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紙の本
才能と運に恵まれた男の物語
2023/10/23 19:26
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
あとがきに「私がアタテュルクの伝記を書こうと思い立ったのは、彼について、学問的な成果に基づいた伝記が、まだ本邦では著されていないからだった」とあるが、確かに今のトルコ共和国を知るには必要なケマルの伝記とあるとほとんどないのではないか。新潮選書の「ケマル・パシャ伝」のようにケマルに入れ込んで礼賛しているだけでは困るというものだ。一度キチンとしたケマルの伝記を読んでみたかった。
ガリポリの英雄という名声があるからこそ独立戦争での指導者となり得たにしろ、カリフの権威も「異教徒」の連合国の傀儡になったからこそ落ちた面はあるだろうか。ケマルが鉄十字章を佩用した写真は他の本で見た事があるが、トルコ共和国が勲章制度を廃止する前に叙勲されたオスマン朝期の勲章やドイツ、ハプスブルク帝国、ブルガリアから叙勲された勲章を佩用した写真なり勲章のリストなりも見てみたくなる。
パウル・フォン・ヒンデンブルクとエーリヒ・ルーデンドルフのような「タンネンベルクの英雄」がとにもかくにも結果的にドイツを滅ぼし自分達の「名声」も地に落ちてしまったヒトラーの権力掌握を手を貸した例があるのでエライ違いだ。
ケマルの政策で興味深いのは脱イスラーム化だ。といっても一定の範囲でしか行えなかったのでエルドアンのような人物が大統領になるにしろ、アザーンをアラビア語からトルコ語に変更しようとしチャドルを廃止しヒジュラ暦をグレゴリウス暦に変えた。何でもクルアーンまでトルコ語訳を普及させようとしたと別の本で読んだ事はあるが。ある意味においてケマルが属した統一進歩協会と政敵となったエンヴェル・パシャなどの政策を受け継いだ面はあるだろう。
「ケマル批判の急先鋒」になったオスマン朝の内相アリ・ケマルがボリス・ジョンソンの曾祖父とは面白い。
一つ気になったのは189頁に掲載された写真のキャプションに「「大攻勢」のさい、司令部付近の岩場でのケマル。この写真は、国民闘争を象徴するアイコンとなった」とある。同じ写真が「オスマン帝国」279頁に掲載されているが、そんな有名な写真ならば「オスマン帝国」にも説明をつけてほしいものだ。オスマン朝を滅亡に追いやった人物なので、わざわざ横向きの写真を使ったのかと思っていたものだ。
「オスマン帝国 英雄列伝」に書いた「ほかの人々についても本格的な評伝を著したい、という思いを抱いている」とあとがきにある。メフメト2世やスレイマン大帝のような著名人なら本が売れそうだが、「ケマル・アタテュルク」にも何度も出てくるハリデ・エディプについて読んでみたくなった。
電子書籍
トルコ
2024/03/16 18:32
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投稿者:hamu - この投稿者のレビュー一覧を見る
存じ上げない方でしたが歴史が好きなので、読みました。ものすごい英雄で、どうして今まで知らなかったのか。
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