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ホテルローヤルの印象で止まっていた桜木紫乃さん。
化けてました!
家族について、親、姉妹、子供、夫婦、
年齢を重ねて様々な問題が噴出してきたり、自分が辿ってきた軌跡が間違っていたのではないか?と突きつけられるような場面があったり。
50歳を過ぎた頃から見える、
この先の自分の人生。
自分が達し得なかった様々なことへの後悔。そして言い訳。
短編で主人公の視点が変わるからこそ
見える本質。
ずっと同じ視点では
偏ってしまう。
結局はひとつの家族の話なんだけど、
登場人物からの切り取り方で違った側面が見えてくる。
自分の中で
もやもやとしていたことが
小説の中で
明文化されていた。
あー!もっと読みたい!
桜木紫乃さん。
小説の技巧も
素晴らしく、
あー、こんな表現うま過ぎる!
と身悶えする言葉がさりげなく出てくる。
参ったな。
そして、読後、少し時間が欲しくなる。
自分の感じた事、今の自分と家族や周りの人のこと、頭の整理をして、感情の整理をして、明日へ繋げていきたくなった。
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家族じまい
家族のイロイロなカタチ
年齢を重ねると
自分自身のことだけではなく
心配ごとは多岐にわたりある
解決策と
感情論は別にして
考えていけたら
何かしら問題の糸口は
みいだせるのかもしれない
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「墓じまい」は理解できるが、「家族じまい」とは⋯?
北海道を舞台にして5人の女性が語り手になり、それぞれの立場から家族に向き合った生き方が綴られている。
5編からなる連作短編集だ。
第一章 智代(サトミと猛夫の長女)
第二章 陽紅(智代の弟、涼介の妻)
第三章 乃理(智代の妹)
第四章 紀和(智代家族とは赤の他人)
第五章 富美子(サトミの姉)
私が最も惹かれた第五章で登場した82歳の富美子は、いまだ元気に一人暮らしを楽しんでいる。
若い頃から中居として旅館に従事し、今はリタイヤしたといえども女将からは一目置かれて信頼を得ている。
娘たちからは「産みっぱなしの放し飼い」と言われる程に、薄情な母親だと受け止められている。
その富美子は、妹のサトミの現状からハタと気づいたことがあり、その後の気持ちの持ち方を自ら整理する。
読了後、『家族じまい』の意味するところは、歳を重ねることはある意味忘れることなのではないかと思い至った。
若い頃から背中に背負い続けてきた家族関係の重しを、ある時点で降ろすことも許されると訴えている気がする。
最終章の富美子の生き方と考え方には素直に同調できない感覚もあるのだが、揺れ動く家族の関係を意識して落とし所を自ら探す潔さ、そんな生き方には憧れを含めて同調できた。
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家族という構成内での自分の立ち位置や役割。
長男だから。
次男だから。
長女だから。
次女だから。
父だから。
母だから。
祖父だから。
祖母だから。
若いから。
高齢だから。
未婚だから。
既婚だから。
夫だから。
妻だから。
… 。
全ての人が上記のような "何か" にカテゴライズされ、
それぞれが必要とされる役割と向き合う。
「○○だからこうであるべき」という役割を果たす事が人としての "正" と考える人もいれば、
その役割に疑問を持つ人もいる。
その考え方の分岐は、この世に生を受けてから現在に至るまで家族とどう生活してきたかに寄って大きく変わる。
本作は、高齢となり認知症を患った母をきっかけとして、周囲の人々がそれぞれの「役割」と向き合い、その心情を細かに描いている。
誰しもに当てはまる話でありながら、正解/不正解がない難しい問題。
自分事として向き合い改めて考えたいと思わせてくれた一冊だった。
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親の老化を通して、それを支える家族の葛藤が描かれた作品。
結婚をして子供を産み夢中で子育てをして、その子供が親の手を離れたあたりで空の巣症候群なるものがあらわれ、ふと立ち止まる。
そうして自分がいつの間にか中年と言われる年になっている事に改めて気付かされる。
そして子育てに代わる何かをなんて考えているのはまだ良い方で、すぐに親の介護問題に頭を悩ますことになる。
親を持つ身なら避けては通れない問題。
物語を読みながらもつい自分の親のことを思い出して重ね合わせてしまった。
そうして今度は自分が親として子供に心配をかける立場になってしまうんだなとしみじみ思ってしまった。
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読み進めていくうちに、自分にもこんな時がくるんだろうなぁと親の介護だったり、介護される側になったり、家族が認知症になったり。
