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戦時中の生きづらさ、食糧難、招集され出征した人、残された人。その日を生きていくことの大変さ。
そんな中で子供の教育に苦悩する悌子。そして、悌子を取り巻く人間味溢れる登場人物たち。
それぞれが個性豊かで、苦悩しながらも真っ直ぐに正直に生きる大人たちと、世情や集団生活の中で必死に自分を見つけていく子供たち。
とにかく一生懸命に生きる姿に、ほろっときたり、クスッと笑えたり。
食べ物、物資が足りない、何も無かった戦時中。豊かになり過ぎた今の時代よりも豊かだったものがある様に思えた。
そして、日本が戦争をしない国になってくれたことの意味を考えさせられた。
そう言う意味でとても深い本だと思う。
木内さんの本は初めてだったので、他の本や、この本の参考文献なども読んでみたい。
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500ページ以上の超長編読了。
面白かった。
登場人物が誰も彼も魅力的。悌子、権蔵、清太の一家を軸に周りの登場人物誰もがそれぞれの言葉を持っていて、時々の言葉に、なるほど、と納得させられる。
戦中から戦後にかけての混乱期が背景にあって、時代に翻弄されながらも逞しく生き抜きて行く悌子一家。
灰色に塗りつぶされた日々でも前向きで、時々直感で行動してしまう悌子にはクスっと笑わされる場面もある。
そんな悌子とは真逆の権蔵、悌子のその場しのぎの嘘から出発した夫婦だけど清太を迎えたことにより、いい夫婦になっていく。
家族とは?、子どもを育てるとは?、夫婦とは?そして戦争とは?いっぱいテーマが詰まっていたけど、一つの家族の中に上手く盛り込まれていて面白かった。
久々の長編だったけどまだまだ先が読みたいと思いながら最後のページを閉じた。
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一本の映画を観ている感覚だった。読んでいて映像が何度も浮かんできた。
木内さんの作品は主役はもちろん、脇役も味のあって魅力的な人物が多くて、読んでいて飽きがこないから好き。ボリュームのある作品だったけれど夢中になれた。
戦前・戦中・戦後。目まぐるしく変化する時代に翻弄される家族の物語。
肩を壊したことがきっかけで国民学校の代用教員となった、元槍投げ選手の悌子。一本筋の通った子供思いの先生で、こんな素晴らしい先生に出会えた子供たちは幸せだ。こんな理不尽な時代でなければ学校生活ももっと楽しめただろうに。
「楽しいもなにも、生まれてきたんだから生きるんだよ。それが生命ってもんだよ」
「ごちゃごちゃ考えてねぇで、どんどん生きりゃいいんだよ。七面倒くせぇ」
とにかく生きることに必死。けれどユーモアも忘れない。久々に笑って泣けた物語だった。
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戦中戦後の辛く切ない話かと思っていたら、
かたばみの花言葉通りの、母心、親父心、姑心、いろんな人たちの思いやり溢れた小説でした。
野球好きにとってもたまらない話でした。
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これは良かった。
ミステリーが好きなので、こういう日常生活の延長みたいな話はつまらないだろうと決めつけなくて良かった。
ブクログで見つけなければ、絶対に読まんであろう作品。
朝ドラは見ませんが、こんな感じなのかなぁと。
あらすじは読まずに何も知らずに読んだ方が面白いかな。
とにかく出てくる人達がいい。
悌子と権蔵が最高にいい。
何回か面白くて吹き出しちゃいました。
そしてホロリとします。
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こういうお話、すごく好き。
戦争の頃の話でもあるから、もちろん辛い部分や涙するところもあるけれど、くすっと笑えるところも沢山あるし、何より登場人物が1人除けばみんな良い。
このお父さん、お母さん、息子だからこそのあったかい家族のお話だった。
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それぞれが個性的で人にやさしく、どこかユーモラスに支え合っている家族と周囲の人たち。とても温かく前向きな気持ちになれた。
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めっちゃ良い!厚いから読んでも読んでも終わらなかったけど、最後らへんは泣いたわー。権蔵さん、矢部太郎風を想像したけど背は高かったみたいだね。個人的に茂生が良いね。読んで良かった。
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読み終わった後、青空を見上げたくなるような清々しい話でした。
