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私立の大学生・甘木は、顔立ちはそこそこ整っているが、これといって特徴がない故に人の記憶に残らない。そんな甘木を覚えていてくれたのは、大学のドイツ語部の教授・内田。行きつけのカフェでバッタリ会った縁で交流を持つ事に。そこから不可思議な事が甘木の周りで起き始めて…
ちょっと軽いホラーミステリーみたいな感じでした。文学の偉人がチラホラ出ていて、中々興味深かったです。
そして、内田と師弟関係となった甘木が次はどんな事件に巻き込まれるのか、シリーズ化希望です。
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この小説は内田百閒の好きな方ならとても楽しめると思います。
私は芥川龍之介や夏目漱石が出てくるくだりは面白く読めましたが百閒は積読中なので、面白さがいまひとつわからなかったと思います。
百閒とは怪異や亡くなった人の話を書かせると上手い作家だということでした。
第一話 背広
昭和の初め関東大震災が起こった八年後、市谷の私立大学に通う甘木は食事も出す喫茶店でドイツ語学部教授の内田榮造と出会います。
その時、甘木は友人の青池に借りた背広を着ていましたが、女給の宮子の間違いで榮造の着てきた背広を着せられて帰宅します。すると甘木はおかしな夢を見ます。
それを聞いた青池は…。
果たして内田榮造は漱石の門下の内田百閒でした。青池にはとあるたくらみが浮かんだのです。
第二話 猫
甘木と内田先生は宮子のカフェでときどき会うようになり、そこに青池も加わりました。
カフェ千鳥には新しく若い女給の春代が入ってきました。
甘木は大人しい春代に魅かれて病気で店を休んだ春代を宮子と一緒に見舞いにいくことになります。
百閒先生は「おかしな娘には気をつけなさい」といいますが、果たしてその意味は…。
これもまたちょっと不思議な話です。
第三話 竹杖
甘木はステッキをつき、和服の男に出会います。
その男に甘木はどこかで会ったことがあるような気がしますが最初は誰なのかわかりません。
でも次第に、その男の正体がわかってきます。
内田先生は『山高帽子』という芥川龍之介との思い出を小説にしていました。
その男は亡くなった芥川龍之介のドッペルゲンガーだったというお話です。
ドッペルゲンガーとは自分とそっくりの分身でそいつと顔を合わせると死んでしまいます。
内田先生にはドッペルゲンガーがとり憑いていたのです。
第四話 春の日
内田先生の元教え子で笹目や多田と同期の伊成の話。
内田先生には自分の怪異のせいで伊成が亡くなったと思い伊成の実家のいなり屋を訪れています。
甘木も狐に化かされていなり屋で迷子になってしまいます。
内田先生は伊成のドッペルゲンガーに未来の話を聞き、伊成は病気で亡くなったのだと諭されます。
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「謎を解き明かす」というより「怪異譚」。怪異譚の連作の印象です。
序盤は☆3ぐらいかな、と思って読んでいたのですが、話の重ね方が好感だったので思ったより楽しめました。
あと、恥ずかしながら内田百閒を知らなかったので勉強になりました。
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内田百閒と学生の甘木(影の薄い)が不思議な、そして身のすくむような体験をしていくミステリーというよりホラーでした。
交流のあった夏目漱石や芥川龍之介の名前も出てきて昭和初期の匂いも感じる小説でした。
いくつか気になる小説のことにも触れているので、それも読んでみたいです。
とても面白かったです。
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『ビブリア古書堂の事件手帖』の三上延の作品.推理小説ではなく怪奇小説で,従来作とは毛色が違う.推理小説ファンとしてはちょっと不満が残る.
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面白かった。内田百閒が大学でドイツ語を教えていた時代に、学生と怪奇に巻き込まれるという内容の連作短編で、背筋が少しゾッとするような話たちだけれど、とても面白かった。今よりも建物の内も外も暗く(暗がりの多い)、自然が身近だった時代―昭和初期―の雰囲気も話に非常に合っていて、良かった。
私は内田百閒は随筆しか読んだことがないのだけれど、ゆったりおおらかで愛嬌があって味のある…というイメージそのままの百閒先生で登場するのも、面白かった。
昔、宮部みゆきさんがよく超能力者(異能力者)が登場するお話を書いていた時、あまりに描写がリアルに感じられて、宮部さんの近くに超能力者(異能力者)が実在するのではと思っていた(今も思っている)。なので、百閒先生は霊能力が強くて実際に色々不思議な体験をしたからそれを基に怪奇ものを書いたのでは、という発想からこういう話が生まれたのかなと思うと、すごく納得がいく。
著者の三上さんはビブリア古書堂の著者でもあると読み終わって気付いた。私は当作の方が好きかもしれない。
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百閒へのオマージュということで勝手に期待してた自分が悪い
内田百閒の作品に出てくるものが次々と登場してたのしい怪談だった
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ほう…今度は内田百閒ときましたか!
と、ホクホクするも、ちゃんと読んだことないんだよな、百閒…(^◇^;)スミマセン。
いや、面白いとは聞いているんでね、ええ、うちの父親とかにね…川上弘美さんも好まれていたりするので、読んでみたいとは常々思ってはいるんだけど、なかなかね…。
ところで「偏屈作家と平凡学生のコンビが、怪異と謎を解き明かす」なんて紹介だし、ちょっとのどかな感じで読み進めていたら、そんじょそこらのホラーよりゾゾッときたし!!
