投稿元:
レビューを見る
1930年ロンドン。探偵レイチェル・サヴァナクは若い女性が殺害された事件を突然解決した。しかし真犯人の男もまた自殺した。若き記者ジェイコブ・フリントとはレイチェルのことを調べようとする。彼の上司は彼女を調べていた際、車にはねられた。
レイチェルはかつて名判事だった父親とともに離島に住んでいた。判事が精神を病んでしまったためだった。父が亡くなった後、莫大な遺産を手にした彼女は何か目的があってロンドンに来て、さまざまな事件を調べている。
続いてロンドンの名家の男性が死亡するが、前の被害者に共通しているのは、二人とも殺人を犯したことと、同じチェス同好会「ギャンビットクラブ」のメンバーだったということ。
捜査を続けるジェイコブだが、下宿人先の娘と、ジェイコブが情報源として繋がりを持っていた刑事の殺害現場に出くわす。彼自身も殺されそうになるが、そこを救ったのがレイチェルの召使いだった。実はロンドンには判事を指導者として、権力者や富豪たちが異常な嗜好性癖のために集う協会があった。それがチェスクラブ。判事はそのために孤児院を運営したり、警察官を買収したりしていたのだった。レイチェルはその組織を解体させるために動いていた。ところがメンバーであった、劇場支配人の愛人サラ・デラメアは協会のトップと持続を狙う一人であった。彼女ジェイコブにうまく取り入ったが、最後の最後でレイチェルに出し抜かれたのだった。
《感想》迷路のように入り組んだミステリー。読み始めの頃は登場人物たちのもって回った言い方や、全然要点を得ない表面だけの会話にイライラして読むのをやめようかと思っていた。しかし事件の数が多くなり、被害者たちのつながりがうっすら見え、事件の背景もわかるようになってくると面白くなった。スピード感があるし、登場人物は多いが、動きがはっきりしているので場面を想像しやすい。案外アクションシーンも多いからどんどん読み進めた。合間に挟み込まれる若い娘の日記、これはなんとなくレイチェルのことかなと思っていたけれども、やはり最後はスカッとした。
本国では続編があるらしい。一応今回の作品でレイチェルの本望は完遂されたと思うんだけど、次はどんな展開があるんだろう。どうせ続くんだったらダメダメの若手記者ジェイコブが成長する姿見られたらいいな。
投稿元:
レビューを見る
思っていたより楽しめた。
何となくこてこてのスパイものとか隠密行動的な話を想像してしまっていたのだが、ちょっと違った。
高名な判事、「処刑台のサヴァナク」の娘レイチェル・サヴァナク。
彼女の行く先々、関わる人々、皆非業の死に巻き込まれていく。
ある者は服毒死、またある者は拳銃自殺、そして火を用いた奇術舞台での焼死。
裏で手を引いていることは間違いないが、これは彼女の悪魔的享楽の一種なのか、それとも真の目的を持った一連のプロジェクトなのか。。
ミステリアスで完璧な立ち振る舞い、計画性が光るダークヒロインのレイチェル。
残虐さこそ滲めど、矛先は選定されており、強きをくじき弱きを助ける必殺仕事人かのようなのだが、一方で挟み込まれる、とある少女の過去の日記から読み取れるレイチェル像は悪魔そのもの。
このギャップ、食い違いが、一体どこへ向かっているのか、何が裏で蠢いているのかの霧が深まり、読みが牽引される。
終わってみればあるあるな構図、結末までの演出なのだが、途中の捉えどころのなさ加減が面白かった。
英国推理小説会の巨匠なんて謳われているし、著作リストも結構なものだけど、翻訳はほとんどない著者。
本作もシリーズものとのことだし、このスマッシュヒットを機にこれから順次訳されていくのでしょうかねー。
投稿元:
レビューを見る
うーん微妙だな面白いといえば面白いが若干すっきりしないなあ。
前半で名前とやったことがこんがらがってしまいました登場人物の一覧表が初めて役に立ちました。
投稿元:
レビューを見る
物語の舞台は1930年代のロンドン。著名な銀行家が自らの悪事を告白した遺書を残して自殺した。そこに絡んでくるのが、富豪にして探偵、妖艶な美女のレイチェル・サヴァナク。なぜか彼女の周囲で起こる事件の数々。ゴシップ新聞の新人記者ジェイコブは、サヴァナクの行動に疑問を覚え、接近を試みるのだが…。
