投稿元:
レビューを見る
独特な表現や言い回しにだんだん慣れていくとともに世界観に入り込んでいく感覚が面白かった。
年齢によって変わることと変わらないこと。自分の年齢が上がっていっても、感覚としては若い頃とさほど変わらないなと感じていたが、きっと60代になってもやはり同じように感じ、考えているんだろうなと思った。
投稿元:
レビューを見る
日本語を大切。
因循
いんじゅん。
素晴らしい。
1958年生まれの作者。僕の3歳上。
『群像 2024年1月号』を読んでいた。この作品で野間文芸賞受賞。副賞300万円。
いろんな選考委員をしていて、作品に触れている。小説には全てその時の自分を出さないと、ということらしい。
この文芸誌には、最初の編集者だった宮田 毬栄 との対談も掲載されていて、素晴らしかった。
知らない、言葉、たくさんあった。
ふってい
払底
連作、八色朝見という作家が主人公、年齢は作者と同じか。
新型コロナの頃の話。久しぶりの再会。両親のこと。
気ぶっせい
見過ぎ世過ぎ
さはい
差配
しょうことなく
春蝉
こなから
小半
二合半
けそう
懸想
刺激がある。
投稿元:
レビューを見る
川上弘美さんの作品を読むのは初めて。
表題に興味をそそられ、図書館で予約。
待っている人が一人だけだったので
一か月半で手に取ることができました。
今は私の後ろで六人 並んでいます。
不思議な雰囲気の作品。
つれづれに書かれた随筆?と思って読み進めると
ひとつひとつのストーリーが繋がっているのです。
小説なのね。
そして、淡々と語られる昔の友人との会話。
(途中でリタイアしそうになった私ですが…)
還暦を過ぎた一人暮らしの女性作家の
2020年から2023年春までの交友関係が語られます。
新型コロナで自粛生活が始まった時期。
60年前の友人、カズとアン。
時に会って一緒に飲み、時に電話だけでの会話は
共通の知り合いや親のことなど、多岐にわたります。
そして、人生の終焉についても。
『一人でいるのがさびしいのではなく、
どうしようもなく誰かと一緒にいたい、
という相手を自分が求めないことが淋しい』
人見知りだけど、甘える相手を欲している、
そんな女性作家の心の中が見えた気がしました。
私事ですが、親友と二人で12日間の旅に出ました。
ツアーではなく、ふたりきりで。
今までにも何度となく一緒に旅行をした仲ですが
こんなに長い間、しかも海外へ出かけたのは初めて。
旅はとても楽しく有意義だったのだけど、
帰宅後、すっかり疲弊している自分に気づきました。
娘にそんな話をしたらこう言われました。
「長い旅に出るとね、癖が2.5倍くらい出るものだよ。
でも、きっとまたその人と旅行に出かけると思う」
距離感って大事。
投稿元:
レビューを見る
図書館でそこそこ予約数があり、人気そうだったので借りてみました。ですが、私にはあまりささりませんでした…。主人公が60代で、日記のような感じの文章だったので、私との心理的なギャップがありすぎて今回は合わなかったのかなと思います。また歳を重ねて、主人公と年齢が近くなってから再読したら、今度は感動するのかもしれません。
あらすじには「愛の物語」のようなことが書いてありましたが、あらすじを読んで思い描いていた物語とは、個人的には結構違うものに感じたので、事前情報無しで読んだ方が面白いかなと思います。
コロナ渦中のお話が多く、そこは共感する部分が多かったです。
作中に出てきた「尻馬人生」(他人の言葉に便乗する行為を行った瞬間にイエローカードのように発される言葉)という言葉が気にいったので、これから使ってみたいなと思いました。
投稿元:
レビューを見る
▼配架・貸出状況
https://opac.nittai.ac.jp/carinopaclink.htm?OAL=SB00552065
投稿元:
