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マルドリュス版とバートン版は読んでいますが、ガラン版は初めてです。コーランの聖句や常套句、歌、詩などがなく、(淫らな場面はカットされ)、すっきりとストーリーを追えます。シェヘラザードがシャフリヤール王に夜ごと語る物語のひとつ「漁夫の話」では、壺に閉じ込められたジンを救った漁夫はお礼に4色の魚が住む池を知らされる。この魚を王に献上すると、怪異が起こり、王が池を訪ねると下半身を大理石にされた王子に出会う。王子は自らがこのようになった因縁を語り出す、と入れ子のように話が続きます。「千一夜物語」の楽しみは、目眩くようなラビリンスの入れ子に酔うことです。まだ第1巻ですが最後まで味わい尽くしたいと思います。
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古代ペルシアの王シャフリヤールは、王妃の不倫現場を目撃して以来、一夜限りの妻を娶っては殺す、という掟をつくる。宰相の娘シェヘラザードは自ら王の花嫁に志願し、夜明け前にそらんじている物語を聞かせる。話の続きを聞きたくなった王は次の晩まで彼女を生かしておくことにし、物語は次の晩、その次の晩と続いていく。
森見登美彦先生の『熱帯』を読んでから絶対読むぞ!と買ったものの、なかなか手を出せずにいました。ようやく1巻を読了。次から次へと繰り出されるお話の数々が入れ子方式で展開され、今でこそ千一夜の形式とピンとくるけれど、当時ってめちゃくちゃ斬新だったんじゃないだろうか。そもそもこんなに長くストーリー作ること自体もすごいし。魔神の話はディズニーのせいでかなりアラジンのイメージが強いですが、馴染み深いです。装丁がとても素晴らしくて集めたくなる。
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「礼儀上ゆるされない場合をのぞき、忠実に訳してあります。」
原文には必ずしも忠実ではないが読みやすい翻訳のことを「不実の美女」と呼ぶ。嘘つきだけど美しい。素敵(´ω`*) 嘘も方便、言い方がフランスらしい。
最初の枠物語からさっそくでてきた不実の美女。
「礼儀をわきまえる者として、女たちと黒人の男たちとのあいだで何が起こったかは、語らないでおきましょう。それにこのように細かいことを語る必要もありますまい。」
ひとつのまとまった話が終わったら殺されるんじゃないの?って思ったら、次の予告編みたいなのを語る。
やり手だなあ。
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いわゆる「アラビアンナイト」である
誰もが知っているようで意外ときちんと読んだことがある方は少ないのではないだろうか…
(最もそのうちの一人が自分であるが)
~9世紀ごろに原型ができ、原型が作られたイスラム世界でも多様な版が存在
やがてヨーロッパに紹介されていくにつれアラビア語の写本には存在しない話が創作され、数多くのバリエーションが生まれた(ヨーロッパと中東という二つの文明の間を行ったり来たりするうちに変形が進んだ物語)~(Wikipediaより抜粋)とのこと
私たちが子供のころ触れたのはその中の一部の物語(アラジン、シンドバッド、アリババなど)に過ぎないということである
なにしろ数多くのお話が盛りだくさんなのである
こちらは千一夜物語の中の「ガラン版」
アントワーヌ・ガランさんというフランスの方の翻訳本
ガラン版では「礼儀上ゆるされない」ことは訳さないとしている…らしい
というのも、当時貴族などのパトロンに献呈し、国王による正式な許可があってはじめて印刷可能になった
そしておおぜいの前で読み上げることが多かったと推測される
そのため、男女の絡みを描いた部分は数えるほどしかなく、いたって簡潔な描写になっている
元の内容があとがきで一部紹介されているが、なかなかストレートかつ卑猥な内容である(汗)
良い子は読んではいけない
それはともかく、
19世紀に仏語・英語に編訳されたマルドリュス版・バートン版などと異なり、オリエンタリズムに彩られた脚色がなく、より原形に近いシンプルな内容構成
とのこと
比べたわけではないのでわからないが非常に読みやすかった
軽くご紹介すると…
仲の良い2人の王の兄弟がおりました
どちらも愛する妻の不貞に裏切られる
二人とも妻の罪を許さず、殺してしまう
さらに兄であるペルシアの王シャフリヤールは「貞淑な女はいない」と考え、二度とそむかれることのないようにと、一夜限りの妻を迎えては翌朝には彼女を殺すことにした(当初は良い人だったのになぁ…残酷!)
町の人々は驚き、嘆き、悲しみに暮れた
そんな中、美しく、胆力と洞察力にとんだ才如を待ち合わせる宰相の娘シェヘラザードが、立ち上がる!
