慢性炎症が起きてしまいます。慢性炎症は認知症の原因のひとつといわれていますから、 超加工食品が認知症のリスクを上昇させるのはもっともなことなのです。
生島さんが紹介してくれた論文では「超加工食品の割合が20パーセント」が分岐点になっています。僕が以前に読んだ論文では「10パーセント未満ならそれほど影響はない」とありました。
四角四面に考えない。
物事を柔軟に捉える。
これこそ認知症にならない生き方です。
超加工食品を摂るときは、納豆、キムチ、ヨーグルト、野菜などで、腸内環境を意識的に整えましょう。
4章 「年齢に逆らう」より「変化を楽しむ」で毎日がもっとラクに
僕の人生のお手本は精神科医でエッセイストの故・斎藤茂太先生。
「完璧を望むと人間は壊れちゃうからね、ほどほどのいい加減がいいんだよ」
やさしくてあたたかい、そしておしゃれな斎藤先生は僕の憧れのロールモデル。
ファツションと斎藤先生の語り口が醸し出すダンディズムには、いつも心底、痺れました。全てが「斎藤先生らしさ」にあふれていました。
長く飲兵衛の心の支え、錦の御旗だった「フレンチパラドックス」は幻想だったことが、アメリカの��ョンズ・ホプキンズ大学の調査で明らかになりました。赤ワインのおかげで、フランス人は心臓病が少ないわけでもない、死亡率が低いわけでもない、がんが少ないわけでもないことが明らかになったのです。
実際には、動脈効果や慢性炎症を防ぐのに必要な量のレスベラトロールを赤ワインから摂ろうとすると、大量のワインを飲まなくてはいけません。レスベラトロールの恩恵の前にアルコール依存症やアルコール中毒で体を壊すのがオチです。
フレンチパラドックスがまことしやかに広まったのは、科学的な検証がされる面に「ほら、赤ワインは百薬の長だ! 」と言いながら、たくさん吞みたい人たちが飛びついたから。
健康は一日にしてならず。ひとつではならず。
お肉も、野菜も、発酵食品も、そして運動も。ひとつに偏らず、満遍なく取り人れていくことが健康の秘決です。
仕事柄、健康に関してはいろんな情報が入ってくる僕ですが、実際にトライしてリスナ—への仁義を通したあとは、気に入ったものをゆる〜く続ける感じです。「気楽、おいしい・楽しい、ハッピー」のどれかひとつを満たせば十分だと思っています。
ー〇〇点満点より七〇点の及第点。70点主義が気持ちも財布も追い詰めないコツだと思うのです。
5章 「自分のため」より「誰かのため」で人生ますます充実
認知症のひとつである「前頭側頭型認知症」は、脳の前効葉や側如葉が萎縮することで発症します。
「前頭葉」は思考力や判断力のほか、感情のコントロールを司る「人間らしさに関わる脳」「側頭葉」は聴覚や視覚、言葉の理解に関わっています。
前頭側頭型認知症は65歳未満で発症するケースが多く、初期には社会性が欠如した行動や人格の変化がみられます。
自分のもっている時間に限りがある、「死」は意外に近くにいるのかもしれないことを、この年齢になって芯から理解できるようになりました。考えると、ひんやりした気持ちになります。
ー九三六年生まれの帯津先生は「長く老人を続けてます」と即らかにおつしやいました。「死ぬことが楽しみ。あちらも賑やかになっているだろうからね」と諷々としたものです。
「最後に居酒屋行って、酒飲んで、じゃあねって、それだけの幸せがあればいい」かっこいいなあ〜。到底そこまでの境地には至れない自分分はまだまだだなと感じたとき、「あれ? そうか、俺、まだ若造なんだ! 」。
四〇代の女性のがん患者さんはこう言いました。
「がんばってがんばって今日まで来ました。もう、がんばれません」
人には、どうやってもがんばれないときがあります。
「がんばる」は骥い。でも、「がんばらない」も尊重したい。
若造だった僕はなんと言ってあげたらよかったのか、そのときはわからなかったのです。
五〇年ほど医師をやってきて、今では、「よくがんばってきたね」。その患者さんの生き方を肯定してあげるのが大事なのだということに、気がつきました。
「がんばらない」という言葉で僕はラクになりました。ずっとがんばる必要はないのです。
がんばったり、がんばらなかったりのリズムを大事にしていけばいい。
面白がるときは心から。そしてほど���どに休む。
これからの人生をうまい具合に乗り越えていきましょう。