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ふぅーっと読了後に大きく息を吐き、少し放心してしまう、そんな作品だった。
正直半分を過ぎるまでは大きな展開がなく、少し読むのに時間がかかってしまったが、それは登場人物である泉と宗清の関係が近づいていく過程、靖野が眠っている時間の長さの が丁寧に丁寧に書かれているからだと後になってわかる。
そしてそこまで丁寧に書かれていることがあとになってきいてくる。
BL作品を始めて読んだが、性描写も二人の関係性の変化に必要なシーンとして不自然さがなく、読めた。
本編の後にボーナストラックのような章が4つもあるのが嬉しいし、結果一番最後の章に全てを持っていかれた。読んでよかった。
【あらすじメモ】
弟、靖野が海の事故で目を覚さないまま二年が過ぎた主人公、泉。弟の介護のため、地元で在宅ワークに切り替え病院に通う日々の中、日課になっている海岸のゴミ拾いの最中にひとりの男に出会う。名前は宗清。弟にそっくりな外見。
宗清からは好意を寄せられるがつっぱねるものの、次第に宗清の包容力や温かい受け答えに心を開き始め、ついにずっと胸にしまっていた弟が事故に遭う前日に起こったことを告白する。
弟から好きだよと告白されていた。
それに対して反応できず、「無かったこと」のように振舞ってしまった。それが原因で弟が自死をはかったのでは…と心の奥底で悩んでいた。
泉は母親の連れ子で、弟の靖野は再婚相手との子。
しかしここで泉に大きな事実が宗清からつげられる。なんと宗清の母親と泉の母親は、かつて恋人同士で、別れた後たまたま産院で再会しお互いの子供を入れ替えていた。
つまり泉の産みの母親は宗清の母親で、宗清は泉の母親の子供だった。
ここで宗清と靖野の外見がそっくりだったことの種明かしとなる。
最終的に靖野は目を覚ますが、事件直前の記憶は取り戻せない。
ということなっていたがそれは靖野から泉へ2年間介護に時間やお金をかけてくれたことへのお礼、とのことだった。
全てを知った泉の父親が宗清のにかけた言葉を、宗清が靖野にかけるところも胸が熱くなった。
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感想
青さは必ず失われる。それでも今はその鮮やかさに身を委ねたい。自分が失ったものを持つ人間は眩しい。だからこそ反発するし惹きつけられる。
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#青を抱く
#一穂ミチ
23/8/24出版
https://amzn.to/48jTlaP
●なぜ気になったか
本屋大賞ノミネ作品が未読な一穂ミチさんの既刊BL小説の文庫版。正直、BL小説は相性悪くて楽しめない、との認知バイアスを持っているのだけど、それが間違いかどうかを確かめてみたい
●読了感想
ダメだった。LGBTなどの性的少数者の存在は、そのような人がいても不思議ではないな、と理解できるのだが、BLの世界は生理的に受け入れることができなかった。これって、理解できるというのはウソになるのかな・・・?
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き
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2015年フルール文庫にて出版された作品。
角川文庫にて再文庫化という事で大幅加筆修正、ブログ掲載ショート、購入特典配布ショート、書き下ろし掌編を加えての出版です。
再読なのですが詳しい内容忘れてます(*_*)
手元になかったので購入しました♪
海で溺れて2年間意識不明の弟がいる泉。
彼が海岸で出会った男は弟とそっくりで…
素敵な物語ですよ♪掌編がまたまた良いです♪
フルール文庫は角川のレーベルであり、角川文庫として出版することで一穂ミチのBL作品をハードルを低くしてBLはちょっと…と感じている方にも読んで欲しいという事だと思います。
加筆修正されたとはいえsexシーンはあります。
そこが嫌という方にはムリに勧めませんけど…
一穂ミチの文芸作品で興味を持った人にはぜひ読んで欲しい作品ですよ(〃ω〃)
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異性と付き合ったことがある人が、こんな風に急に同性と恋に落ちるっていうパターンがBL小説ではよくあるけど、そういうものなんだろうか?