自分は家族愛がすごく強いからそんな事になったら耐えられるかなぁと思いながら読んだり、自分だったら姉妹で協力しながらやるだろうなぁと思ったり、んー大丈夫かなぁと思ったり、ページをめくる度に色んな感情にさせられた。とにかくこの小説に出てくる人たちは一言で言うと潔が良い。自分の考え方や育ち方とは違うけど、全然理解できないわけでもなく、そういう人生もあるよね。って納得してしまう感じ。いろんな考え方や人生があるなぁと改めて。桜木さん初でした。もっと読んでみたいな。
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怖くて息苦しくなるくらい切なかったけど一気に読んでしまいました。家族しかわからない家族の歴史、家族で何とかするしかない家族の問題。よく普通の家庭などと言いますが、家族はどこの家族も閉鎖的で特殊で普通ではありません。そこがいやで出ていったつもりでも、やがて戻ってしまう。疎ましく、愛おしく、逃れ難い場所。登場人物それぞれに自分を見たような気がしました。
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どの人物にも少しの共感を感じ又少しの嫌悪感も感じた。それは自分自身に投影してるからなのかな。来た道行く道、どれが正解なんてない。感情はその人だけのものであり環境も千差万別
人間最後は忘れてしまうこともとても大事なんじゃないかって痛感した
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桜木紫乃さん の作品は初(はじめまして)
タイトルの 家族じまい に惹かれました。
家族がいて、親も自分も年老いて行く。
物語では、両親健在で母親が認知症になってしまう。
介護を父親がしているが、手を挙げてしまうことも。
1人では、やっばり介護は出来ないんだろうなと思う。
色んな登場人物に自身の身に置き換えて見た人も沢山いるのではないでしょうか。
紀和さんの章 船旅してみたいな。
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読んでも読んでも物語に入り込むことが出来ませんでした。
私個人の問題ですが、どうやら合わなかったようです。
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やり残したことはたくさんあるのに、やり直しのきかないところに来てしまったと気づく。このまま起伏なく働く日々が続くことも、その後のことも想像できてしまう。
みな、自分が選んだ自分を生きている。
あちらこちらに散らばるようにしてそれぞれの事情が転がり、その事情に足を取られながら歩いている。
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作者の状況に近いシチュエーションの話もあるからなのか、すごくリアルさを感じた。
作中で認知症についてこう書かれた部分がある。
"忘れてよいものは、老いと病いの力を借りてちゃんと肩から落ちてゆくようになっているのかもしれない。同時に、それを自力で出来ない弱さが人の可愛さであるように思えてくるのだった。"
確かに忘れたいのに忘れられないものもあるし、そう考えたら忘れていくことも救いと言える部分もあるのかなとも考えさせられた。
みんな程よく薄情な部分が描かれているように思えた部分も個人的には好きなところだった。
例えば
"人間関係は勝ち負けで自分の気持ちを落ち着けるしか術がないのだ"
これまた納得してしまったフレーズ。思い当たる節がたくさん。
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家族という繋がりを無くしても良いんだという感覚と、今ある家族との繋がりを大切にしたいという気持ちが一斉にやってきた。
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桜木紫乃さんの恐ろしさは、その土地の空気感を文章に落とし込む所だ。長女は江別、次女は函館、実家は釧路。その土地ならではの人柄や風習・慣習は確実にある。それを言葉にするのは難しい。中にいれば気が付けない。外からの目線なのに、ナチュラル。親の老後と子供の巣立ちと、おそらく更年期だって入ってくる年頃で、そういった穏やかとは言い難い日々を過剰にドラマチックに仕立てるでなく、どこの家にもおきていそうな温度で描く。他人事ではない切実さがある。墓じまいのように家族がしまえたら…そんなことを思う。
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読み終わった後心がヒリヒリして、意味もなく夜中の川沿いを歩いてしまった。
でもつらいだけではなくて心も温まるような本だった。