いやぁ、楽しかったです!!!
内田百閒、今度こそ読んでみないとだなぁwww
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影が薄い大学生と偏屈で有名な大学教授のコンビが、遭遇する奇妙な出来事の謎を解く連作短編オカルトホラーミステリー。
物語は主人公の甘木という大学生の視点で描かれていく。
◇
大学生の甘木は午後の講義が終わった帰り、夕食を摂ろうと行きつけのカフェに入った。
ここ●喫茶千鳥には週イチで来る甘木だが、影が薄く存在感が希薄なため、未だに女給から馴染客として扱ってもらえない。
そんな自分を内心で嘆きながらふと隣のテーブルを見ると、そこには大学で見知った顔が口をへの字に結びギョロリとした目でアイスクリームを睨んでいる。偏屈で厳しいと評判の内田榮造教授だった。
(第1話「背広」)全4話。
* * * * *
名探偵役を務めるのが、百閒先生こと内田榮造です。
漱石山房のメンバーの中でも変人として知られた百閒は、独特の作風が特徴の作家で優れた ( 変わった?)短編を多く残しています。
気が向かないことには関わろうとしない性格だったと伝わる百閒ですが、本作では門人には寛容だった漱石に似て目下の者に対する面倒見がよいという設定です。作中の百閒は、主人公たちを助けようとして怪異に挑みます。
また、気難しい顔から一変したゴキゲンな顔で百閒がアイスクリームを味わうシーンがありますが、子どもじみたところがあったという百閒らしい描写だったと思います。
そのように、登場人物から小道具、エピソードに至るまで、百閒ファンはもちろん漱石や芥川のファンも思わずニヤリとしてしまう構成になっています。
その他にも、主要舞台となる「●喫茶千鳥」にもおもしろい物語を用意するなど、凝り性の三上延さんらしく、背景もよく考えられていました。
もっと書きたいのですが、ネタを割ってしまいそうなのでこのあたりで置いておこうと思います。
ところで、もし三上延さんが続編を考えていらっしゃるのならお願いがあります。
百閒先生の『ノラや』という随想が私は大好きで、不器用な先生が可憐な野良猫に愛情を注ぎ、愛猫を喪ってロス感に悲しむ様子には共感してしまいます。
そんな百閒先生の猫好きの一面を、ぜひ続編で描いてくださいませんか。
三上先生、編集者の方、どうかご一考ください。お願いします。
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百閒好きには最高な贈り物でした!!
古書を知り尽くす著者だから、イメージを壊さないで文豪たちを登場させてくれる。
アイスクリームを食べる、車窓を眺めるシーンと想像するだけでわくわくするあの偏屈ものの大先生が浮かんでくる。
是非、シリーズ化して欲しい。
こんどは列車にのって、異世界を旅するとか。
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舞台は昭和初期。大学生の甘木が、変わり者の内田教授と親しくなる。
そこから怪異な出来事に巻き込まれ始める。
夏目漱石、芥川龍之介、ドッペルゲンガー…
怪異物は好きでたまに読むけど、ちょっと不思議なテイストだった。
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昭和初期、大学生の甘木は内田教授と知り合い、親しく交流するようになる。内田百閒という筆名を持つ先生はさまざまなこだわりを持ち、さらにその身の回りでは不可思議なことがよく起こる……。怪異の要素も強い連作ミステリです。
内田百閒は少し読んだことがありますが、あまり詳しくは知りませんでした。偏屈でありながらも案外と人情に溢れていたり、わけのわからないこだわりがあったりと案外親しみやすいキャラクターの印象で、実際の作品ももっと読んでみようかなと思います。そして他の文豪に関わるものが登場したりするのもかなり興味深いポイントでした。
お気に入りは「竹杖」。ドッペルゲンガーの恐怖がどんどん広がるさまはとても恐ろしかったのですが、しかししんみりするところがあったりも。怖いというなら「背広」の方がもっと怖かったなあ。「夢十夜」は好きなんだけれど。夢に出るのは怖い。
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独特な読後感だった。百鬼園って内田百閒のことだったんだと知る。読み手に色んな知識があれば、繋がるところがあって、もっと楽しめたかな。
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内田百閒を巡っての怪異の短編集4篇
芥川龍之介のドッペルゲンガーとの邂逅の場面など怖いけれど温かみがありしみじみ良かった。全編の内田百閒の先生としての人柄がリアルに描かれていて、怪異現象も含めとても面白かった。
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ビブリアの著者が送る新しい世界
主人公は甘木という影が薄い大学生
この大学生が大学でロシア語を教えている教師と怪異な体験をする
あなたはもう一人の自分と遭遇したらどうしますか?と私ならキャッチフレーズをつけてしまうかな
ドッペルゲンガーを題材にしたお話
ただ少し残念なことに・・・これ続編があるの?って感じで終わっている
できたらまた続編書いてほしい
もうちょっと喫茶店での鬼気迫るシーンが見たかった。