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途中からエッセイ?と思い直し、やっぱり小説だよねっと思いながら、環境は違うものの同年代の一人として、物語の中に一緒に参加しているような居心地だった。
こんな友達関係、この歳だと違和感なく受け入れられる。男友達の関係は羨ましい、これはなかなかないかも(笑)
いずれにしても、うんうんと頷ける今日この頃を少し新鮮にさせてくれた本でした。
最後の含蝉が目の中で・・・になるくだり、最高です!
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小説家のわたし、離婚と手術を経たアン、作詞家の
カズ。カリフォルニアのアパートメンツで子ども
時代を過ごした友人たちは、半世紀ほど後の東京で
再会した…。たゆたうように心に届く大人の愛の物語。
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小説のようなエッセイのような短編集。境遇はもちろん違うけど、同世代を生きてきた登場人物達の過去や気持ちやコロナ禍を生きる今やら、それぞれの思いに共感できて面白く読了。今の自分の漠然とした気持ちをなんとなく代弁してくれた文章で引き込まれました。
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本人を思わせる小説家が主人公。調べてみると、子供時代にアメリカに住んでいた経験があるのも一緒。そのアメリカ在住時の友人達と50年を経ての東京での交友歴。
一言で言えば日記みたいな作品です。コロナ禍の中、SNSでやり取りしたり、お互いの家や、ちょっと粋な飲食店で実際に会ったり。
タイトルに「恋ははかない」とあるように、65歳を過ぎ、枯れたような、でもちょっぴりとは残っているような男女の関係。
どこかとりとめもなくふわふわと。最初はそのとりとめのなさに戸惑いますが、最後にはそれも良いかと。さすがの筆力ですね。
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川上弘美さんの緩やかなタッチで描かれる時の流れが、子供の頃に行きつ戻りつしながら、まさにコロナ禍と同時並行で描かれていて面白い。自分より少し歳上の60代の微妙な男女の恋や友情、それぞれの親子の関係や、その親の恋までも丁寧に描かれていて、ほんの少しの共感と、こんなこともあるのかなと、思いつつ読了。
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子供の頃から知り合いだった男女が大人になって再会し、とりとめのない話が続く。一体、この男女の物語の着地点はどこなんだろうか、と。でも不思議と最後はストンと気持ちにケリがつきました。同世代の方なら共感できますが、若い世代の方が読んもこの気持ちは理解し難いと思いました。
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アン(アメリカ人の父と日本人に母を持つ)と主人公の小説家、朝見と無頼派の作詞家のカズ、共に幼少期をカリフォルニアで過ごした帰国子女。
この3人が日本で再会し、そっから(コロナ禍を背景に)ほそーくながーくつきあっていくお話し。
いいな、こういう関係。ほどよい距離であまり深入りせずともお互いのことがわかっていて会わない時はずーっと会わないし会う時はけっこう頻繁に会う。飲みにいったりね。
3人とも離婚経験者で今はシングルってとこが風通しがいいのかもね。
アンとカズが、朝見とカズが恋愛関係になってしまわなくてよかった。
60代だからこその関係なのかもね。
最終章はカズはよくない病気なのか、わからないけどきっと朝見が最期までついていてあげるのだろうな。
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子どもの頃、アメリカで過ごしていたときに出会った同じ歳頃の友人たちと半世紀後に東京で再会。
60歳を過ぎた小説家のわたし、離婚を経験したアン、作詞家のカズ。
彼らと流れるままに時間を過ごす。
昔を懐かしみ、今を生きる。
深い感情があるようには見えないけれど、それなりにゆるゆると関係は繋がっている…ような。
特別に刺激的なことが起こるわけでもなく、すべて自然に任せているようである。
これはエッセイなのか⁇と思ったけれど小説なんだな。
文中の「ほんとうはあなたと二人が楽なんだけど、楽じゃないことをたまにはしてみるのも、いいかと」と言うアンの言葉に、わからないけどわかりたくなる気持ちがあった。
これは若い人では出てこない言葉かも…と。
60歳を過ぎれば、面倒なことは回避したいけれど、たまには自分に刺激を与えてみてもいいのかも、と思うことがある。
それに似たような感じを覚えた。
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正直、共感しづらかったかもです。
けれど、私が語り手と同年代になって読み返したとき、惹かれそうな気が強くします。
本作はそんな作品でした。
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川上さんご自身のことを書いたエッセイかと思ったら、作家を主人公にした小説だった。
大きな出来事を描いているわけではなく、幼少期~60代までゆるりと話が進んでいく。
大人になるにつれ、だんだんと物事の捉え方や考え方が変化していく様子がわかり、帯にあるように「年とるのって、悪くないじゃん」という気分になった。
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見たままの景色を表現することについては丁寧に描かれており、「よく覚えいるね」と何度も思った。
コロナ禍作者とは同じ情報メディア(元ネタ)に触れているという点も感じられ、いかに豊かさから遠のいた世界だったのか振り返させられる場面が何度かあった。
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主人公は、60代の小説家で、幼少期に北米滞在の経験があって、結婚して離婚して、文学賞の審査員をしていて、と、かなり作者自身を想像させる人物なのだが、そうなるとこの男友だちのモデルはいるのかいないのか気になる…、ということはさておき、そういえばこんな小説、読んだことない。
心身を燃え尽くすような恋愛をするほど若くはないが、完全に「枯れて」しまったわけではない。
そんなこの年代特有の男女の機微を描いた文学って、たぶん今まであんまりなかったし、人口比から見ても市場はきっとでかい(たぶん一番本を読む年齢層)。
その一方、この作家のこんな感性(↓)は、今でも若々しく、小説家のリアルを鮮やかに垣間見させてくれる。
「小説を書くとき、わたしはきっと自分の中に今ある何かを中にまぶしこむ。おととい聞いた鳥の声、歩いた道でみつけた白い花、駅ですれちがった親子のうしろ姿の印象。けれど、それらを小説の中にまぶしこんでしまうと、それらについての記憶は、わたしの中から消え去ってしまう。 書かれたことでそれらは文章の中に永遠にとどまるが、わたしの中からは抜け出ていってしまうのだ。 」
なので、新刊が出るたびについつい手に取ってしまう。
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とても、おしゃれ〜な気分になる。欧米人の会話ってウィットが効いてて、嫌味なく本気で喋っていいよな、とら思っているけど、そこを少し日本人的ないテイストで流してる感じ。口に出さなかったことも含めて、表現がおしゃれ。
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各章のタイトルの付け方が何となくの会話の中からひっぱってきている感があって、肩の力が抜けていて素敵だなと思いました。
カズのラインの文面、あさとのやりとりが好き。
大人らしいお店に行って大人らしく飲み食いする描写もあるけれど飲み物を買ってベンチで喋るみたいなこともしていて良かった。
このアプリで初めて感想を投稿したら、うっかりコメントのところに入ってしまってて、評価と感想に入れないとな、入れたいなと思いながらそのままになっており。。
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小説なのだが、主人公の職業や年頃が限りなく著者のそれに近いせいで、ふと気を抜くとエッセイか日記を覗き見している気分に引っ張っていかれる。時代背景もまさにコロナの渦中ということもあるのだろう。還暦を過ぎた一人暮らしの人の日々のあれこれや、胸に止まった、あるいは通り過ぎたことごとが、至極淡々と書かれているのが、かえって胸にる迫ったりもする。同年代だからということもあるかもしれない。
ひたひたと全身に沁み渡るような読み心地の一冊。