うまい具合にそんな相手に出合えるのがすごいなとか、話の筋と関係ないところが妙に気になってしまった。
そんな訳で物語に完全に入り込めなかったのだけど、泉、靖野、宗清の関係性はいいなと思った。
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無粋かもしれないけど、まだまだこの人たちが歩んでいく未来を見たい、そう思いました。
ドラマティックなストーリーの登場人物ながら、
慣れた様子で片付けたり、想い人には打ち明けないことを打ち明けてみたり…
人間らしさを持った様子が見えて、幸せになって欲しいという気持ちになりました
最初から読み返したら、また受け取り方が変わるかも
しばらく置いて、もう一度読み返すのが楽しみです
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「スモールワールズ」一穂ミチさんのBL作品です。
さすが、「BLについては基本的に濡れ場ありきで書いている。」というだけあって、なかなかガチな作品でした。
とはいえ、透明感のある文体はやはり一穂ミチさん♥️
「スモールワールズ」を感じさせる部分もあり、なかなか楽しめました。
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一穂ミチさんのファンになったのは「イエスかノーか半分か」を読んでからだった。この作家さんの選ぶ言葉や表現が本当に好きで、以来たくさんの一穂作品に触れて来た。「青を抱く」は久々に読んだBLだったけれど、圧巻の表現力。ストーリーは正直、ご都合の展開だと思ったけど「青」をこんなに美しく描けるのがさすがだと思ったし、好きだと思った。
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靖野が兄への告白をなかったことにしたところと、
宗清が自分に弟がいることに、走り続けたいほど嬉しがるところがよかった。
様々な人の、周りに対しての不器用な優しさの表現が好き。
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フルール文庫で出版されていた著書。
大幅加筆修正の新装版です!
ある海辺で出会って少しずつ惹かれ合う二人、
ただ泉は置かれてる状況以上に
気掛かりな点があるなと思ったら後半の畳み掛け。
そっか、そっかぁぁぁぁとため息が漏れた。
引き込み力素晴らしい、本当に一穂さんは読ませる。
それが刺さるか刺さらんかは読み手次第です。
(殆どの人は刺さるんだろうね)
個人的に母親の話は、正直悪手でした。
「光のとこにいてね」がトラウマなのでね…
もしやこの二人の生まれ変わりがあの二人だったりする?
ここまでとてもいい流れだと思ったのに、
1番大事な真相部分がちゃっちく見えちゃって
残念でしたねぇ残念だったなぁ……。
私は靖野くんの気持ちが辛すぎて仕方ないよ。
どうするのどこにやればいいの
救いは?救いは?!となってるうちに終えました。
母親視点のSSよりなにより靖野くんでしょう。
BLとしては良かった。この人の描くGLがただただ苦手。
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本屋で題名見てすぐ手に取った、某青推しです。
そして作者が一穂ミチさん。あぁ「スモールワールド」とか、「光のところにいてね」とかの,あの人ね。
じゃ、もう、題名これだし買おう!ってレジにいきながら後ろのあらすじ?読んだら
え?BL?!
そういえばサブスクで見た「YESかNOか半分か」もだったなー。そうかそうか、ま、読んでみよー
と読み始めたら、主人公が「泉」で、相手が「叶(かのう)」でびっくりした。
私の青推しも、泉さんで,相手が神生(かのう)さんだったから!(こちらは公式ではBLではありません!完全に2次創作です!私らの妄想です!)
それは置いといて・・・
海辺の街の話。
東京で働いていた和佐泉はUターンで地元に戻り、リモートで仕事をしている。
それは2年前に弟が水難事故で植物状態になったから。
日課の散歩兼浜辺のゴミ拾いしてると、弟にそっくりな男が立っていた。声も似てる。
それが、叶宗清。母が亡くなって1年経ってリフレッシュするため長期で休んで,この街に来たらしい。
夜,行きつけの飲み屋にもいた。どうやら女友達が彼に宿を貸してるらしい。
しばらくして、
叶宗清はゲイで、泉を口説くが、泉はノンケだし例え相手が女の子だったとしても、
今は弟の事で精一杯。恋愛をしてる気持ちにはなれない。
でも、宗清の明るくて人懐っこいところに癒される。
ってな話。
核心は流石にかけないけど、
おー?!えー?!へー?!
