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大正時代の京都を舞台に探偵業を営む鯉城と病弱ゆえに安楽椅子探偵な露木の幼馴染バディミステリー。
各事件解決に残る違和感に気持ち悪さを感じていたら、やはりそれは『解決』ではなく『物語』な罠。
不実なのに渇望が見えて切なかった。
母親とその母を想う従者と自分、という狭い世界に生きていた露木の前に現れた鯉城。
常に死と隣り合わせな彼の世界にはその3人しかおらず、母も死亡。
となれば、露木が鯉城を恋い慕うのは必然なのだ。
鯉城のためだけに生きている露木の歪んだ愛と献身の物語。
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大正の京都。伯爵の血筋でありながら一族に忌み嫌われる露木の病弱な体は、日々蝕まれていた。だが祇園祭の宵山も盛りの頃、露木は鯉城に出逢う。頑強な肉体の彼が、外の世界を教えてくれたから、心が救われた。その時から、露木は鯉城のために謎を解く。それが生きる証…… ある日、鯉城は女から恋人のふりをしてほしいとの依頼を受けるが、恋に取り憑かれた相手の男が月夜に女の家に付け火をし、自らに火をつけて焼死したと聞く。男は猟銃を所持していたが、なぜ苦しい死を選んだ? この事態に悩む鯉城のため、露木はあまりに不可思議な男の死の理由を推理する。 その他「鹿ヶ谷の別荘に響く叫び声の怪」や「西陣の老舗織元で起こる男女の愛憎劇の行方」など、京都に潜む愛と欲の情念はさらに渦巻き、鯉城と露木の二人は意外な結末に直面する。
探偵事務所を営む鯉城と安楽椅子探偵の露木のお話。鯉城が調査した事件の全貌を露木が解いていくというかたちで話が進んでいく。
大正時代の雰囲気とかが文章から伝わってくるかんじだった。この時代の話が好きだから良かった。
今で言うストーカーに遭ってしまった女の子の話は、最初はなんだか「そんなかんじなの?」って思ったが、まさかの4章で明かされた本当の事件の全容と露木が探偵をする本当の意味。まさかだった。露木は外の世界を全て鯉城の教えてもらった。露木の全ては鯉城。
「謎を解かなければ、鯉城は行ってしまう。僕には耐えられない。到底、耐えることなど出来ないのだ」
露木の本音。切ないなぁ。そして、最後の鯉城が行った依頼人への優しい嘘。もう本当になんなの。最後の最後にこんなに切ない話になるの。はぁ、尊い。ただそれだけだ。
2023.10.29 読了
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シリーズ一作目っぽくないというか何作かこのコンビで出てる感があってなんだか面白かった。馴染む。
鯉城が犯人だと疑われる展開が来そうで来なくて意外だった。実際世間的には誰が犯人と見なされたのか書かれてないけど、なかなか後期クイーン問題…と思っていたら…だったのでうれしかった。探偵助手の可能性は無限大…というか探偵探偵か。
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普通の短編かと思ったが探偵の独白から様子が変わる。
その前の短編の解決について探偵自らが他の解釈もあり得るとした上で、相方が好みそうな方を選んだと。
最後の短編ではその相方までもが依頼者が満足するような解釈を披露したと話す。探偵の解釈を正とするミステリのお約束をぶち壊しているが最後はまたしても探偵が解釈を考えるだろうシーンで終わる。
ちょっとモヤモヤして終わったので次作での解釈を期待したい。
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大正時代京都が舞台のバディもの
安楽椅子探偵でしょ?と思って読み進めると……⁉︎
誰のためなのか、何のためなのか考えさせられる作品でした。
舞台となっている大正時代の京都が文章から
伝わってくる美しさ素敵でした。
読み終わった後に帯を見て納得
“ときに熱くときに冷たくきみと謎解くいとしさよ”
この作品が2024年初読みでよかったです
続編希望!!
