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わかりやすく仏教を教えてくれるスマナサーラ長老の仏教塾。
悩み多き人間に対し、解決法を提示してくれます。
それは、「捨てられる人間になる覚悟を決める」ということ。
仏教は、全てを捨てて無の境地に達する道。
その修行者と同じように、何の躊躇もなくすべてを捨てられる人が、悟った人になれます。
執着心をもたないということでしょう。
生きていく上で、先のことを見越して事前に対策をとっていくことが必要とされますが、仏教ではそれは必要ない考えなのだそう。
明日がどうなるのかは誰にもわからないため、期待せずにいまをしっかりと生きることがよしとされるのだそう。
日々、楽しく生活する「アリとキリギリス」のキリギリスのような刹那的な生き方こそが、仏教的な生き方なのだというのが驚きです。
逆に言えば「そのうち何かが起こる」と不安を抱くのは、幸せから遠ざかることになり、
「人生は今日だけ」という生き方にすれば、心が楽になるという考えだそうです。
実際に災害がやってきて、恐ろしい事態に直面したら、ストレスは計り知れないものになりそうですが、そうしたら目の前のこととして集中して対応するのでしょう。
また、生きていく上で最も克服困難な事態は「死による別れ」。
できることなら周りの人は少しでも長生きしてもらいたいものですが、仏教の見地からは延命措置は勧めない立場にあるようです。
命は自分のものでも他人のものでもない無常の流れだという考えから、人が余計なことをするべきではないのだとのこと。
めいめいが死ぬ時には、すべてを捨てて行かなくてはいけないことを理解するべきだと説きます。
どんなにお気に入りのものでも、死に瀕した以上は持っていくことはできません。
モノへの執着や買い物癖から逃れられない人には、そうした考えを持って自分を律することが必要だとのことです。
正直、あまり認めたくないことばかりですが、勇気を出して受け入れられたら、あきらめの気持ちからずいぶん気が楽になることでしょう。
長老の話は、グイグイと痛い真実を語りますが、どれも納得できる内容ばかり。
やはり仏教的な立場に立ってすべてを俯瞰できるようになれれば、生きていくのもゆったりとして、楽になれそうな気がします。
なかなかできないことではありますが・・・。