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かつてお世話になった記者が著者の一人であることを本屋で知り、手に取った本。『福田村事件』の継続学習としても最適な本だった。
インタビューなどで、あえて差別的な表現を編集せずに使用しているため、背筋が凍るような日本の現実が浮かび上がる。関東大震災の時分と、何が変わったというのか。
この本を読んだ私は、この現実をしっかりと受け止め、差別を助長するような言説には組しないと、固く誓った。
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残念ながらヘイトをする人間が僕には理解できない。この本の最後にも書かれていた「まずは出会う」こと。自分とは違う属性の人たちと出会うことがヘイトクライムをなくすための第一歩なんだろう。でも属性一緒でもヘイトするようなやつと出会いたくもない。「マイクロアグレッション」について一言だけ書かれていた。これについては今後しっかり学びたいと思う。
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「水晶の夜」( クリスタル・ナハト) →約六〇〇万人もの犠牲者を出したとされるホロコースト( ユダヤ人大量虐殺)
ヘイトクライム= 障害者や性的少数者ら幅広いマイノリティーへの差別犯罪
ヘイトクライムの転換点・ウトロ放火事件
「偏見や嫌悪感」を動機にした犯行
連鎖するヘイトクライム・コリア国際学園事件
「歪んだ正義感による犯行」
単独で短絡化する犯行
「ローンオフェンダー」や「ローンウルフ」
憎悪のピラミッド:
①偏見による態度
②偏見による行為
③ 差別行為
④暴力行為
⑤ジェノサイド(大量虐殺)
ヘイトハラスメント
流言の特質:
①流言であることを自覚しにくい
②抑制、取り締まりがしにくい
③出所、経路がたどりにくい
マイクロアグレッション:マジョリティ—には見えていない差別の実態
日本型排外主義:上からのレイシズム・見えにくいレイシズム
ヘイトクライ厶の被呂根には、 三つの前提が打ち砕かれるという。一つは、 自分はむやみに攻撃されないという信念
二つ目は、世界は生きるに値する場であるという点、
三つ目は、自己肯定感
さらに、①持続する感情的苦しみ、② 前提の粉砕、③
逸脱感情、④帰責の誤り、⑤.被害者集団に属する者への影響という心理的被害に巡うと結論づけている。
初の刑事罰条例を成立させた川崎市
ネツトヘイト対策の課題
社会の分断が進み不安が支配し、暴走が起きかねない時代→まず出会うこと
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極めて不快だった。もっと気分を害する人が出てきてもおかしくないと危惧した。
本を読むだけでそう感じるのだから、ヘイトクライムというのはやはり凶悪でしかない。
元々ヘイトクライムは、黒人差別撤廃を求めた公民権運動が発端で誕生した概念。著者曰く、一般的な定義としては「人種や宗教など特定の属性を持つ個人や集団への差別意識をもとに実行される物理的暴力・いやがらせ・脅迫」を指す。
「ヘイトクライム」と聞くと、自分の場合は海外で蔓延るアジアンヘイトを連想するが、本書は日本国内における在日コリアンへのヘイトクライムに焦点を絞っている。
「私たちの社会は100年の間、一体何を学んできたのだろうか」
読み終えた今、全ての元凶は「無知」なんだと実感している。
京都ウトロ地区やコリア国際学園で起こった放火事件。著者が放火犯に直接取材(!)したところ、ネット上の根拠不明な情報を基に犯行に及んだとのこと。在日コリアンに会ったこともないらしい。
北朝鮮によるミサイル報道があるたび誹謗中傷を仕掛ける人は皆、事実無根の情報(「学校はスパイ養成所」等)を盲信していた。子供たちの日常にまで乗り込んで主張を通したいのか?自分の子供がそんなショッキングな場に居合わせたらと、想像すらできなかったのか?申し訳なさと情けなさで頭が破裂しそうだった。
関東大震災のジェノサイドなんか「無知」の最たる例だ。震災前からくすぶっていた偏見と誤情報に惑わされ、地方出身者(純日本人だが訛りで「鮮人」と一方的に決めつけられた)や中国人まで犠牲になったという。日韓・日中関係が今なお不穏なのは日本政府が当時から非を認めてこなかったからでもあるようだ。
「日本社会は集団ととても相性が良く、個が弱いんです。集団になると同質でまとまり、異質なものを排除しようとする。100年前も今も変わっていませんよ」
「これは在日コリアンの問題ではなく、在日日本人の問題なんです」
だがしかし、本書に書いてあったほとんどが初めて聞くような話ばかりだった。不快になった一方で実態を知り、終始気持ちがざわついていた。あからさまな敵意を示す人間だけじゃない。自分も無知だったのである。
序盤には「憎悪のピラミッド」と言って、偏見による態度がエスカレートすると、ジェノサイドにまで発展することを表した図が掲載されている。最下層の「偏見による態度(冗談等)」を放置すると、徐々にその凶悪度が上がっていく危険性があるというのだ。
まさに帯に書いてあった「『普通の市民』が凶悪犯に変わる瞬間」をよく表しており、ご多分に漏れない自分もその言葉を強く噛み締めた。
本書の刊行時点(2023年8月)で日本にはヘイトクライムを定義・禁止する法律が存在せず、処罰も軽んじて見られている傾向がある。制定を待ちわびる間も過去の過ちを学んで検証し、更に在日コリアンの人々と出会っていくのが我々にできることだ。
無くしていけないかな、こういうこと。
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ヘイトクライムとは民族差別犯罪の事で、ヘイトスピーチなどがエスカレートしていくうちに引き起こされる。在日朝鮮人への差別がなくならないのはなぜなのか。ウトロ放火事件の犯人は在日朝鮮人に会ったこともなかった。ネットの情報を鵜呑みにして犯罪を起こした。集団化すると事の善悪が判断できなくなってしまう典型。ヘイトを解消するには、正しい情報とコミュニケーションが大事。著書の二人は新聞記者で、差別事件をきちんと取り上げてこなかったメディアの責任に言及している。
どこの国でも差別問題はあるだろうが日本はその解消に向けてどんな努力をしてきたのか。ヘイトスピーチのデモを自分たちの地域に入れさせなかった多くの日本人の住民がいた、という事実に救われた。
無知は罪だなと感じた。
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自分の生活に不満がある人が、SNSなどの信憑性の低い情報を鵜呑みにして、勝手に憎悪を膨らませてヘイトクライムを起こす。実に恐ろしいことだと思いました。
もちろん、ヘイトクライムを起こしてしまう人物が一番悪いのですが、そうなってしまうのは社会構造の問題もあるのだろうと思いました。