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この本を読んで、先ずはとても勉強になったと思う。
実際にロンドンであった、公営住宅地の空き家占領・解放活動に着想を得た小説であるということだが、全く知らなかった。
『ジェントリフィケーション』『スクウォッティング』など
新しい知識が増えたことは、読んだからこそ知り得たことである。
最後に史奈子が言う「生きるために…私たちは自分を生きるために抵抗していかないといけないんだ」が心に響いた。
日本も今後、富裕層と貧困層の二極化が進んで行くのでは…と言われているが、どうなって行くのだろうか?
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作者が主戦場とする英国における草の根民主主義を象徴する?反ジェントリフィケーション運動を小説化。
マスコミやSNSを絡めたとしても日本でこのような法律の枠を超えた権利拡大が成功するか定かでないが、一方で制度を悪用した公金流用スキームが白昼堂々利用されている側面もある。
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▼配架・貸出状況
https://opac.nittai.ac.jp/carinopaclink.htm?OAL=SB00551179
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もっと現実に沿った内容で、リアリティーのある物語を期待していた分、少しがっかりしてしまいました。
勝手な思い込みでした!
とはいえ、社会的な問題を、簡潔な言葉で分かりやすいのに心に残る言葉で語れるフレディみかこさん、さすがです‼️
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2013-14年に実際に起きたロンドンのジェントリフィケーションに端を発する占拠運動をモデルにした小説。近年いくつかの映画・ドラマでも描かれてきた問題なので題材それ自体の真新しさは薄いが、そこに日本の新聞社の支局をサイドストーリー的に絡めることでメディアへの批評性も持ち合わせているのが面白い。私も含めてこういった作品やニュースを見聞きしても「ふむふむ、そんな問題が世界では起きているのか。勉強になるなぁ」で終わってしまう読者にも静かに牙をむく終章、特に史奈子の選択に頬を叩かれる。そういう意味では個人的に幸太のキャラクターと行動力も意外と刺さってしまった。
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アナキズムは国や宗教などの政治的な権力に対し、個人の自由を訴える思想で、既成概念を壊す革命児、異端児という印象があった。
本文には、「人間は自由であるべきなのに、社会や国に縛られることで自分で何かをしなくても与えてもらえる状態に満足して何も考えられなくなる」とあった。
これを読んでハッとさせられる人は多いのではないだろうか。
社会や世界で起きている問題は決して他人事ではなく、明日の自分かもしれないし、もしくはもうすでにその問題の渦中にいるのに気づかないことは多い。
なにかしらの行動を起こす権利は誰にでも平等にある。しかし、個人の問題が集団の問題へと拡大したとき、私的なものが公的になったとき、「きっかけ」を忘れてはいけない。原動力となった核がなくなれば、ただの張りぼてだ。
「旅の途中で私たちが奪われたもの。自分に対する自信。他人を信頼する勇気。ドロシーが西の魔女に片足の靴を奪われたように、私たちは片方しかない靴で歩いていたも同然だ。」
「尊厳のないところで人は生きられない」
この本の中で低所得シングルマザーたちが訴えていることは「人権」だ。
人間には等しく人間らしく生活する権利があるということ。これは日本国憲法でも謳われている。自分の言葉で自分の思いを語る自由が脅かされたら、私たちは社会に、他人に自分の尊厳を主張するべきなのだろう。
自分が自分を「リスペクト」できること。これが大事なのだ。
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2014年。東ロンドン。カーペンターズ居住区の実際の占拠事件が題材。公営の住居を追い出せれるシングルマザーたち。遊休の空き家があるというのに。民間住宅は高過ぎる。家賃の安い見知らぬ土地へ行けという。運動が始まる。思わぬ数の支持者たち。助け合い。占拠はひと月に及ぶ。抵抗は実る。…アナキストと新聞記者。架空の邦人カップルの登場で日本人にも身近な出来事であることを感じさせる。理不尽も「あきらめて受け入れる」。その繰り返しでは国そのものが疲弊する。まもなくGDPが世界4位となる。凋落に甘んじてばかりはいられない。