な事が多々あって、この文庫本にある短編の最後に、ちょっと泣けた。
本文にもさらっとその点については書かれてるけど、改めてその目線で語られてからの、その一言は涙を誘いますね。
飛び込み台の上で冗談で言った「抱き合って落ちよう」がなんかよかった。
良き小説でした
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Amazonの紹介より
静かな海辺の街で暮らす和佐泉は、日課の海岸散歩中に出会った男の風貌に思わず息を飲む。海難事故に遭い、2年間目を覚まさない弟の靖野にそっくりだったからだ。長期休暇でしばらく滞在していると言うその男、宗清の人懐っこさや率直な好意に反発しながらも惹かれていく泉。しかし、泉には宗清の想いを受け入れられないある理由があった……。心が浄化される感動系BL。書き下ろし「Dear my her」を含む短篇3本も収録。
「スモールワールズ」や「光のとこにいてね」など最近は一般小説の作品を手がけていますが、元々はBLの作品を多く手がけていて、読んだことがなかったので、読んでみました。
BL小説を多くは読んでいませんが、どの作品も言えることですが、心理描写が繊細だなと思いました。
同性に恋するという心の揺れ動きを誇張せずに絶妙な空気感で表現されているので、一穂さんの「今」の作品を読んでいると、その要素が継承されている印象でした。
この作品を読む前に、まずはこの作品はBL小説ということを念頭に置いといてください。
というのも、一般小説で読むと、ツッコミたくなる所が多くありました。昏睡状態の「弟」が、いつもお世話になっている店の所にいる⁉︎やその男が主人公に恋するようになるといったことなど、BLとしては定番なのかわかりませんが、そういったファンタジー要素が含まれています。
さらに性描写も描かれています。間接的に表現されていますが、苦手な方はご注意を。
BL小説として読むと、素敵な作品でした。主人公が抱える「弟」に対する心の葛藤を「弟」にそっくりの宗清が支える関係性。そして宗清はグイグイと主人公に迫りながらも、時には弱さを見せる部分もある率直さのある男なので、段々と惹かれていくのは、エモいのではないでしょうか。
また3人だけでなく、真帆の存在感も光っていました。3人の関係性にアクセントとして引き立っていました。
全体的に爽やかな空気感も印象的でした。「青」ということで、海辺の街を舞台にしていますが、その他にも「青」に関する要素が含まれていて、ポワンとした雰囲気を醸し出していました。
展開としては、強引といいましょうか、良い方向ばかりなので、現実的ではない要素が含まれていましたが、恋愛って良いなと思った作品でした。
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「青を抱く」
「青が降る」
「be with you」
「ウェルメイドブルー」
「Dear my her」
5話収録のBL小説。
海辺の街で暮らす泉が、海岸のごみ拾いをしていた時に出逢ったのは、水難事故に遭って2年間目を覚まさない弟そっくりの男・宗清。
この偶然はきっと必然で、二人は惹かれ合っていく事になるんだろうなと予想通りの展開だが、家族に隠された秘密や水難事故の真相など、少しミステリ要素も盛り込まれている。
登場人物の繊細な心の動きが柔らかな言葉で紡がれ美しい表現に感嘆する。
愛にも色々な形がある事を改めて思い知る。
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多少ご都合主義、というか現実にはまぁないだろう、っていう設定が気にはなるが、メイン2人の感情の移ろい、やり取りには息苦しくなるほどの切実さを感じた。
人間やっぱ感情と頭で理解してることが相反したり、昨日はこう思ってたけど一晩経つと、とか、そういう移ろいの中で突飛な行動取るとか、ままあると思っており、そういった感情や行動の波、が描かれていて、私はそれを好ましいと思いました。
自分の中で、宗清が、好きな漫画でもある「スモークブルーの雨のち晴」という漫画のキャラになぜか脳内変換されたのだけど、それが漫画の雰囲気とこの作品の持つ雰囲気が自分の中でシンクロしたのも好ましく思った要因な気がしてます。
奇しくも両方、青、だ。
2023.11.24
184
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ああ、好きだなぁ、て思った。
一穂さんの描くひとたちの繊細で迷いブレる部分がありながらもわがままで芯がある姿が、そしてそれを丸っとそのまま包み込むような物語がとても好き。
とても素敵な表現に、うあー好き!てなったくらい、文章も好きだな。ずっと、タイトルや舞台の通りに海の、青の中を漂っているような、そんな感覚だった。