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「私はこの国土で行われてきた破壊の事業のあとをたどりながら、そのどこに誤算があり、誤算はどのようにして生まれたか、その秘密を探って行きたいと思う。」という序章のとおり、水を、農地を、国土を“破壊”したこの国の業績をたどっている。
2010年7月刊ではあるが、1974年発行の改訂版なので、事例としては昭和のものが紹介されている。しかし恐ろしいことに、その問題は今日でも同じ軌跡をたどっていることが見て取れる。
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かつて自然を愛し自然に対応して生きる民族であった日本人が,なぜ現在のように自然を破壊するようになったか。この本は1974年に書かれたものだけれど,現在の日本に通ずるところは沢山あると思う。日本の国土に住んでいる人達皆に読んでもらいたい。
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自然界の「分業化」に警鐘を鳴らした日本環境論の古典。本書は1990年の時点で28版を重ね(初版は1974年)、2010年には新版が出るなど、長年にわたって読み継がれてきた本である。
著者の主張を要約すると、本来は水(河川)と緑(森林)と土(土壌)は一体のものであり、長い年月をかけて相互補完的な関係を築き上げてきたという。しかし、高度成長期の都市開発が、自然界を「分業化」させてしまい、その結果、より多くの環境問題を引き起こすことになった。例えば、治水事業として各地に築かれた「堤防」は、水と緑・土の繋がりを断ち切ってしまったため、これまで森林や土壌が吸収していた水や土砂が全て河川に閉じ込められ、より大規模な水害を引き起こすことになったと著者は批判する。また、ようやく取り組まれ始めた自然保護政策も、その「分業化」を前提にしている点では変わらず、効果は限定的であるとも述べている。
本書は、こうした都市開発による自然破壊をただ糾弾するのではなく、そうした開発を是とする人々の「思想」にまで遡って分析を行っている点が興味深い。現代の日本が抱える環境問題の”原点”を学ぶ上で、非常に参考になる一冊である。