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ブクログのおかげでこの作品を手にすることができました。この本かなり分厚くって、その内容にいちいち感動したり、泣いたり笑ったり、憤ったりしながら読んだので、必然的にゆっくり読むことになりましたけど、読めてよかったなぁ…と思います。
戦中、戦後の日本で、元槍投げ選手で教師の悌子とラジオ作家の権蔵の夫婦が、悌子が想いを寄せていた清一の忘れ形見でもある清太を実子として育てる…お話です。まとめてしまえば一文でまとまっちゃう内容ですが、そのひとつひとつに、心を動かされるドラマがあるんですよね!!
戦中戦後の混乱の社会…教育方針も様変わりするし、家族の在り方も女性は結婚して夫と子を守ることが当然であるとされていた中、理解のある家族もあって教職を続けていた悌子はある意味サバイバーですよね!!戦争は戦死者も負傷者も多数出したけれど、兵役を免れた者に対しての偏見とか、戦後いつになっても満足な食料が手に入らなずに皆が栄養失調であったこと等々…。そんな中で血のつながりはなくとも、清太に一生懸命の愛情を注いだ権蔵と悌子の家族は、清太の出自なんて問題にならないほどの大きな絆で結ばれた、本当の家族の姿だと感じました。何気なく見ていた、“かたばみ”が愛おしくなりました。
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ブク友さんたちの評判良さそうなので予約したらすぐに順番回ってきて手にとってみたらびっくりするほどの厚みでした。図書館で見つけてたらまず敬遠してたと思います。
でもソフトカーバーの本だったので、広げやすくって手になじむ感じでくつろいで読むことができました。
ハードカーバーだとかしこまった姿勢で読まないといけない気がするのでソフトのが好みなんですよね。
まず主人公の悌子(ていこ)なんですけど、一番最初にルビがついてただけであとずーとルビなしだったので読みがわからなくなってしばらく「はしご」って読んでました。
身長が高くって、やり投げの選手してた印象からのイメージで脳内変換され「りっしんべん」が「きへん」に見えてきて、変わった名前だなあって思って読んでたんですよね。
悌子は体が大きいわりに気が弱く、でもいざとなると後先考えずに感情に任せて行動することもあって、それがドラマを生んでいるんです。なんといっても主人公ですから。
悌子って幼馴染の清一にずーと思いを寄せていて東京まで追かけて進学して教師になったのに、いつかプロポーズされるものと待っていたのに悌子の思い込みだったとは。すでに幼馴染の雪代と祝言をあげていたとかで失恋してしまって・・。
戦時中だからそんなこともあるのかなの展開なんですが、下宿先の権蔵と縁あって夫婦になったのですが後半では、理不尽で辛いこともたくさんあるなか、戦死した清一の子を引取って育てるとは、同意した権蔵もすごいって思いました。ひ弱で兵役検査もパスできず厄介者扱いされてただけに、お役に立ちたいって思ってたのかな。
梯子を上るように一段一段、家族の歩みを確かなものにしてゆく姿が印象的でした。
そして、梯子が必要な時って登りよりも下りなんですよね。
地道に足元固めていかないと上手く着地できない感じですよね。
やっぱり悌子が梯子にみえてたぁ。
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一気に読んでしまいました。
まず、戦争はほんとに起こしてはいけないということ。
そして、そんな極限状態のときに、人は試され、色んな人達に出会い影響を受けて成長できたり、落ちていったりするんだろうなと思った。
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槍投げ選手として挫折し、幼馴染との結婚の夢にも破れ、教師となった女性が主人公。時代に翻弄されながらも、真摯に生きていく主人公と家族を描いた感動の長編。お勧めの一冊。タイトル(かたばみ)は、生命力があり、身近に見られる花の名前から。
前半も良かったですが、清太が登場してからの後半が素晴らしかったです。また、表紙と裏表紙のイラストが気になっていましたが、途中でわかったような気がしました。
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凄い小説を読んでしまった。家族小説を真正面からバシンと描いた最高傑作。木内昇恐るべし。
槍投げでオリンピックを目指していた主人公悌子は自らの限界や戦時下という時勢もあって挫折し国民学校の代用教員となる…。大筋は悌子の戦中戦後の人生を描いていくことになる。
とにかくキャラの立たせ方と結びつき彼らの生き生きとした描写が良い。教え子を空襲でなくしたり、幼馴染の思い人が戦死したりと暗い出来事も多いのだが、必要以上に筆致に悲壮感を加えず、食糧難も姑のいじわるも思春期の反抗も、家族にとっては一大事と平等に描いていく。
それら一大事を家族愛や人間関係で緩やかにほぐしていく描写と、世の中の暗雲が少しずつ晴れていく戦後という時代背景が相まって温かく明るい小説になっている。
余談
NHK朝ドラの雰囲気がバチバチに出ている作風(おそらく意図してたものと思う)だが、人間ドラマを丁寧に描く上でNHKは大きな貢献をしているのではないかと思った。励みのある人間模様を観て「今日も頑張ろう」と思わせる貴重な朝の15分。朝ドラに全く興味のなかった俺だけど、そう考えると良いものなんだなぁということは理解できた。
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戦中、戦後という時代背景のためか、始めはやや読みにくさを感じたのものの、すぐに惹き込まれて夢中で読み進めた。
戦争の苦しさは経験した人にしかわからないものなのだろうけれど、私達が経験したコロナ禍もまるで戦中の様な息苦しさを伴っていたな…と思う。
爆弾は落ちてこないし、食べ物に困ることはないけれど、大人も子どもも言論や思想の自由を奪われ分断させられていたのは戦争そのものだったと思う。
その中でも悌子や権蔵が悩みながら必死に生き、我が子だけでなく、親戚や教え子の命を守り育てていく姿に心打たれた。
登場人物すべての言葉がなんとも心に染みる…
どんな家族であれ、絆は丁寧に紡ぐことが大切なのだと教えられた気がする。
カタバミの花言葉が「母の優しさ」「輝く心」なのだそうだ。本の内容そのものなのがとても心地よく、いつも傍らで見守ってくれている大好きな野草がますます好きになった。
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戦中から戦後へ、ある家族の物語。命の危険に怯える日々も、平和が戻ってきた日々も、それぞれ悩みはつきないけど生きるっていいなって思えた。
『球道恋々』と重なる場面もあり。
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戦争に翻弄され、辛い事を乗り越えようと頑張る様が読後を温かくしてくれました。現代はこんなに辛い事はないけど、前向きに過ごせたらいいかなと思わせてくれました。
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母の力強さと父の柔軟さと子の真っ直ぐさ
それ故のジレンマと見守る親戚たち
いいキャラばかりでほっこりしつつ涙
ありがちなようでいてなかなかない人生の交錯。