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辺境作家 高野秀行氏推薦!笑
「イギリスに関心のない私が貪るように読了。今年読んだベスト本の候補」これは読むっきゃない。(単純…)
2020年1月31日に英国はEUを離脱した。いわゆるブレグジット(“British”と”Exit”を合わせた造語で「英国のEU離脱」を指す)である。
本書はブレグジット以前・以後に専門家や街の人々にインタビューを取り、そこから浮かび上がってくる民意を政界の動きと並行してまとめている。
本書を読む前に『地図でスッと頭に入るイギリス』を予習本として利用したが、今回は役に立ったと思う。(特に本書でも大きく取り沙汰されていた北アイルランドとの関係性とか)
「善くも悪くも誠に民主主義とは『数の力』である」
本書で一番呼び起こされたのは、何だかんだで政治への関心の持ち方だったかもしれない。
EU離脱のニュースを受けた時、正直そこまで驚かなかった。英国は元々他の欧州とは一線を画している感じで、通貨もポンドのままだったし。それでもブレグジットの話題が国内で持ち上がった際は、「離脱派」と「残留派」で国中が内輪揉め状態だった。
自分達の生活から自国の在り方に至るまで、ブレグジット問題を真剣に見据える国民達。本題とは直接関係ないかもしれないが「自分ごとのように国の方針を注視していくことが、本来国民としてあるべき姿なんだ」と痛感した。
ブレグジットの根幹にある考え方については、「ナショナリズム」(民族主義)が潜在していると著者は睨んでいる。
英国民の間で「ナショナリズム」の感情が膨れ上がった結果、その矛先が英国内で増えていた中・東欧系の移民に向かい(「このままだと国の個性が変わってしまう」)、やがてそれがEU離脱への道を示すこととなる。
移民問題が離脱と絡んでいたり、そのおまけで「欧州を超えたネットワークがあるから離脱してもやっていける」という矜持があったのも初耳。他にEU加盟国の漁船が近海に入ってきたり多額の負担金をEUに支払うせいで医療サービスが困窮したりと、知らなかった不満もわんさか出ている。
やはりこの辺は、聞き取り調査ならではの賜物だろうか。
北アイルランドは北アイルランドで問題を抱えている。
英・北アイルランドのEU加盟時には、両国間にあった境界を取り除き北アイルランド住民は自分達を英・北アイルランド・あるいは両国民だと実感するようになったという。だがEUの関与が完全になくなるや再び境界が発生し、北アイルランドは引き続きEUの関税ルールが適用される「特区」のような扱いになってしまった。
「英国に見捨てられた」と疎外感を抱く住民。ここでも彼らの中にうごめくのは「ナショナリズム」だった。
「ナショナリズム」が政治を動かす時代に入っている。
高野氏のような「貪るよう」な速さでなくても、その認識が徐々に根を下ろしていくのが直に伝わってきた。
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コロナ禍の直前、突然に思えた英国のEUからの離脱。
イギリスという国に対する印象って分かってるようで全然分かってないよなーと思ってた。
エリザベス女王のイメージが強すぎるのと、私が無知すぎて、議会を重んじてきた歴史や第二次世界大戦で負けなかったこともほとんどの人がよく分かってなかったし。
でもこれを読んで、議会制に関しては日本と比べてちょっとうらやましいなって思うところも。
民主主義には議会が基本、そこは本当に知れてよかった。でもめっちゃ大変そうやなー。
そして一番苦汁を飲まされてるように思う北アイルランドの人たちが、いちばん柔軟な考え方に見えた。
これから英国どうなるんやろ
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ブレグジットすることは決まったが、どうEU離脱するか?本当に離脱でするの?
スコットランドは?独立してEUに残る!とか、ウェールズは?北アイルランドは?アイルランドとの国境は?
新聞記者が現地で取材したさまざまな人の言葉が事実を知ることができる良書。
普段聞きなれない単語が並ぶが、丁寧に解説されている。
それでも半分くらいしか理解できていないだろうが(笑)