多くの書評で指摘されるように、黄金時代ミステリを思わせる重厚な仕上がりに大満足な一冊である。主人公のレイチェル・サヴァナクは、いわばダークヒロイン。この作品の最大の謎は、彼女自身なのである。なぜか私は、バットマンのブルース・ウェインを思い浮かべてしまった。身体を鍛えることに余念がないあたりも共通点。
本作はシリーズ化されているらしい。早晩、新しい物語を読めるのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
もう一人の主要人物の日記が差し挟まれるが、これをどう読むか?真に受けていいのか、それとも・・・。本文がミステリアスで、『本当』がどこにあるか迷子になっているので、何も信じられない。
猟奇的な殺人事件が連鎖し、それにかかわる主人公、レイチェル・サヴァナクが名探偵として登場するが、裏と表の顔が交錯し、彼女が何者なのかようとしてわからない。序盤は悪党の顔が見え隠れするが、事件が重なるにつれ正義の顔が見えてくる。彼女を信じていいのか最後まで分からない。
事件の真相を回収しながらサスペンスフルに終盤を迎えるが、読み終わった今も、もうひとひねりあるのでは?と心が残っている。
投稿元:
レビューを見る
最後に踊りに誘ったのは。
まとめて根絶やしにするのではなく、一人ずつ確実に狙っていったからこそ上手く行ったのかもしれないな。
日記に書かれていたことが本当なのであれば、知る人のみが本物の勝者を理解しているのだろうな。
投稿元:
レビューを見る
3.7くらい?5を期待していたのでちょっとがっかり。面白かったが、ミステリーを期待していたのでほぼほぼサスペンスでなぁ。
冒頭の日記で、早々にレイチェルの正体がわかってしまった。それでも、どんどん死体が積みあがっていくので、この殺人は誰によるものか考えられて面白かった。
サラの正体も、ジェイコブがエドガー館で襲われたところで、サラが襲わせたのでは?と疑惑が生まれて、そこから怪しく見えた。
続編があるそうだが、どう話を続けるのか。これはこの1作で終わったほうが良いと思うが、続編が面白ければ読んでみたい。
投稿元:
レビューを見る
1930年のロンドンを舞台としたミステリ。
「探偵レイチェル」というあらすじの表記に惑わされてしまった。1件の事件の真相を示唆したくらいで「探偵」って。そもそも「探偵」じゃないよね。
古式ゆかしい犯罪小説。
真相は奇をてらったものではなく、順当。
視覚的に映える場面が多いので、ドラマ化に向いていそう。時代性ゆえか、脳内に展開するのはモノクロな場面なのだけれど。
この一連の騒ぎで成長したのは新聞記者ジェイコブ。いつかレイチェルを出し抜けるかな。
投稿元:
レビューを見る
冒頭、謎の女性のレイチェルへの疑いから始まるミステリ。半分くらいからなんとなく霧が晴れてくるんだけど、登場人物が多くて誰が何をやったのかが分かりにくいのが難点。それ以外は読みやすい。レイチェルがゼエゼエ言いながらあの機械から出てくるところを想像して笑ってしまった。
投稿元:
レビューを見る
原題の直訳なら「処刑台広場」だけのところを「の女」を付け足し、表紙に艶めかしい女性の見返り図を置いたのは、レイチェルシリーズの一作目として素晴らしい采配だと思う。
一応最大のトリックであるレイチェルの「正体」については早々に見抜ける人も多いと思うが、そこで油断しきった結果、もう一人の「の女」には思い切り騙されることになった。
また被害者のうち、大家母娘の果たしていた役割について語られている部分が見当たらなかったので、続編ではまだGC周りの設定が掘り下げられるのだろうか。あるいはまったく違う事件? いやよそに首を突っ込む理由もないしなどと思いつつ、次の翻訳も楽しみ。
投稿元:
レビューを見る
これほど人物一覧を見返した本はなかろう。それでも足りない人いるし、これで続編があると言われても、どこまで覚えていられるか…
投稿元:
レビューを見る
おもしろかった。舞台は1930年代のロンドン、腐敗した名士たちのクラブをつぶすヒロインの話である。美人で大金持ちの素人探偵、レイチェルの正体が最後までよく分からず、ずっと新聞記者のジェイコブといっしょに振り回される。頭のよい女が決めゼリフを言うところがいい。ジャズピアノのような文体がいいなと思う。