レビューを見る
大人の恋ってどんなものかと思って読んでみたが、ふわりとした読後感がよかった。興味を持っても干渉し過ぎない、積み重ねられたゆるい関係。往年の文学要素も多いので、そっちも読んでみようかと思いました。
投稿元:
レビューを見る
コロナの現状など時代背景そのまま、日記風の書き口で語られる内容は、アメリカで過ごした子供の頃の思い出から、今に続く友だち付き合い、親への複雑な想いなどまさしく日記のようにあちらに飛びこちらに帰る。作詞家となったカズとの程よい距離感の友情など、これもひとつの愛の形だと感じた。 なかなか心地よい読後感。
投稿元:
レビューを見る
幼少期を海外で共に過ごした人たちが、時を経て再開し、またゆるりと時間を重ねていく。
日記のようなおはなし。
川上さんの小説は、高校の時に読んで以来20年近く振りだと思う。
あの時現文の授業の課題図書になっていて読んだのだけど、当時もあまり得意ではなかったけど、やっぱり今も得意ではなかった…
投稿元:
レビューを見る
川上弘美さんの、ちょっと不思議で夢の中のような文章が大好きだったのだけれども、2つ分の章を読んだ後、そっとページを閉じた。文に酔った…
投稿元:
レビューを見る
最初、川上さんの私小説かと思っちゃった。
なんとなくヒロインは川上さん自身のような感じがした。
色んな人の淡々とした営み。
幼い日々、若い日々を共有してきた人々との交友。
昔を振り返りながらコロナ禍を過ごし、今の日々を過ごすヒロインの私生活はエッセイで綴られる川上さんの日々に似ていたような気がする。
投稿元:
レビューを見る
久々の川上弘美さんの小説を読んだ。エッセイはずっと読んでるけど。同じ歳だから、川上さんの日常に思うことが共感できる。
投稿元:
レビューを見る
とりとめのない日記のような…自伝的?!な小説
ずっと何を読まされてるのか?!最後までモヤモヤしたまま読了
10年後に読むとまた違うかもね
投稿元:
レビューを見る
時間がすぎていく。
決して穏やかではないのだろうけど、傍目には淡々と。
陳腐だけど、人の数だけストーリーがある。
投稿元:
レビューを見る
歳を重ねるといろいろなものが見えるようになって心は成長し、身体は衰えていくと思っていた時期がある。どうやらそんなものではないと今は感じている。
大きな事件があるわけではなくて、エッセイのような本。60を超えた幼馴染が近づいたり離れたりしながらコロナ禍を生きている。歳を重ねたからこそのものの捉え方は決してスマートなわけではない。でも相変わらずいろんなことを考えながら人は生きるのだなとしみじみ思う。
静かで、暖かくて、どこか切ない物語だった。
「どうしようもなく誰かと一緒にいたい、という相手を自分が求めないことがさみしいのだった。」
「他者の思考に自分がのみこまれてゆく心地よさと抵抗感と恐ろしさの中に、ゆっくりと溺れていった。」
「カズのことをわたしは好きなのかしらん、と自分に訊ねてみる。自分の中で、その問いが小さく響く。がらんどうの部屋の中で、覚束なく団扇太鼓を鳴らしているような音で。答えはなく、ただぺなぺなした太鼓の音が、てん、てん、と鳴っているばかりだった。けれど、その覚束ない太鼓の音が、悪くはないなと思った。」
そこかしこで、独特な、素敵な表現に出会える。そして、本の題名も章の題名もまた、気持ちのどこかに触れられる感じがする。
投稿元:
レビューを見る
途中まで川上弘美さんが自分の経験を語っているのかと思って読んでいたが、途中で主人公の名前が出てきて違うということがわかった。
最初の章に出てくるアメリカでの子供のころの経験話が最後までつながっていて、しかもそれが大昔の思い出であるにもかかわらず、登場人物たちはいろいろなことを覚えている。
今は全員60代で、その登場人達の中で恋愛っぽい話ことも出てきて面白い。