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大傑作、著者の新たな代表作になるであろう作品で間違いない。
ニュースを見ていても思う。
報道で世の中に伝わる情報の裏には、それぞれ千差万別の事情があり、当事者以外からは真実はわからない。
法律的観点からは間違った行為でも、本人の倫理観から下した個人の正義に立った判断により、人目を憚る生活を余儀なくされた人間の愛がそこにはあった。
刑事、記者、画商、画家のそれぞれの立場で本質的に仕事に向き合う真摯な取り組みにより、謎が解明されるにつれて明るみに出る事実。
人間愛に感動をし、また仕事の本質を追いかける登場人物たちのひたむきな姿勢に心揺さぶられる作品でした。
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新聞広告にどえらい傑作だと大々的に宣伝されていたので気になっていた。先に持ち上げられ過ぎていたので、読んでいる最中、特に前半は、正直それほどではないなと思っていたのだが、読後、思い返していたらその存在感に圧倒され、確かに名作だと感じた。
誘拐事件だけだったらそれ程深くはならなかったかもしれない。そこに絵画の世界が織り込まれ、そして天才画家の技術と真髄が受け継がれていく様子が物語を厚くしている。
ダ・ヴィンチの言葉として、「芸術に完成はない。諦めただけだ」が度々出てくる。
「最後は諦めるしかない。…いつまでも完成しないと、怖くなったり虚しくなったりするんだけど、画家はそれを受け入れるしかない」という貴彦の芸術へのひたむきさ、誠実さが印象的だった。私は音楽をするが、音楽も同じなので励まされた。
刑事の目線、記者の目線、芸術に関わる者の目線、女性の目線、様々な角度から物語は成り立っている。
読んでいる途中も、そして読後も、登場人物が多く、なかなか整理しきれなかった。思い起こしていたら、映像化したときのキャストを考えると、それぞれのキャラクターを理解しやすいことに気づいた。何より楽しい。ただ、実際に考えてみると、時間軸が長いので、年齢の問題を含め、かなり難しい。語り部を誰にするかという問題も出てくる。記者の門田か、それとも小説では必要か?とも思われた里穂か…。
物語の極みは愛情(その表現の巧みさから、母親的な者の子への愛情にフィーチャーされていると感じる)だろうから、母親役も大切になってくる。そして、なんといっても画家、二人が要である。母的な存在は、白ブラウスが似合う真飛聖さんが浮かんだ。ここは絶対だな。画家に関しては、林遣都さんはマストだろう。父的な存在の画家は少し違和感があるけれどムロツヨシさん…。最近は早逝してしまいそうなほど影があり、存在自体と眼が語りすぎてしまいそうなので、若い頃が難しそうだけれど、好きだから推したい。加瀬亮さんなんかも繊細さがあって気になる。やはり、加瀬さんの方がいいかな、でも、そうなると、二重瞼ではなさそうだったり、跡を継ぐ分身的な画家役が思い当たらない…うー、難しいっ。
好きすぎる阿部サダヲさんはどこかに入れたい。抑えた演技をしてもらって記者の門田役で語り部になってもらうか、朔之介役か。語り部を里穂にするなら黒木華さんか。語り部を門田にするなら妻夫木聡さんもありかも。
画廊主の誰かに、子供の頃からずっと好きな三浦友和さん、あと、品が良い中原丈雄さんなんかもいいなぁ。
ガンダム好きの顔の彫りが濃い中澤刑事は坂口憲二さんがいいかな。
一度しか読んでないので、細かい部分が読めていなくて矛盾が出てきそうだが、キャスト選びを楽しんだ。皆さんはどんな俳優さんを選ぶのか、聞いてみたい。時間をかけてじっくり振り返りたくなる一冊だった。
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感想
退屈な日常を破る刺激。僕たちがニュースに求めるもの。だけど裏には自分達と同じように呼吸する人がいる。ニュースはそこを伝えられない。
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面白かった。誘拐事件の手に汗を握る展開から一転、30年後に記者が未解決の事件を紐解いていく。この中間の断片的な話がなんだろうと思っていたら、推理が進むにつれてパズルがハマってきて全体像がぼんやりと見えてきてからの野本夫婦の話はページをめくる手が止まらなくなった。最後にあの人はどうなったのか?は一部残るが、いいエンディングだった。
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この方の作品は「罪の声」に続いてになります。
どちらも前職が活かされた作品なのかなと感じました。美術界についても新聞社さんはよく美術展の主催や共催をされている印象なので。
私としては門田さん視点が共感しやすいので、最初は里穂パートに戸惑いつつも、読み進めていくうちに着地点に予想がいって、里穂パートが活きてくる構成がよかったと思います。
1回目のふたりの交差の仕方も個人的に好きでした。
あとは絵を実際にみてみたいと思いました。
