紙の本
歴史から学ぶ
2024/02/08 08:31
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投稿者:かずさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
歴史を勉強するといえば年代を覚え試験に臨んだため嫌いになった中高年層が多いのではないだろうか。事象の背景等を考えず年代だけを覚え忘れていく教育があったことは歴史認識を育む大きな障害になったと思う。最高学府の一つである東大教養課程では歴史をどう教えているかを講義している講義録。各章では事例を取り上げているが単に検討して論じているのではなく、そこから現在生きている人がどう考え学ぶべきかを示している。国・民族・地域がグローバル化している現代。一つの枠に囚われて歴史を考える危険さをも示している。
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現在の歴史学の最前線について、12章にわたり様々な角度、視点から講義形式で論じている。現在、なぜこういった捉え方が出てきているのか、その時代的要請は何なのか、といったいった点について丁寧に叙述がされており、歴史の見方、考え方についてのヒントが満載である。学生時代は社会史の隆盛時期であったことを思い出しながら、各章を興味深く読んだ。
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長期的な視野で物事を見る姿勢を持つこと。これにより、一時的な衝動に駆られて行動したり、短期的な利益に惑わされたりすることを免れる。また目の前にあるあり様を唯一無二のものとは考えず、相対化してみることにより、多角的に物事を見る姿勢を養うことが大事。短いが読み応えのある一冊だった。
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ざっくりと理解していたつもりでいた歴史学を、改めて整理して提示してくれた一冊。
講義形式なので読みやすい。
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歴史学的思考と聞くとやはり小難しいイメージがありますが、読んでみると表現が易しく(かつ優しく)理解しやすいです。全12章で、どの章も興味深く読みました。歴史研究者だけでなくすべての人々にとって、歴史というものを学び、考える基礎となる有益な書物だと思います。
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学生時代が遠のけば遠のくほど授業で学んだことなのか、小説や映画、ドラマなど楽しみを通して知ったことなのかがあやふやになって来ている歴史。遠い昔のことであればあるほど「新発見」があって、学生時代に学んだ真実が今では違う捉え方に変わっていることもあるでしょう。
歴史をどんなふうに捉えるとよいのか、どんな見方があるのかを理路整然と教授してくれる本でした。前書きにもある通り、何度でも必要に応じて、必要と思われる項目の再読のために手元に置いておくとよい本だと思いました。
備忘録として目次を記します。
第I部 過去から/過去を思考する
第1章 歴史に法則性はあるのか - 歴史と変化の理論
第2章 過去の痕跡をどうとらえるのか - 歴史学と史料
第3章 時間をどう把握するのか - 暦と歴史叙述
第II部 地域から思考する
第4章 人々の「まとまり」をとらえなおす - 歴史の中の国歌と地域
第5章 現代社会の成り立ちを考える - グローバリゼーションの歴史的展開
第6章 植民地主義と向き合う - 過ぎ去らない帝国の遺産
第III部 社会・文化から思考する
第7章 世界像を再考する - イスラームの歴史叙述と伝統的世界像
第8章 内なる他者の理解に向けて - 儀礼と表彰、完成の歴史学
第9章 当たり前を問う、普通の人びとを描く - 日常史と民俗学
第IV部 現在から/現在を思考する
第10章 「近代」の知を問いなおす - 歴史学・歴史叙述をめぐる問い
第11章 アナクロニズムはどこまで否定できるのか - 歴史を考えるコトバ
第12章 「私たちの歴史」を超えて - ともに生きる社会のために
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歴史学に関する12回の授業をまとめた1冊。正に歴史学の基本の基がまとまっており、分厚い本ながら12章に分かれているので1章1章読みやすい。歴史学を志向する人はもちろん、歴史学を直接学ばない人でも、この思考法は役に立つなというものが必ずいくつか見つかるはずだ。
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歴史学のテキストであって、歴史のテキストではない
歴史学的なものの見方・考え方をわかりやすく解説する
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歴史学とはとてもおもしろいものだというのを教えてくれた。注意して欲しいのは「歴史」がおもしろいのではなく「歴史学」がおもしろいという点。高校までの授業は所詮、年号の暗記にすぎないが歴史学は他の学問とも連携し協調しながら進歩していったのだ。いろいろな観点で語り口も人(この本は共作である)により違うがそれぞれに学ぶことが多い。
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東大教養学部の歴史学の授業をまとめたもの。「大学で学ぶ、最初で最後のオムニバス講義」とのこと。
「歴史とは、他社理解の営みである(p.219」「歴史学は、個々人の他者理解と物事を多角的にとらえる能力を養い、様々な人びととのつながりを意識させる(p.220)」が個人的にとてもしっくりきました。
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歴史学の成り立ちから、人間が歴史を叙述するという営みの中でどのようなことがテーマとなってきたのか、そして人文学全体に通底する哲学的認識論に至るまでがわかりやすくまとめられている良書。