彼女は王に世にも不思議な話を聴かせ、夜が明けるころになると、「王さまが明日もわたしを生かしてくださるのなら、もっとおもしろいお話をお聞かせできるでしょう」とシェヘラザードはお話を語り続け、王は話を聞くのを毎日楽しみに…そして彼女は生き延びる
お話の中に、またお話が組み込まれており、いちいち面白い
残酷な裏切りや、あっと驚く展開
知恵を凝らした報復、鮮やかな逆転劇…
いくつもいくつも現れる摩訶不思議で美しく面白い物語…
これはやめられない止まらない…
1巻を読んでみて感じた特徴
日本の感覚と違うせいか新鮮
女性が強く結構怖い
意外にも(と言うと問題発言だろうが)女性の不貞が多いことに驚く
なにかあると動物にさせられちゃう…
情けが少なく罪が重い
豪華絢爛な描写に想像力が膨らむ(半端ないっす)
必ずお話にオチがある(スッキリ!)
最後の右目を潰された3人の僧、3人の姉妹のストーリー展開はお見事!
(少々雑なレビューですみません)
当時のアラビア文化に触れるような素敵な感覚に浸れる
昔の物語が素晴らしいのは、現代と違って物や情報がないがため、逆に想像力が豊かであったのだろう
その上中東とヨーロッパを行ったり来たりして、手が加えられたのだから面白くないはずがない…
結局1巻は69夜まで進んでしまった(笑)
ええ?
このまま延々続くの⁉︎
凄いなぁ…
最近は残念ながら読むのをやめられない!という本にはなかなか出会えないのだが、これは結構ヤバい
ワクワクしてしまう
人類の文化遺産ということだけある
王さまと同じように、続きが楽しみである!
これはぜひともすべて読んでみたい
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お、面白い。。語彙力に問題があるかもしれないが、そうとしか言えない。
原型は1000年以上も前に、当時のアラブ世界に伝わっていた伝承の物語をまとめてできたもの。これを300年ほど前のフランス人が翻訳したところ、当時のフランスに始まり世界中で大ヒットして今に至る、ということらしい。
妻の不貞にショックを受けたペルシャ王シャフリヤールが、「もう女なんか信じない」と、毎夜新しい妻を娶り、明くる朝には裏切られる前に殺してしまうという暴挙を繰り返すようになる。これを止めるべく手を挙げたのが、宰相の娘、シェヘラザード。彼女は王と一晩を共にし、夜明け前になると、とてつもなく面白いお話を王に語って聞かせる。続きが気になって仕方がない王は、シェヘラザードを殺すのを翌日まで見送ることにする。これを毎夜繰り返していくというのが、ベースのストーリー。
そのストーリーの中に夜ごと語られるお話の中身があり、そのお話の中でもまた、様々な登場人物がお話を語る。枠物語というそうだが、こうして出来上がった迷宮のような物語の結晶体が千一夜物語だというわけだ。
物語には様々な不思議な物事が登場する。突然現れて、人外の力で理不尽極まりない暴虐を行う邪悪な精霊「ジン」(ジンは何度も出てくる。毎回容貌も性格も、登場する際のエフェクトまで違うので、固有名称ではなく、種族名らしい。)、動物と話したり、人を動物に変える魔法が出てきたり、この辺りはアラビアンナイトのイメージそのままだ。現代でも衰え知らずの人気を保ち続けるファンタジーの世界の想像力が、こんなに昔の人々によって既に培われ、それを今もなお使っているという事実に途方もない気持ちになる。
ただ、この物語が面白いのは超常現象が出てくるからではなく、そうした超常の介在によって人々の生と死、欲望や自制や、残酷さや情けぶかさ、家族への愛、異性への愛、様々なものが凝縮されることにあるようだ。一つ一つの話は数ページから10ページそこそこなのだが、そんな短い尺でもどれも面白くて、寝る前に読み始めると次々読んでしまう。これが人から人へ、年月をかけて磨かれた力なのだろうか。作り手も異なる無数の話の集合なのだから、通底する一つの価値観やメッセージなどは有り得ない。唯一あるとすれば、面白くない話は廃れ、面白い話は残る、そしてより面白くなるように少しずつ添削されていくだろうということだろうか。これを読んでいると、「面白い」ということが、人間にとって何かしらの真理を含んでいる気がする。
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いやいや、サイコーに面白かった!!ほんまこの時代のアラブの勢いすごい。えー?!って感じで人死ぬし(笑)すぐ仲良くなったり裏切ったり、なんか、すごい。元気出る。枠物語ってのもいい。物語の中に物語があるの、大好物です。2巻も読む!