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これは塩田さん渾身の1冊だなと、冒頭から鳥肌が立った。
物語は初手からフルスロットル!
横浜で起きた二児同時誘拐事件。
誘拐犯と警察の緊迫した駆け引きに痺れつつ、事件はまさかの思わぬ展開へ…
その後時効を迎えてしまったこの事件の真実を突き止めるため、その事件の担当だった刑事さんと懇意だった新聞記者が事件を振り返って行くのだけれども…
陳腐で内容の無いニュースや情報が溢れる時代に本当に存在した事実は何なのか、上辺だけを撫でて分かった気になっていないか。
誘拐と言う凶悪犯罪。
でもその裏にある人間の物語が1つずつ見えてきて、それぞれの物語が全て繋がった時、泣かずにはいられなかった。
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点と点が結びつき線となる。その線が描くのは人間の罪と悲しみ。
塩田武士、渾身の一冊。慟哭は最後に訪れる。
久しぶりの塩田小説にしびれました。
芸術と犯罪。その線と線を結ぶ人間模様は塩田さんにしか描けない世界。
深みとすごみを増した筆にほれぼれしました。
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いままで読んだ著者の作品の中で一番響いた。
誘拐犯グループの話がもう少し読みたかったかもしれないが、
ラストシーンの余韻も含め、
「もう少し読みたい」と思わせるところで終わるのが巧みなのか。
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圧巻の一言
読み終わったあと、衝撃と感動が一気に押し寄せ、圧倒されました。
様々な情報が簡単に手に入り、ますます便利になる世の中で、本当に大切なものは何か?
そんなことを問いかけられている気がしました。
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未解決の幼児誘拐事件の真犯人に迫る物語と思いきや、人と人が出会い別れても繋がっているような愛に溢れた作品と感じました。
切なくもありますが、心が温まりました。
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「罪の声」以来すごく惹き込まれた作品。
初めは時系列がよくつかめませんでしたが、後半は一気に読了。本屋大賞、とってほしいです。
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前代未聞「二児同時誘拐」の真相に迫る「虚実」の迷宮!真実を追求する記者、現実を描写する画家。
長編でも中だるみせず、複数の視点と時系列から描かれた物語は圧巻でした。
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初めて塩田武士さんの作品を読ませていただきました。
ミステリーや犯人探しをする作品なのかと思っていましたが、読み進めるにつれ、登場人物一人一人の大きな愛を感じました。
自分が目にする情報は、それが全てではなく、たくさんの事実が秘められていて、それは大きな愛に包まれているのかも、と考えさせられました。
とても心に響く作品でした。
ぜひみなさんに読んでほしいです。
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大傑作、著者の新たな代表作になるであろう作品で間違いない。
ニュースを見ていても思う。
報道で世の中に伝わる情報の裏には、それぞれ千差万別の事情があり、当事者以外からは真実はわからない。
法律的観点からは間違った行為でも、本人の倫理観から下した個人の正義に立った判断により、人目を憚る生活を余儀なくされた人間の愛がそこにはあった。
刑事、記者、画商、画家のそれぞれの立場で本質的に仕事に向き合う真摯な取り組みにより、謎が解明されるにつれて明るみに出る事実。
人間愛に感動をし、また仕事の本質を追いかける登場人物たちのひたむきな姿勢に心揺さぶられる作品でした。
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新聞広告にどえらい傑作だと大々的に宣伝されていたので気になっていた。先に持ち上げられ過ぎていたので、読んでいる最中、特に前半は、正直それほどではないなと思っていたのだが、読後、思い返していたらその存在感に圧倒され、確かに名作だと感じた。
誘拐事件だけだったらそれ程深くはならなかったかもしれない。そこに絵画の世界が織り込まれ、そして天才画家の技術と真髄が受け継がれていく様子が物語を厚くしている。
ダ・ヴィンチの言葉として、「芸術に完成はない。諦めただけだ」が度々出てくる。
