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なにもかも秘密裏に行われると、よけいな疑いや争いを招いてしまうものだよなぁ・・・と思う。この杜ノ国の"水ノ宮"での儀式は、疑いどおりに残酷なことをしており、争いが起こるのも当然ではある。ただその儀式には本当に"神"が現れ、犠牲を要求してもいる。人間だけの慣習や私欲のみではなさそうなところが、物語に複雑さを与えていておもしろい。
神様の命を失った玉響が人間味を帯びていく、その反対を真織がたどる、というのがいい。20年間、人として生きてきた真織が、簡単には神の容れ物にはならないところも。人らしさとは何か?喜怒哀楽そのもの。名や顔を認識して、人との繋がりを得ること――なんだな、と思う。
「真織に会えてよかった。起きるはずのことが起きるだけなのに、真織を助けられるなら、あの祭りで祭主になる意味が前よりもっと強くなる。」
自分が女神の贄であると理解したうえでなお、こう言えてしまう玉響の気持ちは、認められるものではないけれどとても人間的なものではないか。神は神、人は人、全くその通りだ。いくら器として育てられようとも、玉響の底には人らしさが眠っていたのだと思う。
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全体的にあっさりしていた印象。
個人的には、真織が古代世界に迷い込んだことや千紗杜の人達のルーツなどの詳細設定、各キャラクター視点からの描写などあれば、深みが増し、より没入出来たかなと思った。
あと、玉響が可愛くて母性をくすぐられた。
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ファンタジーという文字に惹かれての読了
古代の風景広がる和風ファンタジー
八百万の神々を祀るように、昔昔、本当に古くから伝わる“信仰”のような物語かなとの印象
豊穣を願い、その為に神に贄を差し出す
ただやはりそれに対し異を唱える物語出てくる
その叛逆の物語でもあるかなって
現代日本に住まう真織ちゃんは母を亡くし、葬儀の後杜の国と呼ばれる古代の日本に迷い込む
古代の日本と書いたけれど、服装的には平安辺りなのだろうか?
そこはファンタジーなので詳しい時代までは分からず!
真織ちゃんが目を覚ました時にはもう杜の国におり、少年玉響君に出会う
いつの間にか少年の神の力が真織ちゃんに移ってしまっていたけれど、どうしてなのか、真織ちゃんはなんで迷い込んでしまったのだろうかというのが今巻では明かされず…個人的にはその2点がモヤモヤポイント(苦笑)
物語自体はファンタジーならではの不思議な世界観を味わえて、面白く感じられた
壮美な世界観の物語で冒険ワクワクっ!て感じではないけど、なんだか森の中で緑に囲まれて凪いだ心で読みたくなる物語
日本のずっと昔は、もしかしたら物語のような神や信仰や、御業があったかもしれないと想像させてくる
次巻では疑問に思ったことの回収はあるだろうか?
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面白かった。
最終的には現代に戻ってくると思っていたが、そうではないのかな。続きがあるようなので読んでみたい。
神隠しにあったことの理由をもう少し知りたいと思った。次巻でその辺りの解明はあるのだろうか、このまま異次元の世界で幸せに暮らすのだろうか?興味深い。