紙の本
家族を畳み込む
2023/08/06 08:41
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
里芋の子芋のように、いくつもの家族が連なっている、そんな感覚を抱きながら読み終える。20歳代から80歳代の5人の女性の視点で、認知症が進行していく母の介護を父がどのように対処するのかを、二人の娘を軸に物語が広がる。親の終活、老々介護など、老いることの切なさが、自らも感じている事柄に、波立つ。家族を仕舞うということを考えるきっかけになるのかもしれない。家族を終える、止める、縁を切るというのではなくて、衣服を畳み込むように、広がりを失くし、しまい込むような感覚。一文一文にはっとすることがある見事な文芸だった。
紙の本
結局はみんな1人
2023/06/21 17:36
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投稿者:ママさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
家族なんて、こんなものですよね。
自身も多分家族とは親も今の家庭の家族とも濃い縁は感じません。
強いていうなら父と次男が家族といえるのかな、という感じです。
生まれて来るのも死ぬのも1人なのですから。
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墓じまいならぬ家族じまい。
家族の形について考えることがあり
タイトル買いしてしまった小説。
自分の身にいつ起きてもおかしくないリアルさがあった。
299ページ(文庫)
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罪悪感なく家族を捨てられる、という日常で吐くことのできないリアルな感情が綴られていた。帯で村山由佳さんが「どうやったらこんな一行が書けるんだろう」とあったが、本当にそう感じさせる表現力で何度も目に留まる文章があった。自分の家族が置かれている状況次第で、何度読んでも受け止め方が変わりそうな物語。結論は出ていなくても物語が少しずつ時系列も進んでいるのがわかる。
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認知症になった母をきっかけに、娘と父、姉と妹が隠していた本音を少しずつ表に出していく。
親と軋轢があって距離を取る姉、親の様子を常に気にかけている妹、いろんな人の視点から家族が見えてくるようなお話。
ラストは唐突に終わったなーという印象。
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桜木さんならではの安定の暗さと救われない感じを堪能できました。
各章の主人公のその後が、あとの章で、少しずつ分かるのもリアルでした。
遠くない未来、私も考えなくてはいけない事として勉強にもなりました。
また桜木さん作品を読みたくなりました。
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タイトルにひかれて読んでみた。
自分自身の家族との関わりや、この先の人生を意識させられる内容だった。一気に読まずにはいられなかった。
登場人物に共感したり、切なくなったりと、様々な感情があった。
私の家族とのストーリーはどのようなものにできるのだろう。死ぬまでどのように生きていけるのかを強く考える機会となった。
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なにかと大袈裟にまどろこしい表現をする作家だなあと思いながら読み進めましたが、還暦を迎える時期にこの本と出会えてよかった。
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ストーリーは良くできて面白かったです。明るい話ではないけど。
桜木さんの作品では、前回読んだ「ふたりぐらし」の方が私は好きです。
確かに表現が凝ってるですが、それが私にはさりげない、とは感じられなかったです。
もっとさりげない方が良いかも。
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小説読んだのいつぶりだろう。
なんかもう現実的な悩みで日々頭がいっぱいなので小説って手に取ろうと思えなかったんだけど、この本はなんか気になって買ったんだった。
まだ人生折り返してはないと思ってるんだけど、子供のいる人生とそうでない人生、結婚してる人生とそうでない人生、親と良好な関係を晩年まで気づける人生とそうでない人生とで人生見える景色って違いすぎるんだが。
それを言っちゃあそもそも分類などできるもんでもなくて、
人は1000人いれば1000通りの人生がある。
一般論とかに頼ったって意味ないしむなしさに襲われるだけなんだけど、自分の道に悩む時、やはり他を見る。
他者と共鳴しあえる瞬間ってのが人生にあって、それが私には実際の人間関係にも小説にもある。
そこがやっぱり人生の面白さであり小説やめられないところ。
こちらの作家さんの作品読むの初めてなんだけど、久々に小説読んでて私に高揚感をくれてありがとう。他のも読んでみます。
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家族とは、夫婦とはどうあるべきか。
色々考えさせられました。
家族だからこそ、ちょっとしたボタンの掛け違いをしないようにしないと、と思いました。
自分なりの落とし所を見つけようと思います。
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最近読んだ中ではちょっと読むのに時間かかった本。
まるでノンフィクションのような、小説的な話の終わりがないし、救いもバッドエンドもない。本当に存在する北海道のそれぞれのある家族の日常を切り取ってそのまま文字に起こした感じ。
家族が認知症になったら結構しんどいよね。家族だからでやっていける話でもないだろう。手を出すなんて最低だけど、手を出したくなる気持ちがわかるからやるせない。
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老いてもそれぞれの人が持つ性質、内面って変わらないのだろうなぁ、と感じました。
生まれもった性質に育つ環境で、性格がつくられるのかと思うけど、親子でも夫婦でも結局は完全には分かりあえないし、分からなくなる時がある。
家族じまいは難しい!
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家族って難しい。
親子、夫婦、兄弟姉妹…
近いからこそわかってほしいと期待する分、所詮家族でも別の人間。
年齢を重ねると、親も完璧じゃないんだと感じることが出来る気がする。
桜木紫乃さん、ふたりぐらしという作品がとても好きだったけど
この作品はなんとなく読んでて楽しい気持ちにはなれなかったなぁ。
それが妙にリアルな気もした。
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そんなご無体な~、って言いたくなる、家族のリアルを描いた連作短編。ある家族を、いろんな血縁・姻戚関係の人たちから描いている。一人だけ旅で行き合わせただけの他人目線からも。親が老いて、ちょっと痴呆も始まって、娘たちが世話をしなきゃいけなくなる。娘たちにもいろいろな事情がある。長女は親とは縁を切りたいくらい。次女は姉を見返す?気持ちもあって、親の面倒を見ようと心を決めるが、うまくはいかない。それぞれの夫の実家にも、いろんな事情がある。痴呆が始まった老母の妹の家族も、バラバラになって、娘からは「縁を切る!」と宣言される。
みんないつかは老いるということと、家族に支えられて見守られて老いたいと思うのか、子どもたちに迷惑をかけず、一人で最期を迎えようと思うのか、老いていくとき家族(配偶者)がいることはありがたいことなのか、面倒なことなのか、というような話です。
それにしても、もうちょっと救いがあってもいいのにな、親子なんてこんなものですか?と悲しくなるような展開でした。中心となっている老夫婦の絆は強いけど、強いがゆえの辛さもあるし。結局は最期は一人、ということなんだろうか。娘たちの夫婦も、夫とは理解し合えないようだし。
文庫の帯にも、解説にも、桜木紫乃さんの文章表現が素晴らしいと書いてあったけど、私はちょっとくどすぎて、読みづらいなと思いました。心理描写が細かすぎて、ちょっとわざとらしいような気がしてしまいました。読みなれてないからかな。