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久しぶりに宮本輝を読んだ。19歳〜23歳くらいまでにどハマりし、その後も断続的に読んでいたが、ここ10年くらいは全く読まなくなってしまっていた。なんとなく、宮本輝の描く世界が幸せ過ぎるというか優し過ぎるように感じて、1人いじけて読まずにいたのです。
だが、夏になると宮本輝を読みたくなる、というような文章を見つけて、久々に読んでみようと新刊を手にした。久々に読む宮本輝の小説はやっぱり宮本輝だった。時間とお金に多少の余裕のある主人公。読書においしいお料理。そして謎を追う。そして毎回素敵な文章がある。
今回のグッときた文章。
威風堂々と生きたいな。焦ったって、怖がったって、逃げだって、悩みが解決するわけじゃないんだからな。こつこつと、ひとつひとつ、焦らず怯えず、難問を解決していく。俺はそういう人間になるために、いまから努力するよ。
なんと素敵な文章だろう。こういうことを主人公や登場人物に語らせる宮本輝、やっぱり好きなんだなぁと思う。
そして、森鴎外の渋江抽斎!全く知らなかったし、読み終えられる自信はないのだけれど、読んでみたいと思いました。
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威風堂々と生きたいな。焦ったって、怖がったって、逃げたって、悩みが解決するわけじゃないんだからな。こつこつと、ひとつひとつ、焦らず怯えず、難問を解決していく。俺はそういう人間になるために、いまから努力するよ(p.336より)
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ナツイチで購入した宮本輝さんの作品です。
派手さは無いものの大切にしたい言葉に溢れて心温まる1冊です。
出てくる人々みんな立派過ぎて現実が悲しくなる程学び多い1冊でした。
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久しぶりの宮本輝
二十年ぐらい前に職場の同僚に錦繍を薦められて読んで良かったと思えて、その後数冊・・・
今回は丸善の平積から手を取り裏表紙のあらすじ読みで即購入!!!
私にとっての灯台との思い出は・・・
去年行った男鹿半島の入道崎灯台 雨が降りそうで風が強い中家族三人で登ったぐらいの思い出しかありません。
一方、中華そば屋の思い出は、昔ながらの中華そば屋、本当に美味しいと思えるそば屋がここ数年で何件も無くなった・・・
いずれの、無くなってしまった中華そば屋は老夫婦が経営しており、体力の限界で店を閉めてしまったのだと思う・・・
いつまでも有ると思っていたものが無くなるのって寂しいですよね・・・
本作の主人公の康平は中華そば屋を営む62歳!
2年前に妻が急死して以来、店は休業!?
多忙な毎日を夫婦で一所懸命に働いて来た康平の唯一の趣味の読書中、本に挟まっていた見覚えのある謎の手紙に導かれて康平は人生初の一人旅で灯台巡りをする事に!!!?
家族と友人、そして友人の縁で巡り会う若者達との出逢いが康平の心の何処かを溶かしていく。
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旅に持参した文庫本を思いのほか早く読み終え、旅の途中で店頭で適当に選び購入、旅のお供として読み始めた。宮本輝は学生時代に大好きで読んでいたが本当に久しぶり。最近の作品はまったく読んでいなかったが、思った以上におもしろかった。また、最近の宮本輝作品も読んでいこうかと思ったりした。
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亡き妻が残した謎をあることをきっかけに解いていくことになった主人公の初老のお父さん。おじいさん?