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作者伊吹亜門のデビュー作【刀と傘】には衝撃を受け伊吹作品を追いかけてきました。
今作『驚愕必至』と書かれていましたが残念ながらそこまでではなく、2度読みたくなるとも書いていましたが確かにそういった仕掛けになってますが読み返す程では無かった。
個人的に【刀と傘】でハードルを上げすぎていたのかも・・・、次作に期待したいです。
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「刀と傘」からの流れでこの方の作品を読んでいるので、正直なところキャラクターの魅力は前作のほうが強かったけれど、やっぱりこの方が持つレトロな雰囲気は好きだなと思いました。
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大正の京都を舞台にした探偵バディ推理小説。
途中、えっ!?そうなの!?と展開が変わるので、もう一回読み直して楽しむ予定。
語句で大正時代を感じ取れます。
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初読の作家さん、ノスタルジー漂う雰囲気いいですねー。漢字たっぷりなのも、文字フェチには堪えられません。舞台となる京都もなんとなく雰囲気わかるので、風景がイメージできて楽しめました。二人の関係性もよかったです。冒頭の「うわん」.こんなふうに聞こえるものか、と思えましたね。諸事情で◯◯にトラウマにありますが、さらに高まりました。
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独特の空気感。大正時代の京都という設定が醸し出す雰囲気が心地よい。ミステリーとしては、「見抜いた真相が間違っていて、都合がいいって思った推理の方が正しかった可能性もあるってことだよ」うーむ消化不良。
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2023/10/09 読了。
図書館から。
短編5つ。
真実はいくつも。
露木の独白を挟むと見え方が一気に変わる。
鯉城も賢いと思うんだ。
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大正時代の京都で起こる奇妙な事件、かつての時代にタイムスリップさせてくれる探偵ミステリー #焔と雪
■あらすじ
大正時代の京都。元警察官であった主人公、鯉城は探偵業を営んでいた。能力も人脈もあった彼のもとには、様々な事件や調査の依頼が舞い込んでくる。華族でありながらも病弱であった友人、露木とともに難題な謎に取り組んでいく。
■きっと読みたくなるレビュー
コージーミステリーかなと思って読み始めましたが、各章ごとにつぎつぎと放火や殺人事件が発生する、しっかりとした探偵ものです。書き下ろしですが連作短編の構成になっており、全五編の気の利いたミステリーを楽しめる作品。
大正時代の社会や世の中が見えてくるし、文章の表現もレトロ調で素敵。かつての日本にタイムスリップさせてくれるんです。
本作は主人公の探偵鯉城と友人露木、この二人の関係性や掛け合いが面白い。まさにテレビドラマの相棒を見ているかのようで、信用信頼だけではない、ちょっと風変わりな繋がりが魅力。
謎解きも思った以上にハッとするものがあって、なかなかスゴイ。特に後半からの展開は二人の距離感や価値観にも関連してきて、作品としてもぐぐっとレベルアップしていきますね。
そして大正時代の出来事にも関わらず、裏にある動機は現代的だったりするんです。でも、行動としては前時代的なの。これが奇妙で興味深い、上手に組みあわせたなぁと感心しちゃいました。
ミステリーでありながら、大正時代の文化や社会を体験することができる、時代文芸作品としても味わい深い作品でした。
■ぜっさん推しポイント
本作、メインの二人の描写が素晴らしいのですが、事件に巻き込まれる登場人物たちにも引き込まれてしまう。当時の社会や環境、時代背景のなかで、彼らはどんな思いで生活をしていたのか。
いつの世も男と女、金と欲…、不満や欲望を抱える我々人間社会。周りの人々を幸せにするために、できることは今も昔も変わらないような気がしますね。
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京都が舞台、しかも昭和初期という時代設定で繰り広げられる探偵小説。私立探偵と安楽椅子探偵という友人二人の探偵が事件を推理していく。謎解きが二転三転していき、読者を惑わせる。
時代設定と京都ということもあり、文章や漢字の使い方等、当時の雰囲気を醸し出している。クラシックな運びで事件の謎を解くとともに、主人公である探偵二人の関係性も意味深であり、この物語にふさわしいものだと感じた。
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舞台設定がいいですね。大正時代の京都。
文章中にも少し古めかしい表現が多用され、タイムスリップした感覚になる。
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タイトルを見て、雨と傘のシリーズ新作かと。
まあまあ面白いけど、そんなに好きじゃないんだよなぁ(失礼)と遅めの読書。
そしたら、全く違う作品で、しかもかなり面白かった。
世界観もいい。
推理がスッキリしきれずやや強引?と思う話もあったが、第四話でそれもクリアに。
一貫して、真実が人を救うとは限らない、誰のための推理なのかという点に重きをおいている。
毎度BLっぽくなってしまうのは、もう仕方ないのかな…