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佐伯氏の単発読み切りの3作目。どれも一般市民の日常にプラスアルファを入れながら、最後にほのぼのとさせる読物となっている。
今回の作品は浮世小路の料理屋の美人姉妹が、火付けにあって両親が焼死するという事件を解決して行く物語。何故か再建がすぐ行われず、裏に大きな動きを感じさせる内容。これに火消しの見習いが上司の若頭から命ぜられて探索に入る。美人姉妹との恋愛話しがあったり、闇の勢力との闘いがあったり、退屈しないように色々と出てくる。犬が重要な役回りで出てくるのは、酔いどれ小籐次と展開が似ている。作者も80才となり、大技でバッタバッタというよりも市井の何気無い日常を丹念に描くようになってきたように思う。
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火消しの見習い、昇吉と、加賀藩にゆかりのある、長く続く料亭浮世小路のものがたり。
付け火で消失した料亭は、犯人が他にも大きな目的があるとみられ奉行所から再建の許しが出ない。
残された若い姉妹を助けながら犯人をみつける。
機転が効いて、機敏な動きもでき、長屋の住人でありながら寺子屋に通い読み書きができる昇吉は、火消しの若頭からも可愛がられる存在だ。
仕事ぶりもあっぱれで、姉妹もその働きぶりが記憶に残っていた。
焼け残った料理屋跡地に不穏の動き。
若頭から密命を受け、組から離れ一人探索を始める。
主人公が愛される要素をたくさん持ちながら、その話し言葉がいまいちキャラに不釣り合いでリズムがよろしくない。残念な要素。
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【内容紹介】
町火消い組の鳶見習の昇吉は、老舗料理茶屋加賀屋うきよしょうじの姉妹、お佳代とお澄を知る。
半年前の火事で両親と店を失った姉妹は、未だ火付けの下手人に狙われているらしい。
い組の若頭吉五郎の命で下手人を探ることになった昇吉。
探索の過程で、昇吉はお澄に関するある真実を知ることになる――。
大江戸日本橋を舞台にした若者たちの、初々しく力強い成長の物語。
令和4年9月5日~10日
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佐伯泰英先生の残り少ない作品をかみしめつつ読了
このオムニバスシリーズは昨今の走り気味だった筆
を抑えて適度の謎と読後の納得を兼ね備えた作品
何気ない下町話とおもいきや、大きな仕掛けを成功
させているので読むべし(´・ω・`)
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凞代勝覧絵巻をもとにオムニバス形式の小説第3作目とのこと。何となくのんびりとした江戸の暮らしや花形江戸火消しなど語られている。そんななか、火事で大店が消失し店主夫妻が亡くなるという事件がおきて新米火消し昇吉が火事の真相を探っていく。いろんな人に出会ううちだんだん明らかになる事件の真相。「陰御用」て。だんだん目が離せなくなっていきました。読後感も良かったです。凞代勝覧絵巻、見てみたいなー。
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町火消しの鳶見習い昇吉と老舗料理茶屋加賀屋うきよしょうじの美人姉妹2人。
火事で、両親と店を失った姉妹を助けた昇吉。
そんな縁で、物語が始まっている。
姉の方は、町火消し総頭五代目の息子吉五郎との縁組みが、決められていたのだが、この顔合わせの日の後日火事が 起きる。
昇吉は、その吉五郎の使命で、付け火の犯人を捜す事になるのだが……
始めは、格式ある町の料理茶屋の娘と下町育ちの江戸っ子気質の若者の話かと思わせていたが、作者 佐伯泰英氏、流石に凄い!
この昇吉の腕っぷしの強さと、物に動じない肝っ玉が、この本一面に窺える。
14歳と17歳の2人、今の時代に、この様にしっかりした若者がいるだろうか?
加賀藩前田家と料理茶屋との極秘関係。
そして、金銭勘定まで、引き継いで、処理をしていくお澄の遣り手の凄さにも、一介のただの跡継ぎでは無いと思う。
若い二人の幸せと、店の繁栄を願わずに居られない小説であった!
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両親が、付け火で焼死し、店も自宅も消失した、お佳世・お澄姉妹。
建て替えの木組みも財力もあるのに、半年経った現在も、未だ、町奉行所の命で、建て替えができずにいた。
何か、訳ありの様子。
町火消・い組の見習い、昇吉は、若頭・吉五郎の命で、独自で、火付の犯人を探すことになった。
昇吉は、幼馴染の達ニ、忠助と犬のあかべいとで、謎を解決する。
あとがきに書かれていた、絵巻「熈代勝覧」をネットで調べてみた。
217年前の日本橋通りが見事に書かれていて、圧倒された。