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シャルロッテ・リンクは、好きな作家です。スコットランド・ヤードのケイト・リンヴィルを主人公とする第二弾が、今作です。正直、上巻を読んだ段階では、前作「裏切り」に及ばないと思いましたが、最後まで読み終えて見ると、前作以上の出来だと思います。
この本の素晴らしさは、勿論、ミステリーとしての出来の良さ(誘拐犯が明らかになった瞬間、やられたと思いました。誘拐犯との対決シーンも手に汗握ります。)も
有りますが、事件が解決した後に、ケイトが知ることになるもう1つの真実を経てのエンディングの場面です。
ケイトとケイレブ・ヘイル警部、デボラ・ゴールズビー、コリン・ブレアという、何れも孤独を抱える登場人物が、小さな一歩を踏み出そうとしている所、何が有っても人生は進んで行くのだから、ちょっとだけでも勇気を持って進んで行こうというメッセージに有ります。
☆4.7次作も楽しみです。
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〈ケイト・リンヴィル〉シリーズ第二弾。少女が行方不明になったところから物語はどんどん広がっていく。過去の行方不明事件にまで捜査の目は向き、いくつもの辛く残酷なものが見えてくる。事件の捜査や二転三転する展開の驚きの面白さはもちろんなんだけれど、主人公ケイトの造形がこのシリーズの読みどころでもある。ロンドン警視庁の刑事でありながら、孤独で人とうまく関係を作っていけない。この性格が今作もポイントとなってきたりして面白い。この先も邦訳されていってほしいシリーズのひとつ。
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兎に角めちゃ面白く一気読みした。スコットランドヤードの女性巡査部長が休暇中に遭遇した少女誘拐事件。過去の事件と相似点ある事で主人公ケイトの隠密操作が始まる。
二転三転する事件の真相と、ケイトの恋愛。各人物像が素晴らしくて、ミステリーそのものも練られていて隙がない。大満足な作品。
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・あらすじ
前作から3年後、実家処分のためにスカボローへ戻ってきたケイト。
滞在したB&Bの一人娘アメリーが行方不明となり、同時期に過去誘拐された少女サスキアが遺体で発見されるという事件が起こった。
結局アメリーは海で発見されるが事件の事を決して話さず捜査は難航する。
また機能不全家族のもとから逃げだし行方不明となったマンディ。
それぞれの少女行方不明事件には関連があるのかケイトは独自に調査を始める。
・感想
相変わらず孤独に苦しむケイトとアルコール依存症に苦しむケイレブがいて更に出てくる登場人物皆が病んで歪んでる。
特にマンディの攻撃性が強すぎてそりゃ生き難いだろうなって感想。
あれほど他人を拒絶してハリネズミの様に攻撃してたら誰も助けてくれなくなるのは当たり前なんだけど、でもそうすることでしか自分を守れないという矛盾というか思い込みはああいう環境に育った人なら持たざるを得ない殻なんだろうな。
ケイトの孤独感や低すぎる自己肯定感による卑屈さは個人的には共感出来ないしイラッとするけど、終盤の吹っ切れたケイトは良かった。
みんなそれぞれに何かに依存してる登場人物ばかりだったな。
事件については無関係と思われていた事件が終盤で収束していく系で、前回同様中盤までは停滞感があるけど後半は一気読みした!面白かった。
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CL 2024.3.13-2024.3.15
マンディの苦境が読んでいてほんとに辛い。
アメリーの両親の絶望感も。
少しでも感情移入するとこっちまでどうかなってしまいそうな精神的に危うい人ばかりだった。
それでもケイトが少しずつ前を向いていけそうなラストがよかった。
ケイトもケイレブも全然カッコいい刑事じゃないけど、なんだか惹きつけられる。
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行方不明になっていた女の子アメリーは、アレックス・バーンズのもとにいた。2人は恋人同士のつもりだったがバーンズはアメリーと別れたがっていた。また彼女の両親からお金をせしめようとしていた。
ケイトは単独捜査を進め、行方不明になった少女の一人ハナの父ライアン・キャスウェルが精神科クリニックの管理人をしていたことを知る。彼は女性患者の一人と関係を持ち退職していたが、後に彼女と結婚した。その患者リンダの親戚がソーンダース、行方不明になったマンディーが一時期世話になっていた作家志望の男性だ。
ソーンダースはケイトを遠く離れた一軒家に連れて行く。そこに少女たちが監禁されていたのだった。家にはマンディーが監禁されリンダも居合わせる。リンダは一時期海外にいたがすぐに戻ってきて、次々と家族となりそうな娘たちを誘拐していたのだった。
ケイトとマンディーは助けられた。自宅に帰ったケイトは彼氏だと思っていたデイビットの元へ行くが、実は彼はアメリーを誘拐したアレックスバーンズの友人だった。金で事件の証人になり、情報を得るためにケイトと付き合うふりをしていたのだった。
結局、ケイトは傷心のまま実家を売らずにクリスマスを迎える。
《感想》第一印象は誰も幸せな人がいない作品。主人公のケイトはとにかく孤独で自己肯定感が低く、ひがみやすい。その分他の人のことをよく観察していて、それが捜査でも発揮される。人と接点を持たない割に思い込んだら頑固なので単独行動に走りがち。小柄で痩せ型で喜怒哀楽はわからないやり手の捜査官ってどんなんだろう。映像化されるなら誰なんだろう。
他の登場人物、被害者にしても捜査関係者にしても何かしら日常に不満がくすぶっていて幸せじゃない。イギリスの田舎町?の、海辺とか一軒家とかのんびりした風景での中で、事件はスピーディーに展開していく。飽きずに読めた。