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どこか気味の悪い空気感とノスタルジックな雰囲気とどこか掴みどころのないキャラクター性で繰り広げられる会話が独特な世界観を作り出していて面白かった。
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内田百聞が大学でドイツ語の先生をしている頃、印象の薄い学生、甘木と知り合いになり、事件というほどでもないような怪異がおこる作品。内田百聞を知らないと面白さ半減以下です。
夏目漱石の弟子であり、芥川とも交流のあった内田百閒。物語にも、かの文豪たちが登場します。どんな形で出てくるかは読んでのお楽しみ。
背広
内田百問の背広と甘木が友人から事情あって借りた背広が入れ替わる。そこが甘木の内田先生との親交の始まりであり、怪異の入り口だった。
猫
コーヒーがまずいが出す料理は結構うまい行きつけの喫茶の給仕が具合が悪い。しかし彼女から受ける印象は人によって極端に違うようなのだ。
竹杖
百聞先生邂逅百聞先生図という知人からもらった上手くはない不思議な絵。その絵と百聞先生が抱えている秘密は密接にかかわっていた。
春の日
百聞先生から距離をおかれた甘木。しかし、以前百聞先生と親しくしていた学生の影がちらついて、二人はまた近づくことになる。
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実在する人物が登場しているので背景も知りたくなり検索しながら読んでしまうと時間がかかります。
主人公は影の薄い甘木という学生。ドイツ語の内田先生と親しくなるにつれて、怪異に遭遇してしまい、、、。
最近多い怪異や妖ものかと思いきや、大正から昭和という時代背景もありスピード感よりもジワジワくる薄気味悪さを感じる怪異物でした。
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「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズの三上延。今作は、推理物というよりはオカルト•ホラーです。
内田百閒(1889〜1971)は、アンソロジーに収められた短編をいくつか読んだくらいで、私は馴染みがない。黒澤明の映画「まあだだよ」の人、という印象が強い。
主人公の甘木は大学でドイツ語の講義を受けている内田教授と近しくなる。そのきっかけとなったのは教授が着ていた背広で、それはかつて内田教授が師事していた"ある人物"の形見分けの品だった…。
「背広」「猫」「竹杖」「春の日」の4話連作です。どれもじわじわと恐怖感が増していく感じの物語で、楽しんで読めました。
"証拠を積み重ね、推理をもとに真犯人を追う"的な『事件帖』ではありません。推理物でもS Fでもなく、あくまでオカルトです。…「オカルトとUFOはS Fの敵!」という"コアなS Fの人"には合わないだろうなぁ(笑)
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文豪×怪異×ミステリーと帯にあったので、怪異にまつわる事件を解決していく話なのかなと思ったら、実際は謎解き要素はほとんどなく怪異とかファンタジーとかそちらの色合いが強かった。
内田百閒、芥川龍之介が好きな私にはグッとくる場面も多くて良かった。いろいろ読み返したくなる。とくに『山高帽子』。
主人公の甘木くんとの師弟関係も良く、切なさと温かみがある終わり方も好き。
まだ続けられそうではあるので、続編がもしでたら読んでみたい。
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内田百閒(閒の字は作中では敢えて間で表記)先生を探偵役に、甘木という内田先生の教え子の目を通して不思議な世界を描く。
内田百閒と言えば「ノラや」のイメージが強すぎて猫好きな先生なのかと思っていたら、取っつきにくい怖そうな先生として描かれている。
食べることが大好きだがこだわりがあり、整理整頓が好きで、ドイツ語教師としては鬼のように恐れられていて、だが一方で常に借金を抱えていてそこはルーズで。
何よりも不思議な世界とずっと関わってきていて、内田先生の周囲では人死が多い。
漱石先生、内田先生の教え子たち、そして芥川龍之介。
芥川龍之介が描いたという『百閒先生邂逅百閒先生図』という不思議なタイトルの不思議な似顔絵。
こういうものがあるとは初めて知ったが、その解釈がまた面白い。
これをこのような不思議な事件に発展させるというのはさすが作家さんだと感心。
読後調べたら、甘木という主人公の名前は『百鬼園随筆』にも度々登場するらしい。
この辺りも作家さんの遊び心が感じられて楽しい。
また内田先生と芥川龍之介との親交の深さも感じられて興味深かった。
背広、猫、竹杖…様々なモノが起点となって始まる、ちょっと怖くて不思議な世界。
そこに引き込まれて時には命を落とす者もいるが、甘木は意外にも強い。
彼の、人の印象に残りづらい平凡な容貌と、優しくも粘り強い性格が内田先生を助けている。
