紙の本
序盤は我慢
2023/11/19 17:15
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投稿者:ぷー - この投稿者のレビュー一覧を見る
非常に有名な御成敗式目、全文を読んだことがある人は少ないだろう。本書は式目の作られた時代背景や五十一条の内容を丹念に説明しつつも、第九章〜第十一章にかけて現代につながる歴史のダイナミズムや恐ろしさをも描いている。
おそらく本書を手に取る読者は日本中世史に関心があるのだから、序盤から中盤は少し物足りなさや淡白さを感じるかもしれない。しかし、第十章以降が俄然面白くなるので、我慢して読み進めることをお薦めする。
紙の本
よく考えたら、初めて詳しい中身を知った
2023/09/05 16:56
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
承久の乱で後鳥羽上皇を隠岐に追放して、武家の天下になった12世紀の末、3代執権北条泰時は御家人に対して初の武士法「御成敗式目」を制定した、ここまでは知識として持っていましたが、その中身は?となると、私は詳しいことは全く知らなかったようだ
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武士社会の先例や道理に基づくとされる御成敗式目。初の武家法はどのように生まれ、どう受容され、なぜ有名になったのか。
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1232年、鎌倉幕府三代執権北条泰時により制定され、源頼朝以来の先例や武士社会の道理に基づく初の武家法として名高く、日本の歴史上「最も有名な法」の一つともいえる御成敗式目について、その成立の背景、主要な条文の内容、構成への影響などを解説し、その実像を明らかにする。
名前や能書きだけは知っていた御成敗式目のリアルな姿について理解が深まった。全51箇条の書き下し文を本書の最後に付けてくれているのも、原点重視で有り難い。
また、現代を含め、後世の歴史における御成敗式目の受容の過程も詳しく述べられていたが、その時々の関心から度々(ある意味恣意的に)参照される様子に歴史のアクチュアリティを感じた。だからこそ、恣意的な歴史の利用を見抜くためにも、史料批判をもとに、対象を相対化して検証する歴史学とその成果の普及が重要だと再認識した。
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「自分の耕す土地は自分で所有したい」朝廷=国司管理から地頭の現地支配が優勢となる鎌倉時代。寛喜の大飢饉1231に際して生まれ、そして1258正嘉の大飢饉対処との法として定着していった…/幕府の構成員である御家人の訴えを裁く法であったが、生産力の向上(農地の定着)と武士は農民であるから女性も労働力として尊重され、財産分与・分与の「考え直し」とどこまで認めるかなど「お家」維持を尊重する/武家恣意的な裁定ではない司法の法治主義、成文法の古典として建武の新政でも受け継がれ…明治憲法の淵源とまで持ち上げる向きもある
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御成敗式目が当時の人びとにどう読まれ、どう活用されたのか、その結果、どういった影響を後世に及ぼしたのかをわかりやすく解説した好著。導入部分はやや退屈な記述が続くのであるが、後半は俄然面白くなってくる。また史学史的なフォローも多く、中世史分野でどういった議論がされてきたのかも素人なりに得心できた。
本書を読んで、難しくてちょっと挫折しかかっている安野眞幸『日本中世市場論ー制度の歴史分析ー』も再チャレンジしようと思ったし、佐藤雄基氏が編者に名を列ねている『史学科の比較史』も手元にあるので読んでみたい。
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学生時代、御成敗式目は武家にとって初めての法律、と習った記憶がある。なので、判断集に近いものと記述がおり、新鮮であった。
泰時の御成敗式目に対する思いや位置付けなどが分かりやすい。
ただ、他者の資料批判はやや辛辣であり、本書の面白さを減少させている印象がある。