探偵物ものではないけれど、いろんな人との繋がりから、謎解きに向かうことになる。現実的で淡々と進んでいく様が好ましい。最後まで知りたい気持ちが募るストーリー。
亡き妻への思いが無気力気味だった主人公を突き動かしていく。そしてそれを手伝う友人知人たち。なんかいいなあ。
そして、宮本輝好きだ。
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著者の小説は、何かをきっかけに主人公が旅に出る、そういう作品が多々あるが、本書もまさにそのパターン。
妻を亡くし2年の間中華そばの店を閉店し無気力に過ごしていた牧野康平が、「神の歴史」という本の間に挟まれていた葉書を見つける。その葉書は妻宛てのものだった。
康平はそこに描かれている灯台に魅了され、一念発起し、灯台探しの旅に出る。
差出人に心当たりがないという謎の葉書と、妻が語っていた過去に何か関係があるのではと、康平は差出人を探す。
ミステリー調に話が進む、主人公の再生の物語。
主人公の周りの人びとがそれぞれに良い役割をしている。康平の子どもたち朱美に賢作に雄太、それに親友のトシや亡くなったカンちゃんの息子新之助。
宮本ワールド全開の定番と言っていい作品。
康平の中華そばを作る過程が丁寧に描かれていて、つい食べたくなってしまうのは、小説家の企みか。
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2023、夏フェアでみて気になった作品。
感情移入できず、内容の発展もあまりないため、読むのを止めてしまった。
宮本さんの作品は初めて読んだが、文章自体は読みやすかった。
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いやぁ本当に人のいいラーメン屋の親父さんが出てくるんです。その親父さんが、奥さんの死からラーメンから遠ざかる中で、謎かけにも似た、本に挟まった一枚の葉書に出会って物語が始まります。
自然な流れで、灯台に惹かれ、実際に、その現地に向かい、追い求めていくうちに、それは後々、灯台ゆえの深い意味を持っていることを実感して、奥さんについて知らなかった過去を知ることになります。
より一層、奥さんへの思いを強めて、前向きに変わっていくラーメン屋の親父さんが実に印象的です。
その一つ一つが、優しく、人間臭い作品です。本を読んだ後、まだどこか灯台を観に行かないのかな、と思える不思議なロス感がありました。
そして、本筋とズレてるかも知れないけど、こんなことを思いました。
幾つになっても、大事な人の事ならば、記憶の中では、あらゆる世代のその人の姿が見え続けて、今の年、見た目なんて関係なく、その人に“恋する”事があるんだなと。
人と人との理由なき、結びつきと、実はそれでも深い意味を持って、人を変えていく不思議さを秘めた作品です。
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橋爪功さんとかでスペシャルドラマにしたら面白いかも。
灯台にそれほど興味や魅力を感じることがなかったからか映像が上手く浮かばなかった
これはミステリーと違いほんわりと謎が解けて着地していくところは好きです(但し蘭子が抱えていたものは一人の人間として大きいものです)
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妻に導かれるように生きた軌跡をたどり、彼女の知らなかった一面を知る。妻とこれからも共に生きていくことを心に決めた主人公の再生の物語。
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はじめての宮本輝作品。
葉書の送り主のこと、そして過去の出雲時代のことを隠し通して亡くなった妻。
読み終えると、そんなに墓場まで持っていくことか?と思うんだけど、大袈裟な秘密すぎないところがいいのかな。
葉書の謎がなかったとしても、中華そば屋「まきの」と店主の牧野康平、そして康平の周りの人間たちの味わい深い物語として、十分楽しめた。
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身近な人が亡くなった時、その人の歴史を少し覗いて近くに感じたいという点に共感。
取り巻くキャラクタも素敵だし、初めての一人旅の心情なんかも良い。
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やっぱり宮本輝さんの旅物はとても良い。
そして、どの作品にも言えるが、登場人物も素敵すぎず、悪すぎず。
主人公が、だいたい上品なおじ様なのも良い。
とても良い時間を過ごすことができた。
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謝られている彼はぽかんとしていた。使っていた他人の筆記用具をうっかり胸ポケットに入れてトイレに行くことなんか、よくあることなのに、そんなに謝らなくてもいいよと笑って言った。
だが、ぼくは冷や汗が背中に噴き出しているのを感じた。宿痾(しゅくあ)という言葉が浮かんでいた。
「これが俺の宿痾だ。俺という人間に巣くっている、ちょっとやそっとでは治らない病気だ。蘭子ちゃんが言いたかったのは、このことだったんだ」
とぼくは思い知ったのだ。
確かに、そうかもしれない。
しかし、私には、そこまで・・・・・・・・