一人で異世界と闘ってきた内田先生の変化も楽しい。
作中に出てきた内田先生の『冥途』やタイトルにも使われている『百鬼園随筆』にも興味が出てきた。そのうちに読んでみたい。
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悪くはなかった。
内田百間の帽子や背広がイメージしづらい。表紙の絵も違う気がする。筆者のビブリアシリーズと異なり、現代を描いたものではないから、私の脳内では映像化が難しかった。
性格もよくわからず。
ドッペルゲンガーとの対決は、ちょっと呆気ない感じ。
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怪異な現象がいろいろ出てきて、でも人間的な温かさもあって、不思議な味わいの良い本でした。
たまたまだけど最近大正時代が舞台になっている小説を読んでいて、ちょっと妖しい世界が似合う魅力的な時代だと感じました。
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誤表記・誤字があった。
校正をしっかりしてほしい。
P. 142 3行目「甘木の言葉」→「青池の言葉」
P. 167 5行目「カンカン棒」→「カンカン帽」
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面白かったけど、今までずっと百間先生の色んな文章を読み散らしてきたから、知り合いのおじさんがドラマに出演して台詞言った感あった。「やだおじさんちょっと、あんなこと言ってるよwwwかっこいいじゃんwwwヒィ」みたいな。
芥川とか太宰はこういうのいっぱいあるだろうけど、百間先生自体が物語の登場人物になるのってあんまりない気がする。純粋に嬉しいです。
百間先生の、亡くなった方々との思い出を書いた文章を再読したくなった。
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いや…最初の2編は、まぁ
日常の謎系のミステリな感じですが
後半2編は怪異譚じゃん!
うーん、ヒャッケン先生のキャラは
だいたい私好みの路線だったんだがな。
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なかなか、読み進まなかったのだけど、内容は面白かった。内田百間さんって、こんな感じだったのだろう。
鉄ちゃんだったことに反応
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少しホラー、怪奇譚。でも怨念や怨嗟といった類ではない。大正から昭和初期の世俗や街並みも丁寧に記述されてとても楽しく読めた。途中まで読んでやっと内田百閒先生って人実在していたような・・・?ってぐらい何も知らずに読んだけれど内田先生の著書がどういうものなのか興味がわいた。
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連作短編集。
頃は関東大震災後の8年後。大学生の甘木は喫茶「千鳥」で、ドイツ語教授内田榮三と出会う。本来人の印象に残らない甘木だが、内田は彼のことを覚えていた。
しかし、内田の周りでは不思議なことが度々起こる。動く背広(内田の師、夏目漱石の形見)、喫茶の女中の狐憑き、ドッペルゲンガーの出現など。ドッペルゲンガーについては、内田とは長い因縁があるようだ。
《感想》
ミステリーというよりかは怖くないホラー?内田百閒と甘木が日常で出くわす怪異に対応する、という話。内田のキャラクターが何かしら魅力があって、安心できる。こだわりが強くて、美味しい食べ物が好きで、飄々としていて、観察眼がある。その割には自分の文才の方向が定まっていない時期。甘木に言われて列車の話や食べ物の話を書き始めるところは、実際の作品とつながった感じで印象に残った。
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昭和初期の神楽坂が舞台。存在感の無さに悩む大学生、甘木くんと、偏屈な大学教授、内田先生は、行きつけのカフェーで同席したのを機に親しくなる。先生の背広を間違えて着てしまった甘木くんは、何故か怪異に遭遇するようになり、内田先生とともにその謎に迫っていく。
短編集ではあるけど、順番に読んでかないとダメなやつ。最初はまあまあ怖いかな、という感じなのが、読み進むうちにどんどん怖さが増してきて…。ドッペルゲンガーの話でヒェ〜となり、若くして亡くなった伊成くんの話では悲しみも加わって、胸が締め付けられる。
私は内田百閒を名前くらいしか知らなくて、読み終わってから調べてみた。偏屈で借金大王で、鉄オタで…夏目漱石に師事し、芥川龍之介とも交流があったという。物語の中でもそういう事には触れているので、彼のひととなりを知ってから読むとより面白いのではないだろうか。
甘木くんは、そんな内田先生と良いコンビだ。途中、ある理由から疎遠になってしまうけど、また元鞘に納まってから話は終わる。続きがあったら、ぜひ読みたい。
ノスタルジーを感じるブックデザインも良き。