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波乱に満ちた笠置シヅ子の人生。本名亀井静子。義父義母に愛情豊かに育てられた(本人は実の父母でないと最初は知らなかったのだが)。大正3年生まれ。松竹学劇部(後のSSK)で活躍。服部良一との出会いでジャズに本格的に取り組む。戦前は敵性歌手として苦難の日々であったが(吉本せいの息子で9才年下の穎右と恋愛、穎右の子を妊娠するも、子(エイ子と命名)誕生前に穎右は結核で死亡)。戦後、服部良一と再開、「東京ブギウギ」でブギウギの一大スターに。しかし、流行歌は時代物。占領下の日本ではアメリカナイズされたブギウギがもてはやされたが、1951年の講和条約により独立回復。あまりにも進駐軍に媚びを売りすぎた反動からブギウギは注目されなくなり、美空ひばりはじめ三人娘の登場など笠置シヅ子の人気は過去のものとなってしまう。もともと、子を養うために必死で歌手を続けることがシヅ子の歌い続けることの第一の目的だったので、時代の潮流にさからざず、あっさりと歌手を引退。しかし、その後は芸名を「笠置シズ子」と改めて女優として活動再開。ドラマやCMのオバチャン役として活躍。1985年(昭和60年)に70才で永眠。
戦後の混乱期に数々の流行曲が現れたが、ブギの軽やかなリズムで老若男女をとわず国民をウキウキさせてくれ彼女の半生は山あり谷ありではあるが、ブギのリズムそのものの終始躍動感に満ち溢れていた。
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2024.1.20市立図書館
図書館の新着図書のコーナーでみつけて気軽に借りてきた。朝ドラ「ブギウギ」のモデルになった笠置シズ子さんに興味がわいてきたので。
略歴や既刊のタイトルから察するに、著者の方は、朝ドラや大河ドラマなどで話題になりそうな人物についてタイムリーに調べてまとめては本にして出しているようで、ノンフィクションとしてはちょっと浅い気がするが、ひととおりの記録に残っている事実はわかりやすくまとめてくれている。
なるほど、ドラマ化するにあたって、キャラ設定や人物関係や時系列をこう変えたのだなあと確認しつつ、あっというまに最後まで読み終えて、まもなく中盤のクライマックスを迎え終盤に入っていく「ブギウギ」がまたいっそう楽しみになってきた。物語としてはどこまで描くのだろうか。
書籍、雑誌、ネット資料など執筆の出典をまとめた巻末の参考文献リストが役に立つ。
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宵待草 親族のしでかした不義理や非常識が自分にも累が及ぶ事もある アメリカ文化を色濃く感じさせるジャズも「敵性音楽」として排斥が叫ばれている 敵愾心を煽って戦意高揚を狙う当局が喜びそうではある ビクターの録音スタジオは内幸町にあったのだが 作詞家の鈴木勝は日英のハーフのバイリンガルで ブギのリズムは彼女の心のリミッターを外すトリガーにもなったようだった 敗戦国の屈辱や生活苦も全て忘れさせてくれるような…底抜けの明るさに引き込まれていった 作詞家の阿久悠も淡路島で暮らす小学生だった頃にこの曲を聴いて大きな衝撃を受けている 街には虚無感や悲しみのある歌詞やメロディーの曲が溢れていた。そんな重くて沈滞した空気を、底抜けに明るいブギのリズムが吹き飛ばした。 センチメンタルな和製ブルースが大流行している頃、大衆がそれに飽き始めている事を既に察知していたのだろうか。 当時は未だ大蔵省の新人官僚だった三島由紀夫は「天皇陛下みたいな憧れの象徴」と称える程にシズ子の大ファン 『ジャングル・ブギー』は黒澤明がこの映画で使う事を想定して ブギウギの人気が凋落した今がその頃合い 神は巫女の体を借りてメッセージを伝えながら舞い踊る