実際にみて圧倒されてみたいと思いました。
そして美術界のパワハラはもっと白日の下に晒されるべきだと思います。
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こういう一つの事件を軸に、犯人探しだけじゃない、関わった人たちの過去の「真実」を明らかにしていくお話がそもそも大好きなのですが、これはその頂点と言えるかもしれない大傑作でした。
罪の声のように映画化されそうな予感。
読みながらありありと頭で映像が浮かぶほど丁寧な描写で臨場感がありました。
終盤で明かされる空白の3年の真実は、本を置いて涙と鼻水を拭いて呼吸を整えながらでないと読み進められないほど胸にきました。
大きくて深い家族愛のお話でした。
読了してから1週間経ちましたが、まだあの家族の愛の物語に対する切なさが胸に余韻として残っています。
それだけでなく、美術界、新聞業界、ジャーナリズムというテーマも複合的に絡んできつつ、取材先の地方の風景や写実画の描写もリアルかつ豊かで濃密な読書体験ができました。
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塩田さんといえば罪の声。本作も誘拐事件を扱った作品だったので、どういうストーリーになるかと読み進めました。いろいろな人が絡み合い複雑そうになりながらも読みやすく、読後感は悪くありませんでした
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誘拐された少年が3年後に戻ってきた。空白の3年。そこにある真実とは。
前半事件のあり様を理解するのに手間取りましたが、後半空白の三年が語られ始めてからはあっという間でした。
愛情に涙。
全てクリアな最後ではなく、余韻が続きます。
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CL 2023.10.3-2023.10.5
始まりは前代未聞の二児同時誘拐。
記者の門田がその真相を丹念に追って各地に足を運ぶ。門田の調査によって少しづつ繋がって明らかになっていく真相。
刑事、記者、画家、画商、そして家族。それぞれの立場でこの事件と向き合い、それぞれの矜持を通そうとする人たち。登場人物たちの真摯な生き方に強い感銘を受ける。
ただ、この3年間は亮にとって幸せな時間だったけど、その後の亮があまり幸せそうではないことが残念。その中で里穂はわずかな彩りだったんだろう。
大金持ちの酒井龍男の後ろ盾はちょっと出来過ぎ。亮のアトリエとかやりすぎ。
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罪の声が良すぎたのでこちらも読破。ぜひ映画化してほしい。ただ、しっかり集中して読まないと主人公が多いので誰が誰かわからなくなる。1年後くらいにまた読みたい作品。
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ホッとした。まずは、この言葉に尽きる。
序盤は、ありきたりな話かと思い、中盤には、少し無理があっるだろうと感じながらも、結局は、色々な登場人物に、感情移入して高評価のうちに読了。一緒に暮らした...忘れなさい。は、グッときた。
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物語は二児同時誘拐事件を軸に展開していくと思いきや、事件の裏側には思いもよらない物語があった。
事件の真相を追う記者の目線から物語が進んでいくところは、緊張感があって、ページをめくる手が止まらない。
物語の途中から、何かがわかってくると、今度は涙が止まらない。
最初手に取った時は、読み切れるか不安になる厚さだったけれど、読後感はじんわりと優しい気持ちになる。
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なかなか難しい本。特に最初の方は展開も遅くややこしくて挫折しそうに。けれど、罪の声のように映画化されても面白そうな題材。
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前半のミステリーから後半で明かされるすとーりーに、「犯人」ではない謎が明かされていく。
丁寧な人物描写により、前半で抱いていた印象と後半で見えてくる人物味が変わっていき、関わり方や立場によって人は人を勝手に印象付けて判断している事にも気付かされた。
また、1人の記者の自分の内面への「問い」と連動するように、少しずつ事件の扉が開いていく。この「問い」との向き合い方もまた、この作品のテーマなんだろう。なぜ自分がそれをしたいのか、その答えが人を動かすのかもしれない。
とても優しい物語でした。
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デビューからずっと応援している作家さんなのですが、どんどん到達点が高くなっていますね。
今回は泣かされました。