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ロンドンで実際に起きた公営住宅占拠運動をモデルとした小説。公営住宅に空きがあるのに追い出される、何も出来ないから何でもお上が思うままに出来ると思われる。これは近い将来の我々を問う物語かもしれない。
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シスターフッドとか、自治とか、アナキズムとか。
公営住宅を追い出されそうなシングルマザーたちが権利を勝ち取ろうと動き出す物語のなかに、いろんな人が生き易い世の中にしていくためのいろんな揺さぶりが仕込まれていて、読んでてうれしくなる。
異議申し立てすることを諦めない姿はかっこいいし、緩やかな連帯は温かい。
他人と関わり合うのってあんまり得意じゃないんだけど、ほんとは大事なことなんだよね、って、苦手だけど栄養があるから食べた方がいい食べ物を前にしている気分にも、ちょっとなる。相互扶助。分かってはいるんだけど…。
幸太の喋り方、栗原康さんの文章みたい。
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ネットなんかじゃダメなんです。
フィジカルに集まって生きることをサポートし合う「場所」が要る。
同じシングルマザーでも、一枚岩になれないところがリアルだった。年代も他のことでも違う立場でもできる範囲でサポートするひともいれば、同じシングルマザー、家なしの立場でも攻撃に回るひともいる。
人間のすることって、駄目なことだらけだけど、その中に、ポッと捨てたもんじゃないところがある。
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今回も,読むだけでロンドンに降り立った気分になる程,抜群にイキイキしてて,抜群にカッコよくて爽快で,そして,優しくて,ちょっぴりカッコつけてて不器用で…
そして何より,地べた這いつくばるほど現実的.
こんなの,ブレイディみかこその人以外に書けない!
「地べたからの階級闘争」は日本にも,いつかこの波はやってくると,信じている!
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いかに自分に正直に生きるかがテーマかな
能力はあるのに日本のシステムの中に
埋没して生きる女性
シングルマザーで住みかを追い出されようになった
イギリス女性が行政にもの申し
それは多くの人を巻き込んでついには裁判にも
勝利し住みかを得る
待遇はいろいろだったけど
住みかは個人の尊厳といい
運動を小さくなってもやり抜いていく
そんな行動力のある女性達の物語
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アナーキーとは何か。
特別な人たちが行なっている?
暴力的な行為?
この作品では、そうではないことが描かれている。
リアルな現場を舞台にしたフィクションで、
ノンフィクションを読むより、イメージしやすく、読みやすかった。
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事実をベースに創作されたフィクション。みなさんの書評を読んでいると、小説ではなくノンフィクション(またはエッセイ)で良かったのでは、と書いている方が居たけれど、日本語の読者に、生活は政治に直結しているのだ、と「より分かりやすく」したかったためかなと思いました。それと、事実や数字だけが記録に残っていくけれども、そもそもその行動を起こした人たちの生活や、苦しみとやりがい、運動が大きくなっていき力を持つにつれて始めた当初の思いとは別の勢いに押し流されそうになる葛藤などを生々しく描くには小説という形式が良かったのかもしれません。大変読み応えがありました。作中に出てきたアナーキズムの解説に目から鱗。「無政府主義」という訳語では表しきれない、もっと広い、おおもとの考え方(生き方)なのだと分かりました。地方で暮らすということもアナーキズムの裾野の端っこの方に引っ掛かっているのだな、と思ったりしました。面白かったです。
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ケン・ローチ監督にそのまま映画化されそうな、英国社会の「底辺」に生きる人たちの現実を鮮やかに描いた快作。
小説だか、「ぼくはイエローで…」などのエッセイと同じ文体で、生活に根ざしたリアリティを強く感じさせる。
結末はちょっと出来すぎのような気もするが、爽やかな読了感はなかなか心地よい。
印象的なのは、英国社会の共助の精神と文化。
そう簡単には廃れないところがこの国の強さか。