戦中戦後から高度成長期の生活を、悌子と権蔵たち家族の目線を通し当時の社会状況と心理面もまじえて丁寧に描写されています。
その時代を知らない私にも情景を容易に思い浮かべることができるほどリアルです。
かなり綿密に取材と文献の読み込みをして書かれたのだと作者の本気が見て取れて感動します。
家族っていいなって、そんな素敵なあたたかい気持ちを思い出させてくれるホームドラマ指折りの一冊となりました。
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木内昇さんの力作、そして556頁の大作「かたばみ」(2023.8)、読み応えがあり、存分に堪能しました。槍投げが得意だった5尺7寸、20貫の大きな女性、山岡悌子25歳の昭和18年から33年までの15年間を描いた作品。代用教員として当時の世相に巻き込まれながらも自分の信念で生き抜く。常に、正しい教育とは何かを問いつつ。思い人、神代清一は同級生の女性雪代と結婚したが、清一は戦死。夫中津川権蔵と清一の息子清太を養子として育てることに。「かたばみ」はハート形の葉っぱ。花言葉は、母の優しさ、輝く心。
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太平洋戦争直前、岐阜から上京し、日本女子体育専門学校でやり投げ選手として活躍していた悌子だが肩を壊し引退。
国民学校の代用教員となった。
同郷の幼なじみで、早稲田大学野球部のエース、清一と結婚するつもりでいたが一方的な恋は叶わず、正式な教員となり、小金井の下宿先の家族に見守られ過ごしていたが、偶然か必然か、結婚とほぼ同時に血のつながらない子供を引き取ることになり、新しい家族として歩み始める。
その背景には、戦後の混乱と高度成長期の中で、まだまだ立場の弱い女性の生きにくさがあり、やはり戦争という爪痕がいつまでも残るのである。
いや~久しぶりに小説を読んで泣きました。
家族という在り方がその当時とは大きく変わってしまった現代ですが、私の年代ではまだまだよく理解できますし、心に染み入るものがあります。
両親がいて、お祖母ちゃんがいて、叔父さんがいて、悌子のような下宿人がいたり、時には行き場のない生徒が寝起きしていたり、そんな中で子供たちは、いろんな大人に囲まれていろんなことをいつの間にか身につけ大きくなっていくというそんな時代が確かにありました。
また登場人物がどの人も良く描写されていて、頭の中ですぐに映像化されて、読んでいるんだけどドラマを見ている気分でした。
〈かたばみ〉
クローバーのような葉を持ち非常に繁殖力が強く「家が絶えない」に通じることから、江戸時代には家紋にも用いられた。
花言葉は「母のやさしさ」「輝く心」とあります。
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じわっと涙が溢れ、クスクスと可笑しさが込み上げ、なんだか心の栄養になるような物語だった。カバーのそでにはかたばみについての簡単な説明や花言葉が掲載されている。読み終えてから改めて見ると、なんとも素敵なタイトルだと沁みてくる。
主な舞台は戦中から戦後。その日の食卓や一日の暮らしが詳細に描かれる場面も多く、当時の環境や空気がありありと目に浮かぶようだ。戦中は、空襲での被害や常に脅かされる日常の心情が。戦後は、大きな変化と長らく戸惑うことになる日常の心情が。家族として暮らすことを通してまっすぐに伝わってくる。理不尽で辛いことが多いが、社会の変化に対しても人に対してもしっかりと向き合って生きている姿にジンとくる。
「終戦から七年も経つと、被害に遭わなかった者は簡単にこれを過去にできる。だが一方で、大きな傷を負った者は生涯戦争を背負っていくことになる。」文中にこのようなくだりがあるのだが、直接的な被害も間接的な被害も想起される。皆がそれぞれに何かしら抱えて、葛藤したり衝突したりしながら前向きに生きていく姿がとても印象的だ。どの人物も人間味があって魅力的で、家族であってもなくても人と人の繋がりにとても心温まる。
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戦中戦後、ひとりの女性を軸に、夫婦関係、親子関係を通じ、家族の在り方を描いた物語。
主人公は、岐阜から上京してきた山岡悌子。恵まれた体躯の持ち主で、日本代表を狙えるかもという槍投げの選手だが、肩を壊し引退、教員として戦中戦後を送る。やがて、下宿先の家主の兄である権蔵と所帯を持つが、戦死した幼馴染みの遺児・清太を引取ることになる。
学校での教育方針のみならず、戦後、考え方や価値観等あらゆるものが更新され、変化していく中で、変わらぬ家族の在り方を模索するような作品となっている。
木内昇は、近年、よく読む作家さんだ。どの作品も読み応えがあり、本作も500頁を超す鈍器本に近い文量に圧倒される。