「最後は諦めるしかない。…いつまでも完成しないと、怖くなったり虚しくなったりするんだけど、画家はそれを受け入れるしかない」という貴彦の芸術へのひたむきさ、誠実さが印象的だった。私は音楽をするが、音楽も同じなので励まされた。
刑事の目線、記者の目線、芸術に関わる者の目線、女性の目線、様々な角度から物語は成り立っている。
読んでいる途中も、そして読後も、登場人物が多く、なかなか整理しきれなかった。思い起こしていたら、映像化したときのキャストを考えると、それぞれのキャラクターを理解しやすいことに気づいた。何より楽しい。ただ、実際に考えてみると、時間軸が長いので、年齢の問題を含め、かなり難しい。語り部を誰にするかという問題も出てくる。記者の門田か、それとも小説では必要か?とも思われた里穂か…。
物語の極みは愛情(その表現の巧みさから、母親的な者の子への愛情にフィーチャーされていると感じる)だろうから、母親役も大切になってくる。そして、なんといっても画家、二人が要である。母的な存在は、白ブラウスが似合う真飛聖さんが浮かんだ。ここは絶対だな。画家に関しては、林遣都さんはマストだろう。父的な存在の画家は少し違和感があるけれどムロツヨシさん…。最近は早逝してしまいそうなほど影があり、存在自体と眼が語りすぎてしまいそうなので、若い頃が難しそうだけれど、好きだから推したい。加瀬亮さんなんかも繊細さがあって気になる。やはり、加瀬さんの方がいいかな、でも、そうなると、二重瞼ではなさそうだったり、跡を継ぐ分身的な画家役が思い当たらない…うー、難しいっ。
好きすぎる阿部サダヲさんはどこかに入れたい。抑えた演技をしてもらって記者の門田役で語り部になってもらうか、朔之介役か。語り部を里穂にするなら黒木華さんか。語り部を門田にするなら妻夫木聡さんもありかも。
画廊主の誰かに、子供の頃からずっと好きな三浦友和さん、あと、品が良い中原丈雄さんなんかもいいなぁ。
ガンダム好きの顔の彫りが濃い中澤刑事は坂口憲二さんがいいかな。
一度しか読んでないので、細かい部分が読めていなくて矛盾が出てきそうだが、キャスト選びを楽しんだ。皆さんはどんな俳優さんを選ぶのか、聞いてみたい。時間をかけてじっくり振り返りたくなる一冊だった。
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感想
退屈な日常を破る刺激。僕たちがニュースに求めるもの。だけど裏には自分達と同じように呼吸する人がいる。ニュースはそこを伝えられない。
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面白かった。誘拐事件の手に汗を握る展開から一転、30年後に記者が未解決の事件を紐解いていく。この中間の断片的な話がなんだろうと思っていたら、推理が進むにつれてパズルがハマってきて全体像がぼんやりと見えてきてからの野本夫婦の話はページをめくる手が止まらなくなった。最後にあの人はどうなったのか?は一部残るが、いいエンディングだった。
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この方の作品は「罪の声」に続いてになります。
どちらも前職が活かされた作品なのかなと感じました。美術界についても新聞社さんはよく美術展の主催や共催をされている印象なので。
私としては門田さん視点が共感しやすいので、最初は里穂パートに戸惑いつつも、読み進めていくうちに着地点に予想がいって、里穂パートが活きてくる構成がよかったと思います。
1回目のふたりの交差の仕方も個人的に好きでした。
あとは絵を実際にみてみたいと思いました。
実際にみて圧倒されてみたいと思いました。
そして美術界のパワハラはもっと白日の下に晒されるべきだと思います。
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こういう一つの事件を軸に、犯人探しだけじゃない、関わった人たちの過去の「真実」を明らかにしていくお話がそもそも大好きなのですが、これはその頂点と言えるかもしれない大傑作でした。
罪の声のように映画化されそうな予感。
読みながらありありと頭で映像が浮かぶほど丁寧な描写で臨場感がありました。
終盤で明かされる空白の3年の真実は、本を置いて涙と鼻水を拭いて呼吸を整えながらでないと読み進められないほど胸にきました。
大きくて深い家族愛のお話でした。
読了してから1週間経ちましたが、まだあの家族の愛の物語に対する切なさが胸に余韻として残っています。
それだけでなく、美術界、新聞業界、ジャーナリズムというテーマも複合的に絡んできつつ、取材先の地方の風景や写実画の描写もリアルかつ豊かで濃密な読書体験ができました。
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塩田さんといえば罪の声。本作も誘拐事件を扱った作品だったので、どういうストーリーになるかと読み進めました。いろいろな人が絡み合い複雑そうになりながらも読みやすく、読後感は悪くありませんでした