最初に読んだ著者作品は『光炎の人』。大正昭和と富国強兵、軍拡を続ける中で翻弄される一人の技術者の人生を描いたもの。『万波を翔る』も、明治維新前後の時代の変革期に、幕僚としての使命を全うせんと奮闘する実在の人物をモデルに描いた。
それらと較べると、時代背景は厳しい戦中戦後のお話ではあるが、武蔵野の地に住む、穏やかな家庭環境の中の、いち家族の成り立ちと変遷を描いた本作は、ややもすると、生温い朝ドラを見ているかのような気にさせられた序盤。
が、そこは、さすが木内昇。終盤にかけては怒涛の展開、家族の危機、そして大団円を見事に描き切った。
途中から、血のつながらない母子であること、その子が、初恋の相手の遺児であり、類まれない才能を有した故郷の英雄の血を引き、長ずるにつれ、その片鱗を見せることで、本人はもちろん、家族の中にも違和感が生じ、やがてこれが火種になるものと、当然、予想され、その通りにコトは進む。
でも、どこか安心して見ていられるのは、主人公悌子および、夫権蔵、そして子の清太の、誰もが素晴らしい人間性を持っているから。そのことを、多くの紙面を割いて、そこまでの前段で丁寧に描いていたからこそ、悌子ら家族の周囲の人も含めた戦後日本国民全員の物語となっている。
下宿の家主朝子、復員してくる夫茂樹、その母ケイ婆さん、権蔵と朝子の母富枝、みんな、いい。皮肉屋でひがみ節のケイ婆さんですら、「挫折」しかけた家族の窮地を救う貴重な助言を清太に与えるという周到さ。アッパレだ。
長期にわたる新聞連載だった本作。書き始めたころは(2021/8)、今の世界情勢ほどキナ臭くなっていなかったろうし、情報統制が懸念されるでもなかったはずだが、先の大戦前後の、日本の空気を背景に、現代人の我々にも響くメッセージも折に触れ織り込んである。
「苦手なことを苦手と言うのは、勇気がいります。あなたはそれを事も無げに為した。むしろ立派な発言だったと私は思います」
「おかしいな、と自分で感じたものからは、いくらだって逃げていいんです」
大勢に流されることなく、勇気をもって異を唱えろということだ。
あるいは、男女同権が叫ばれて久しく、もはや片意地張って頑張る男も、もう肩の荷を下ろしていいよとも訴える。
「君のさ、『泣き言読本』だっけ、日々の憂さを独白するあのスタイル、案外受けると思うよ。これまで、男は強くあれ、国のために命を差し出せ、って唱えられてきたからね。改めて口にすると馬鹿らしい理念だけど」
ひ弱な権蔵は、戦前戦中、まわりから馬鹿にされるが、戦後ラジオ放送の番組制作で頭角を現す。
フィンランド映画『サウナのあるところ』を思い出す。サウナの中で裸の付き合いを通じ、男が本音、弱音を吐露する意外な内容のドキュメント作品だが、原題の意味するところの、「今度は男の順番ですよ」というのは、もう男だけが頑張ってる時代じゃない、男も「泣き言」を言っていいはず、というものだった。それに通じる、権蔵にまつわるエピソードだ。
戦後、変わりゆく世相を例に、そんな今の世にも通用するメッセージを送ってくるのも著者の巧いところだ。
戦後の放送界や、芸能の世界は、おそらく『笑い三年、泣き三月』あたりでの取材や執筆準備などで蓄えた知見、アイディアも活かされてのことだろう。
さぁ、最後は大団円だ。家族関係、人間関係、登場人物のヒトトナリを見ていれば、家族崩壊、一家離散の哀しい結末を迎えるわけがない。どのようにオトシマエをつけていくかだけを楽しみに、残りの100頁は読み進められるはず。
そして、「男女(おとこおんな)」と呼ばれ、多大なコンプレックスを抱えてここまで生きてきた悌子の見せ場もちゃんとある。槍投げの優等生だった悌子。戦中の竹槍教練の場で、軍人の指導教官を前に、槍の使い方はそうじゃないと、大きな放物線を描くべく、「んぬぅやぁっ!」と奇声一発、竹槍を遠投してみせる(もちろん、大目玉だ)。この前フリが、いい感じで活きてくる。
涙なくして読めない大きな大きな家族愛の物語。最後にまた、この大音声を、読者は聞くことができる。
お楽しみに!
タイトルの「かたばみ」は、カタバミ科の多年草のこと。花言葉は、「母の優しさ」だ。
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「かたばみ」って読むまで何かわからなかったけど、雑草の一種で花言葉が「母の優しさ」「輝く心」だそう。この物語にぴったり。戦中から戦後を描いた物語で、生きてきた中で戦争のことは学ぶけど、戦中の人の心の深いところを学べる物語だった。本当にこんな世の中があったんだなぁと今の生活ぶりでは想像のできない事ばかり。長編だったけどあっという間に読了。
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新聞連載で感動した話。
ごく最初の部分を読んでなかったので、単行本化されたのを再読し、感動再び。
戦争、家族、働く女性…
どれも重要なテーマであり、考えさせられることも多いですが、重過ぎずユーモアもあります。
何度も読み返したい本です。